LXE本部に向かうお坊っちゃまにもっと抱き着いていたかったのですが、吐血し、苦しげに呼吸を乱すお坊っちゃまに負担を掛けることは出来ず、私は蛮竜の刀身に足を掛け、大鍔に靴底を置き、立つ。
その下ではスクーターに乗った津村斗貴子の後ろに抱き着いている武藤カズキが見える。イチャイチャとストロベリーな2人乗り、とっても羨ましいです。
「どういう原理で飛んでいるんだ?」
「霊力や妖気でしょうか?」
「非科学的なワードだが、ホムンクルスもいるご時世だ。妖怪や怪物の類いがいるのは当然か」
「その通りでございます」
にこりと微笑んでお坊っちゃまの言葉を肯定し、ようやくLXE本部が見えたところで本部が爆発四散し、灰色のムーンフェイス様と黄色のムーンフェイス様が同時に弾け飛ぶのが見える。
「む~ん!手助けしてあげたのに酷い!」
「ム~ン!私を倒したところで無駄さ!」
「「むうぅ~~んっ!!!」」
どちらのムーンフェイス様が喋っているのでしょうか?と私は小首を傾げつつ、遅れてやって来た津村斗貴子と武藤カズキの二人に道を譲り、お坊っちゃまの身体を支え、マスター・バタフライ様に授かった核鉄をお坊っちゃまの身体に重ねる。
「お前達、ヴィクターとマスター・バタフライの行き先は知っているか」
「私は存じ上げません」
「俺も知らん。だが、俺のものを傷付けた報いは必ず受けて貰う…ゴパアッ?!」
「お坊っちゃまっ!?そ、それでは失礼致します。お坊っちゃま、傷は浅いです!死んではダメですよ!?お坊っちゃまぁーーーっ!!?」
お坊っちゃまを背負いながら慌ただしくLXE本部に駆け込み、おそらく残っているであろう核鉄を取りに向かう。マスター・バタフライ様のお父様が収集していた核鉄、その大多数は錬金の戦士に授けているそうですが。
まだ残っている筈です!
瓦礫の山を震脚を併用した二重の極みで粉塵に変え、通路を確保して突き進み、バタフライ様の使用していた研究室の扉を蹴破って、棚や壁を砕き、なんとか二つほど見つけ、お坊っちゃまと私、計四つの核鉄を彼の身体に押しつける。
「こ、これで大丈夫でございますね」
「……淑やかな普段より、慌てるお前もいいな」
「この様な時にご冗談はお辞め下さい。さあ、ベッドにお運び致しますので私の首に手を…」
「いいや、それよりも首を出してくれ」
その言葉にキョロキョロと周囲を見渡し、津村斗貴子達が着いてきていないことを確認し、襟元のリボンとボタン、ブローチを外し、髪の毛を一房に纏めながら、お坊っちゃまに首筋を差し出す。
「……んッ…ふあっ…!…」
今朝と同じ甘い快感に吐息がこぼれる。
「大丈夫か蝶野!?」
「勝手に逃げる、な…おまっ、何をしとるかァ!」
「やはり人間だったか、糸色賛」
「み、みないで、んんッ…!」
ドクドクと人に見られているという恥ずかしさで鼓動が速まり、お坊っちゃまを押し退けようとするも力が入らず、津村斗貴子と武藤カズキ、キャプテン・ブラボーに見られながら、私は血をお坊っちゃまに吸われる。