「危うく死ぬところだったぞ!」
「オレのプリティーなボディにキズが出来たらどうするつもりだったんだ、パッピー!」
「外野は黙っていろ。あの爆発で尚も再生するとは武器としては中々に高性能の武装錬金だろう。だが、何度も爆破してしまえば問題なく倒せる」
「流石です、お坊っちゃま」
パチパチと襟元にハンカチを巻いて露出してしまった首元を隠す。
津村斗貴子の何とも言えない破廉恥なものを見つめる視線に「愛情表現の一種です、津村さんはしないんですか?」と聞けば、彼女はあわてふためき、
「次にふざけたら臓物をブチ撒けさせるぞ!」
「エンゼル様、どうしましょうか?」
「オレに振んなよ、イトリン?!」
エンゼル御前様が怒れる津村斗貴子を宥めてくれる間に傷ついたお坊っちゃまの手当てを行い、私達は全裸で倒れ伏す戦部から視線を逸らす。
私達は女の子ですから恥ずかしいのです。
「エンゼル御前様、汚れが」
「ん?おお、サンキュー!」
「……何でも持っているな」
アルコール消毒液とガーゼを使い、エンゼル御前様の身体を汚していた土汚れを拭き取り、しっかりと羽から全身まで瞬時に磨き上げ、塗装用の筆やペンを使ってお化粧を施してあげます。
武装錬金の
決して趣味ではありませんよ?
「賛、合流地点は何処だ」
「外国人墓地です」
「ニアデスハピネスでの飛行は無理か」
「でしたら蛮竜に乗りますか?」
「いや、エレガントに此処はアレを使う」
そう言うとお坊っちゃまは片手を上げた。
「何をしているんだ?」
「私も初めての事です」
「パッピー、壊れたか?」
二人の辛辣な言葉を聞きつつ、お坊っちゃまを見たら糸巻きの家紋をロゴマークとしたヘリが現れる。いつの間にお坊っちゃまは糸色本家の方々と連絡を取っていたのでしょうか?
「「お久し振りです、賛お嬢様!!」」
「今の私はお坊っちゃまにお仕えする、ただの一介のメイドです。お坊っちゃま、糸色本家に頼るのなら事前にお聞きしておきたかったです」
「しかし、お嬢様は当主候補筆頭ですので」
「だからこそ誘拐を危惧したお婆様達が私を懇意にしていた蝶野家に送ったのですよ?それに今は当主より成りたいものがありますから」
チラリとお坊っちゃまに視線を向ける。
「手を貸してやるから、早く乗れ」
「ありがとうございます。あなた達ももう私ではなく武藤君や他の候補者を手助けしてあげなさい。私はもうお坊っちゃまのメイドですから」
そう言って私はお坊っちゃまに寄り添う。
津村斗貴子とエンゼル御前様は未だに状況に着いていけず、困惑している顔が可愛いので携帯電話で写真を撮影し、そうっと武藤カズキに送信してあげた。