お坊っちゃま達と共に外国人墓地にやって来た津村斗貴子に手を振る武藤カズキと金髪のタレ目が特徴的な中々にダメそうな男の子を見つめてしまう。
こう、かわいいチワワのように思えます。
「賛お嬢様、我々もお供致します」
「カズキ坊っちゃんには私が着きますので」
「ヘリは目立ちますから直ぐに帰って頂けると私達は助かるのですけど」
「それならば問題ありません!」
ヘリに乗っている糸色本家の二人に帰るように伝えたそのとき、ヘリが六角形の物質に分裂し、一人の片手に収まるサイズに収納されていく。
それは紛れもなく核鉄です。
「知らないのが居るな」
「カズキも剛太も無事か!」
「斗貴子さん、蝶野も!」
「先輩と、あの時のイチャラブホムンクルス!?」
どうやら私達を監視していたのは彼のようですね。忍者の方は気配を完全に消していたので、一度目の奇襲後に着いてきていた二人目の監視者になりますけど。
「あっ、二人もいるんだ」
「「お久し振りです、カズキ坊っちゃん!」」
「坊っちゃんはもうやめろってば!?」
そう言ってお辞儀をする二人に気恥ずかしそうに訴える武藤カズキの事を見据える。やはり人間の呼吸音や筋肉の動きが変化している。
それだけヴィクター・パワードと同種の存在に成り得る可能性は格段に高まっているということですが、お坊っちゃまはどうなさるおつもりなのでしょう。
刹那、三度目の不意打ちを受ける。
いえ、日本刀を受ける寸前に私はお坊っちゃまに守って頂いてしまった。本来は私の役目なのに、好きな殿方に守られる事に、私はときめきを感じています!
「貴様、お嬢様に何をする!」
「カズキ坊っちゃん、後ろに」
怒りを露にした二人が核鉄を取り出す。
ヘリを作り出すかと思えばプロペラのみ出現させ、両手に握り締める。もうひとりは般若の様な仮面を模した武装錬金を展開し、片手を地面について石畳の一部を毟るように砕く。
「……はあ、般若、四乃森、殺さずに倒しなさい」
「委細承知…!」
「極めて了解」
私の言葉に二人の覇気は高まる。
本来、彼と彼女は京都の料亭を手伝っている筈なんですけど。おそらくお父様の選んだ護衛の中で最も強い二人を送ってくれたのでしょう。
そう私がお父様の過保護さに悩ましく思っていると更に隠れていた追跡部隊の錬金の戦士が現れる。やはりここは私も戦うべきかもしれませんね。
「見つけたぞ、ホムンクルス!」
「ホウ。もう追い付いてきたか」
「戦部も来たか」
凄まじい怒りを感じさせる表情で十文字槍を構えた戦部に忍者の方も反応し、武藤カズキ達の方もまた別の錬金の戦士に襲撃を受けている。
「キャプテンさん、やはり貴方ですか」
「今回の相手はお前ではない」
「そうでしょうね。武藤君、行けますね」
「……ああ、絶対に倒す!」
その言葉を合図に同時に交戦が始まる。
【概要用語解説】
本作の単語や転生者、その親族を解説します。
【四乃森】
本名「四乃森右近」。
年齢は25歳。身長180cm。
「るろうに剣心」に登場する「四乃森蒼紫」と「巻町操」の子孫であり、糸色本家に仕える御庭番衆として生誕した現地人。蝶よ花よと見守っていた「糸色賛」の出家に酷く狼狽えた挙げ句、何度か蝶野家に忍び込み、「蝶野攻爵」と仲良しになっていた彼女に笑みを浮かべ、見守る事を止めて京都に帰還した。
しかし、定期的に見守りに来ていた。
ネーミングセンスは皆無だったため、般若の付けたものをそのまま使っている。ミサイルやガトリングなど重火器を搭載し、プロペラ部位は剣として扱える。
【般若】
本名「忍者なので教えない」。
年齢は27歳。167cm。
「るろうに剣心」に登場する「般若」の子孫に当たり、「糸色賛」の善き姉御を務めている現地人。敢えて名前を隠して生活しているのは忍者という矜持を忘れないためと言っているが、実際は自分の華やかな名前に気恥ずかしさを感じているからである。
四乃森とコンビを組むのは暴走を止めるため。
マスクを装着する間のみ肉体強化を行えるシンプルな能力だが、般若の面を模しているため強化のステージは装着の継続時間と共に上昇する。