【本編完結】黒死の蝶の唯一留まる花   作:SUN'S

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ニュートンアップル女学院 序

日本有数の企業や資産家、旧家名家の子女の通うニュートンアップル女学院。私も通う可能性のあった女学院ですが、近付けば近付くほどにヴィクター・パワードの気配と臭いが色濃く残っている。

 

「賛、校内に入る方法はあるか」

 

「妹が通っていますので頼んでいます」

 

「妹か……次郎もそちらに目を向けていればな」

 

そう静かに言葉をこぼすお坊っちゃまの横顔は悲しさを帯びているものの、直ぐに普段の余裕と大胆さを感じる凛々しいお顔に戻ります。

 

どんな表情でもお坊っちゃまは素敵です。

 

「しかし、賛の妹か」

 

「とても可愛い妹です。浮気しちゃダメですよ?」

 

「するわけないだろう」

 

お坊っちゃまは呆れたように私の言葉に反論し、ニュートンアップル女学院の厳重な正門を抜けた瞬間、横薙ぎに放たれた銀色の流星を肘と膝を同時に叩きつけ、薙刀の刀身を粉々に砕く。

 

「どういうつもりですか?」

 

「此方のセリフです、お姉様。その様な変態さんとお付き合いしているなど聞いていません!!」

 

「確かにお坊っちゃまは見た目こそ蝶・セクシャルバイオレットな変態ですが、とても優しくて素敵な良い変態さんです」

 

「第一、あの蝶野攻爵はどうしたのです!」

 

「俺は此処にいるぞ。義妹よ」

 

その言葉を聞いた瞬間、彼女の動きは止まり、唖然とした表情を浮かべてアルバムを取り出す。御庭番衆仕込みの隠匿術は完璧ですね。

 

まあ、お坊っちゃまの成長には驚きますよね。

 

「……コホン。貴方が蝶野攻爵なのは理解しましたけど、お姉様とお付き合いするなら、もっとスマートでダンディズムに溢れる格好をですね」

 

「そういえばお父さんに纏わり付いていたのが居たけど。アレはお前か、趣味の良し悪しは姉に似なかったんだな。蝶・残念だ」

 

「お坊っちゃまの良さを知っているのは私だけで良いじゃないですか。それと奇もお義父様の事は諦めましょうね、遠くに行ってしまったから」

 

私の言葉に妹は不服そうに頷いた。

 

糸色家の仕来たりや伝統として名乗るなら糸色奇(いとしき あや)になる私の大切な妹も高校生ですし。やはり色恋沙汰には興味を持つのでしょう。

 

もっとも歳上趣味は分かりませんけど。

 

「奇、頼んでいた物はありますか?」

 

「えぇ、ちゃんと用意していますよ」

 

「…スカートが短いのでは?」

 

「ロングは私の物ですから」

 

チラリとお坊っちゃまを見れば楽しそうに笑みを浮かべて、私がミニスカートを履く瞬間を楽しみにしているのが簡単に分かってしまう。

 

ですが、早着替え出来ますから意味はありません。

 

 

 




【概要用語解説】

本作の単語や転生者、その親族を解説します。

糸色奇(いとしき あや)

本名「秋葉奇」。繋ぎ読み「絶奇(ぜっき)」。
年齢は16歳。身長は151cm。
「さよなら絶望先生」および「るろうに剣心」および「うしおととら」に登場する御三家のハイブリッドな血筋を受け継ぎ、生誕した現地人。実姉を尊敬する反面、変態と化したパピヨンを警戒している。

フィジカルもインテリジェンスもエリートな家系の中で秀でた才能は無しと言い張っているが、武術の腕前は「糸色賛」と同等であり、やる気さえあれば何でも出来るタイプの重度のシスコン。


好きなタイプはダンディズムに溢れる男性。


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