「お姉様、変態さんはやめませんか?」
「もう、良い変態さんなんですよ?」
「でもドレスタイツは嫌ですわ!」
「パッピー、言われまくりだな」
「蝶・素敵な一張羅なんだけどね」
私の大好きで蝶・愛しているお坊っちゃまのファッションセンスと雰囲気は確かに変態さんですけど。実は負けず嫌いでナイーブになりやすいところも全部可愛くて素敵な人なんですよ?
まあ、奇は刺爵おじ様が好みですし。
その刺爵おじ様も今年で私のお義父様に当たる方になるわけだったのですが、やはりあの方も次郎くんと同じくお坊っちゃまを疎んでいましたから、ああなってしまったのは必然と言える結果だった。
「ところで、二人は何をしに此処へ?」
「ちょっと欲しい情報を得るためだ。尤も賛はヤツの気配を感じ取って以降、身体が過敏になっているみたいだがな。出所は分かるか?」
「奇になら隠さずに、むしろ本家も知っている事ですから話しても良いけど。先ずは女学院に忍び込んだ不埒な方々を倒してしまいましょう」
「守衛のおじ様達、じゃないですね」
「見つけたぞ、マスクのホムンクルスだな」
「我らが創造主もお喜びになる」
奇も彼らの違和感に気付き、砕けた薙刀の代わりをスカートから取り出して伸縮する柄を引き伸ばす。アレは相楽家の倉に保管されている高祖母の書き記した武具の図案を元に完成させた伸縮槍ですね。
「奇、私にも槍を一つ」
そう言って奇に片手を差し出せばセーラー服の裏側に隠していた伸縮槍を差し出してくれた。蛮竜には及びませんが、中々の業物を穂先にしていますね。
「でしたら、此方をお使い下さい。しかし、この様な展開には私もお姉様も慣れています。糸色流槍術皆伝の腕前を攻爵お兄様にもお見せしましょう!」
「パッピー…お兄様だってよ」
「義妹、今の俺はパピヨンだ」
「分かりませんが、パピヨンお兄様ですね!」
短槍の間合いに柄を縮めた奇は素早く鋭い無数の突きを繰り出し、右腕を粉々に突き砕き、そのまま一気にホムンクルスの身体を突き崩していく。流石は私の妹ですね、突きに関しては私以上の腕前ですが。
「この生き物を倒す際は頭のマークを砕き、徹底的に破壊することを心掛けなさい!」
私も同様に柄の長さを調節し、間合いを縮めて廊下の壁に押さえつけ、章印に向かって二重の極みを五回ほど連続で繰り出して徹底的に破壊してみせる。
「槍、ありがとうございます」
「二重の極みを使うなんてズルいですわ!ここでも使って良いなら私もお姉様みたいに彼らを一発で粉々に打ち砕いていました!!」
「ウ~ン、蝶・ゴリラだ」
その呟きに私と奇はお坊っちゃまを見据える。
女の子にゴリラは禁句ですよ、お坊っちゃま?