それから二日後の昼下がり。
津村斗貴子の侵入を感知したヴィクター・パワードの奥様アレキサンドリア・パワード様の言葉に見回りに行くというお二人の娘ヴィクトリア・パワードに同行することになった。
ただし、私は奥様の武装錬金「ルリヲヘッド」を装着した肉体に制限を施した状態です。肉体の操作を奥様にお預けする分、二重の極みは使えず、従来の格闘技や徒手空拳を主体とした戦闘法になります。
「『また来たのか錬金の戦士よ』」
「仮面の男、貴様が持っていたあの黒い核鉄の事洗いざらい吐いて貰うぞ。武装錬金!」
その力強い意志は
「『良いだろう。相手をしよう』」
私の身体を操るアレキサンドリア・パワードの動きは正確ですが、決め手に欠ける動きばかり。やはり研究職の彼女に私の身体を操ることは難しいのでしょう。
高速移動する津村斗貴子の動きに合わせて外套を展開し、ルリヲヘッドはガードとアタックを同時に行う。戦闘法としては申し分ありません。
しかし、津村斗貴子には通じない。
「
「『あら、困りまがぐッ、お断り致します!」
「糸色賛、貴様が仮面の正体か!」
ルリヲヘッドを無理やり剥ぎ取って津村斗貴子の振るうバルキリースカートの関節を手足を同時に四方向に動かして弾き、ルリヲヘッドを回収しながら、そのまま大きく後ろに飛んで下がる。
「私は武装錬金を使用しません。少し身体を貸したのですが、やはり貴女と決着をつけるのは私です。誰の邪魔も指示も受けずに付けたい…」
「……ならば此処で貴様を殺す!」
「フフ、やはり貴女は素敵な好敵手です!!」
私と津村斗貴子は同時に地面を蹴り、素早く攻撃を繰り出す。バルキリースカートの四本を以前よりコンパクトに振るい、関節部をカバーしながら、二重の極みを放つ右腕を押さえつけ、衝撃の伝達をずらす。
「アッッ!!!」
「づぁ゛ッ!?」
「ううぅらあっ!!」
「ゴッ、がはあ゛ッ!?」
横隔膜を二度震わせて二重の極みを口で放ち、彼女の顔を弾き、がら空きになった地面に二重の極みを撃って重心を無理やり崩し、バルキリースカートに掴まれていた右腕を更に押し込み、渾身の振り下ろしで繰り出した二重の極みを津村斗貴子の腹部に極める。
地面に倒れ伏す彼女を見下ろしながら右腕を掴み、ポタポタと滴り落ちる鮮血に視線を向ける。土壇場で、二重の極みを極める瞬間に刀身を捻ってタイミングを僅かに逸らされてしまった。
ゆっくりと血を吐いて立ち上がる津村斗貴子に自然と笑みが溢れ、彼女のバルキリースカートは残り二本、私の二重の極みは左腕と両足、多少の無茶をすれば右手で撃つことは出来ますけど。
「殺す、殺す、絶対に貴様は殺す!」
「えぇ、えぇ、殺し合いましょう!」
嗚呼、本当に楽しいです…!!!
「賛、誰が傷付けと言った」
「斗貴子さん、落ち着いて」
二つの声に動きが止まり、振り返ったその時です。
「カズキ、んむう!?」
「お、お坊っちゃッ!?」
いきなりキスしてきたお坊っちゃまに驚きながら津村斗貴子を見れば彼女もキスされていた。呪われたお姫様を助けるのは王子様の口付けですけど、別に私達は呪われていませんよ!?
「「いき、いきなり何でキスした!?」」
「蝶野のおじいちゃんが『デンジャラスな女の子を止めるにはキスが手っ取り早い。ちなみに百年前にも似たことをしているよ』だってさ」
「俺は気分だな。血に染まるお前が蝶・サイコーに美しかったからだ」
こ、この破廉恥お坊っちゃまぁ……!!!