「錬金の戦士は二名、女子生徒は熟練、男子生徒・武藤カズキは未だに未熟……ですが感情の爆発をエネルギーに変換する
既に巳田先生、猿渡、蛙井、花房の四人は錬金の戦士によって破壊されてしまっている。お坊っちゃまを守れるのはもう私と鷲尾さんのみ。況してやお坊っちゃまの容態はここのところ芳しくない。
まだお坊っちゃまの悲願たるホムンクルスの幼体が成長しきるには二日も時間を必要とする。
「少し考えを纏めるために外に出てくる。お前達は着いてこなくて良いぞ」
「ですが、
「畏まりました。お気を付けて…」
お薬を詰めた鞄を持って部屋を出ていくお坊っちゃまを見送り、鷲尾さんに上空で待機、いつでも錬金の戦士の襲撃に備える事が出来る様にお願いをする。
窓を開けて直ぐに姿を消す高速の飛翔を見届けた私は培養液に漬かっているお坊っちゃまの生まれ変わるために必要なホムンクルスの幼体を眺める。
「貴方のおかげでお坊っちゃまは生きて、華麗なる変身を遂げる事が出来ます。早く、お坊っちゃまのために大きくなって下さいね」
そう告げると幼体は静かに、けれど。どこか力強さを感じる鼓動を繰り返す。あと二日、お坊っちゃまの生活を揺るがす存在は確実に消していきます。
しかし、武藤カズキに何処か懐かしさを感じるのは何故でしょう。突撃槍を振るう瞬間、どこかで見たことがあるように脳が錯覚した。
あの愚直な武装錬金の特性とは思えないですが、一応、警戒だけはしておきましょう。寄宿舎の廊下を歩きつつ、そう思案していたその時、
「お坊っちゃまッ!」
「え?うぉおあっ!!?」
窓を開けて直ぐに窓枠を蹴り、最短の位置と間合いで加速落下する途中で拳を受け止め、無理やり身体を捻って地面に腕ひしぎ十字固めに押さえつける。
───ですが、私は一瞬の隙を晒してしまった。
「カズキを離せ、コイツを殺すぞ」
「お坊っちゃまをお離し下さい」
武藤カズキを押さえつける刹那に、もう一人の錬金の戦士からお坊っちゃまをお守り出来なかった。ゆっくりと武藤カズキの拘束を解除すると、女もお坊っちゃまを取り囲む処刑鎌を解き、お坊っちゃまの返却を許した。
「お怪我はありませんか。お坊っちゃま」
「ああ、大丈夫だがこれは俺の失態だな」
「いえ、付き人としての私の責任です」
私とお坊っちゃまはお互いに謝罪を交わして錬金の戦士を見つめる。この間合い、二人の攻撃からお坊っちゃまを守るのは少々疲れそうですね。