かつて百年前の大戦にて負傷したヴィクター・パワードを救うために研究段階だった「黒い核鉄」を彼の心臓として代用した結果は人間でもホムンクルスでも無い、全く別の存在を作り出してしまった。
その五十数年後に起こった妖怪と人間の総力を決して挑んだ白面の者の討伐の最中、二つ目の「黒い核鉄」をニュートンアップル女学院で奪った第三者は白面の者の戦力に荷担し、この世界を破壊しようとした。
しかし、潮おじ様ととら様、私達の祖父母に、人間も妖怪も加わった最高最大最強の総力戦で白面の者は打ち倒され、第三者は海の底に沈み、眠りに付き、そして今まさに目覚めようとしているそうです。
「お坊っちゃま、ドクトル様の語った『彼』とは誰なのでしょうね」
「さあな。少なくとも俺の知っているヤツには黒い核鉄を持っていそうなヤツはいない。しかし、海上で決戦を行うらしいが、お前はどうするつもりだ?」
「ジェットパックを用意しました」
「武装錬金は使わないのか」
「蛮竜がありますから、それに」
「それに、なんだ?」
「私はお坊っちゃまに抱えて貰えます」
「ホウ?」
そう言うと作業を続けていたお坊っちゃまの動きが止まり、どこか面白いものを見付けたように私に近づき、その圧と迫力に思わず、後退り、壁際の本棚に背中をぶつけてしまう。
私よりも大きな殿方に肩を掴まれ、頬からうなじに手のひらが這い、お坊っちゃまの口が衣服越しに首筋に噛みつき、ビクリと身体が跳ね上がり、震える。
「ひっ、んんッ…!?…」
「既に何度もしているのに、相も変わらず賛は俺を昂らせる反応をするな」
「やっ、だめでッ…お坊っちゃ…っまあ…!……」
「……コホン。私もいるのでエッチな事は止めて頂けますか、賛お姉様とパピヨンお義兄様?」
チラチラと私達に視線を向けて恥じらう奇に私は恥ずかしさとみっともないところを妹に見られたことに赤面し、お坊っちゃまから逃げ出してしまう。
「いつも、こんなことを?」
「フッ、メイドを躾けるのはご主人様の特権だ。なにより賛のヤツは攻めれば攻めるほど楽しく可愛い反応をしてくれるから蝶・サイコーだ」
「賛お姉様、やっぱり変態さんですわ!」
「変態など賛美を贈るな。照れるだろう?」
お坊っちゃまの照れた顔に「ひいぃぃーーーっ!やっぱり私は包容力と優しさの強い殿方が一番です!!」と赤面して部屋の隅で深呼吸していた私の背中に抱きついて、お坊っちゃまに怯えています。
カッコいいんですよ、お坊っちゃまは?