【本編完結】黒死の蝶の唯一留まる花   作:SUN'S

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決戦に向けて 破

「まさかホムンクルスが我々に会談を持ち掛けるとは予想外でしたよ。最古のホムンクルスたる『孤高の極蝶』ドクトル・バタフライ、その系譜を継ぐ『蝶人』パピヨン、そして我ら錬金戦団と因縁深き糸色ですか」

 

「その発言はNonsenseだ。錬金戦団はヴィクターや糸色家こそ諸悪の根源の様に語っているが、君達の旧世代は人体実験や婦女誘拐は当たり前の様に行い、私の友は君達の身勝手な行為でどれ程傷付いたと思う」

 

「ドクトル、私は大丈夫だ」

 

開始早々に険悪な雰囲気の立ち込めるLXE創設者と大戦士長の白熱した口論を仲裁するヴィクター・パワードという謎の構図に錬金戦団は戸惑い、ドクトル・バタフライの言葉を否定する者もいる。

 

しかし、現実はドクトル・バタフライの方です。

 

「……我々を呼んだ理由は?」

 

「数週間後、我々はとある海域で大規模な戦闘を開始するつもりだ。かつての大戦に臆して逃げ惑った君達に伝えるのは酷だろうが、もう間もなく彼は目覚める」

 

「……彼とは?」

 

「かつて英雄に憧れるだけの人間だった男は、英雄に成るのは今だという我欲に呑み込まれ、私達がヴィクター化の解除の研究していた黒い核鉄IIを奪取し、闇に呑まれて白面の者に与した男だよ」

 

お坊っちゃまに視線を向けるもお坊っちゃまも首を傾げています。やはり、当事者にしか分からないことがあるのでしょうか。

 

「我々とその人物に関係が?」

 

「彼の堕ちた原因は君達だ。人を助けたとき、人の姿とかけ離れていたからと襲い、彼に絶望を与えた挙げ句、助けても助けても君達は見捨ててきた。正義の味方を気取るのは良いが、自分達の汚点を拭う努力をしたまえ」

 

おそらくヴィクター・パワードと武藤カズキの事を言っているのだろうと思いつつ、お坊っちゃまに預けていた肩に震えが走り、お坊っちゃまを見上げる。

 

怒っている。

 

多分、私も津村斗貴子が裏切りの戦士として扱われているとなれば怒ってしまいます。そもそも錬金戦団の人を助けるという目標に釣り合っている人が、キャプテン・ブラボーと武藤カズキしかいないのです。

 

「では、我々は静観しろと?」

 

「君は何を言っているのかね?私が言いたいのは過去の汚点を清算する機会だから、私達と共に彼の救命を手伝ってくれと頼んでいるんだが?」

 

「ドクトル、わざと煽る言葉を使うのはやめろ。私の家族を弄んだ挙げ句、年端も行かない娘をホムンクルスに作り替え、動けない妻をホルマリン浸けにしたことは許せんが、今は彼を助けるという話し合いだろう。だが、もしも叶うことなら私はお前達を皆殺しにしたい」

 

「「「「(と、トドメを刺した……)」」」」

 

またしてもドクトル・バタフライを諌めるヴィクター・パワードの語った内容は余りにも酷く、彼の最後に語った言葉は本心だと直ぐに理解できた。

 

そして、私達は意気消沈する錬金戦団の戦士やサポートに準じる人達の曇りに曇った表情に苦笑いを向けることしか出来なかった。

 

 

 

 

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