ヴィクター・パワードと同じように蛍火色に発光する髪を揺らし、空気を焦がす赤銅の肌に変わった武藤カズキと共に巨大な人間に突撃していき、真っ黒に染まった彼の身体に衝突すると二人は同時に相手のみに意識を注いだエネルギードレインを開始する。
「貴様等アァァァッ!!!」
ドクトル・バタフライやヴィクターに「彼」と呼ばれた第二の黒い核鉄の所持者は対抗するようにエネルギードレインを再開し、黒く鮮やかだった大海の海面は透明度を増していく。
プランクトンなど微生物をはじめとした生き物が三人のエネルギードレインによって死滅し、海面に浮き上がると同時に干からびるように消える。
「オオォオオォオオォッ!!!」
「ヌウウゥオオォオォッ!!!」
「グッ、邪魔だアァーーーーッ!!!!」
大戦斧と突撃槍の武装錬金を咆哮のみで弾き飛ばす彼の姿に心が歓喜に震える。強い、強くて最高の威圧感に戦いたいという気持ちが燃え上がる。
「お坊っちゃま、お先に失礼致しますね」
「ああ、今回は特別だ。好きにしろ」
「はぁい!!」
お坊っちゃまのお許しを貰えた私は蛮竜を放り投げる瞬間、もう片方の手を石突の月牙に引っ掛け、蛮竜の刀身に片足を乗せ、鍔を蹴って更に投擲の速度を速めて彼の身体を突き立てる。
「があっ!?グォッ!!」
「分厚い筋肉ですが、切り裂けます!」
腹筋の凹凸に指を引っ掛ける。
そのまま身体を捻って蛮竜を振り上げるように身体を切り裂き、私を狙って振るわれる張り手の巻き起こす風圧に任せて身体を浮かび上がらせ、ドクンッ…!と鼓動する蛮竜を引いて構える。
「その片腕を、いただきます!!」
身体を翻して太い腕を切り落とす。
───ですが、切り落とした筈の腕は瞬時に再生し、強烈なパンチを蛮竜で受け止めるも足場の無い空中では踏ん張る事が出来ず、空高く舞い上がる私を狙った手のひらが粉々に爆発し、砕け散る刹那に黒色火薬の線に添って、ゆっくりと姿勢を変える。
私はお坊っちゃまの腕の中に落ちる。
「全く、俺のメイドは元気一杯だな」
「ありがとうございます、お坊っちゃま」
「しかし、肉体の損傷を瞬時に再生を維持するには膨大なエネルギーが必要になる。既に武藤とヴィクターの二人のエネルギードレインを受けている状態で、俺と賛の攻撃で二度の再生を行った」
ニヤリとお坊っちゃまは笑みを浮かべる。
「「貫け、俺達の武装錬金ッ!!!」」
武藤カズキと津村斗貴子の二人が穂先に白い核鉄を挟んだサンライトハートを構えて膨大なエネルギーを放出し、
やはり、一つでは足りませんね。