鷲尾さんに指示を送りたいけど。私とお坊っちゃまが二人に近すぎて、彼も攻撃を行えずに上空で停滞し、私達の事を見下ろし、一瞬の隙を窺っている。
寄宿舎の一室に戻った私と錬金の戦士達は静かにお坊っちゃまの語るホムンクルス製造術の話を聞き、この僅か三年間でお坊っちゃまの成し遂げたホムンクルス製造術の成果に冷や汗を流す。
「お前の事情は凡そ分かった。だが、解せんのはお前だ。何故、コイツに手を貸す。先程のカズキを締め上げた動き、熟練の戦士の動きだ」
「錬金の戦士、私はお坊っちゃまにお仕えするメイドでございます。如何なる理由・動機・事情があろうと私の最優先は全て攻爵お坊っちゃまなのです」
にっこりと微笑んで、そう彼女に応える。
───刹那、武装錬金を発動して私を狙うように四本の
「ホムンクルスは全て殺す…!」
「お坊っちゃま、お下がりを」
「斗貴子さん、まだ彼女の名前もホムンクルスなのかも聞いていないのに攻撃するのはダメだ。それに、君も下手に煽る様な言葉は止めてくれ」
そう言って私と錬金の戦士、ときこの間に割り込んできた武藤カズキの無謀さに思わず、目を見開いてしまう。まさか、ここまで無鉄砲な人間がいるとは正直予想外すぎると言うべきなのか。
チラリとお坊っちゃまに視線を向けると下がるように指示を受け、ゆっくりと熊手に構えていた手を広げ、お坊っちゃまの近くに歩いて移動する。
既に攻撃の準備を終えている敵性対象に背中を向けようと最優先事項はお坊っちゃまです。
「……改めて、君の名前も教えてくれ」
「蝶野攻爵お坊っちゃまにお仕えするメイドの糸色賛と申します。銀成高校の2年生の武藤カズキ君と会話するのは今回が初めてになりますね」
「いとしき?それは糸に色と書く名字か?」
私と武藤カズキの会話にいきなり割り込んできた彼女の剣呑な雰囲気にお坊っちゃまと武藤カズキは気圧されてしまい、僅かに身体を強張らせる。
「おや、良く御存知ですね」
「成る程、蝶野と糸色の名前に聞き覚えはあったが。まさか現代で巡り会うのは予想外だった」
「斗貴子さん、どういうこと?」
「この二人は明治時代からずっと錬金戦団の任務を妨害し、幾人も返り討ちにしていた一族の子孫だ。特に糸色家は各分野に特化した人間を輩出し、現代に至るまで異常な成果を成し得る一族だ」
なんだか怪物を見つけたような言い草にムッとしてしまうけれど。確かに私の家系は何かと凄いことを成し遂げた人ばかりだと思うこともあります。
「やはり殺すべきだ!」
「残念♪︎もう時間切れだ」
私に
「お坊っちゃま、今の内に避難致しましょう」
「……ああ、そうだな。行こう……」
あと二日でお坊っちゃまは復活出来るのです。