確かに、ハッキリと奈落は武装錬金と叫んだ。
「不発?」
「違う、ヤツの武装錬金は下だ!!」
その言葉に私達の視線は海面に注がれ、海面を突き破って現れたものに思わず、私は驚愕してしまった。私達の近くに立つ巨大なロボットよりも大きく、巨大という言葉以外に例えようの無いものがいた。
「遂に現れたか、奈落の武装錬金が」
「マスター・バタフライ様、アレは一体?」
「五十数年前、白面の者に与した奈落が大戦の折、たった一度だけ使った現存する武装錬金の中で断トツの巨大さを誇る最大規模の
人間ひとりが島を作り出せるという事実に冷や汗を流しながら、マスター・バタフライ様のチャフの踏み台を使ってお坊っちゃまの隣に着地する。
小さな島なんてものじゃないですね。
「総員、武装錬金を起動して攻めろ!」
「まだヤツの特性が分かっていないのに突っ込むとは愚の骨頂も良いところだな。賛、俺の予想が外れていなければ大事になる、後ろに隠れておけ」
「はい。分かりました」
そっとお坊っちゃまの背中に回り込んだ瞬間、地鳴りと強烈な爆発音が響き渡り、私の髪とスカートが爆風によって浮き上がり、慌ててスカートを押さえつけます。
破廉恥な攻撃ですね、全く。
「何が、起きたのですか?」
「一人の女が現れた瞬間、強烈な竜巻と突風が起こり、錬金戦団の奴らを吹き飛ばし、次に小さな女が現れると同時に武装錬金を写し取った」
「つまり、どういうことですか?」
「
あの規模の武装錬金に、まだ他の特性を持った敵もいるというのですか。それはなんと恐ろしく、心が滾ってしまう事実なのでしょう。
「私の道を妨げるな、人間…!」
「まるで自分が人間ではないように言いますね」
「事実だ。私は妖怪だからな」
その言葉に小首を傾げてしまう。確かに、妖怪の存在は知っていますし、妖怪の友人も一人か二人はいます。ですが、奈落には妖怪特有の気配は感じないのです。
「貴方、妖怪ですか?」
「……どういう意味だ」
「いえ、妖怪なら先程の攻撃で攻め込んだ彼らを確実に殺していました。そうしないのは、あなたがまだ戸惑っているからでは?」
「だまれ、貴様のような小娘に……ッ!?」
私の顔を見た奈落の動きが鈍り、ゆっくりと私に向かって手を伸ばす彼の手をお坊っちゃまが力任せに弾き、ギロリと睨み付ける姿に心臓が高鳴ってしまう。
素敵です、お坊っちゃま。