「悟心鬼の身体を砕くとはやるね」
「お坊っちゃま、何やら強そうな剣士ですよ」
「剣士か。なら早坂弟に任せておけ」
片目を瞑った剣士の登場に私は驚きつつ、お坊っちゃまに話し掛けると白い胴着と袴を履いた早坂秋水が日本刀の武装錬金を起動して歩いて此方に近付いてくる光景に時代劇を見ている気分になります。
「早坂秋水」
「……嗚呼、自己紹介ね。夢幻の白夜だ」
律儀に挨拶を交わす二人の事を見ていたい気持ちもありますけど。
しかし、この島民の数は多すぎますね。
蛮竜を振るってエンゼル御前様のように可愛さを全面的にアピールした
ふと毛色の違う存在が混ざり始めたとき、私は空を舞うお坊っちゃまの身体に抱きついて、ワラワラと群がるように集まってきた彼らを見下ろす。
「人間、人間だぁ!!」
「お、お坊っちゃま、ゾンビが…」
「ふむ、
「それはもうバグなのでは?」
私の言葉にお坊っちゃまも肯定するように頷き、足元に群がっているゾンビっぽい自動人形の身体を切り裂き、真っ直ぐに熱風を弾き飛ばす。
ゾンビは怖いですけど。
やはり怖いものに関わるのはお坊っちゃまと生きていく上で必ず遭遇することですし。出来るだけ我慢できるようにならなければです。
そう未来の事を夢見てしまったそのとき、強烈な熱風が私に向かって襲いかかってきた。このパワーッ!?まさか、そんなことがあり得るのですか?
「随分と楽しそうね。メイドさん」
どこか武藤カズキの面影と私に似た雰囲気を纏う背の高い女の人が蛮竜を担いで立っている。長く美しく艶やかな黒髪をポニーテールに結んだ、白いタンクトップ、黒いジャンパーとジーンズを着こなす彼女に、私はハッキリとした見覚えがある。
「お婆様…?」
「ピチピチのお姉さんにお婆様はないでしょう?全く、本当に私の孫とは思えない感じに育っているけど。その大鉾が認める程度には強いみたいだ、ねッ!!」
「なっ、くううぅぅっ!!?」
力任せに片手で振り払われた蛮竜が凄まじい熱風を巻き起こし、私の身体と蛮竜が軋みを上げる程に強烈な一撃に私は大きく後ろに吹き飛ばされる。
「ハハハッ!!私の孫を自称するわけだ、今の剣圧に耐えるなんて並大抵のヤツじゃ無理だよ!」
「くうッ!?こんのぉ…!!」
私よりも巧みに大鉾を操り、遠当ての二重の極みを震脚で巻き起こす姿は正しく鬼神その者です。いつも穏やかなお婆様を、どうしてお爺様が「怒ったお婆様は怖かった」と話していた理由がようやく分かってきました。
「さあ、掛かってきなさい。孫娘」
「OK。参ります、お婆様!」
でも、こんな戦いを止めるなんて無理です!!