私の振るう蛮竜と対等に渡り合えるお婆様の蛮竜の放つ気配は本物と遜色無く、唯一違うところを挙げると私の蛮竜と違って、お婆様の握り締めるあの蛮竜の刀身には大きな傷跡がある。
「もういっちょ行くわよ、雷竜閃ッ!!!」
「ぐっ、蛮竜!」
二度の雷竜閃に対して熱風を巻き起こして無理やり軌道を変えて直撃は避けるものの。やはり、その衝撃を完全に打ち消すことは出来ず、右腕に雷竜閃の拡散する雷撃が掠り、全身に凄まじい衝撃が迸る。
「うッ…がふっ…!」
「まだまだ雷を操るに至ってないわね。蛮竜の認める使い手として真価を発揮できるように、もっと妖怪や魑魅魍魎の類いと激闘を繰り広げるべきね」
「…生憎と私はお坊っちゃまのために生きると決めています。お婆様とお爺様の様に戦いの中で出会い、結ばれるのも憧れはします。───ですが、私の愛はお坊っちゃまに捧げるものです!」
「全く、小生意気な孫娘に育ったわね。けど、その啖呵は最高に痺れるわ!」
まるで鏡合わせのように蛮竜を振るい、お互いの身体を剣圧で切り裂きながら横薙ぎ、切り上げと切り落とし、石突と柄打ちを何度も衝突させる。
しかし、私より10cm以上も高いお婆様と渡り合えるのも時間の問題です。体格が違えば筋力も変わり、より背丈の大きい人ほど有利になるのは誰でも簡単に分かることであり、更に加えてお婆様の強さは完璧に蛮竜を操ることが出来ることにあります。
「(蛮竜、私に力を貸しなさい。あんな偽物の大鉾に負けるなど貴方も望んでいないでしょう。私と共に、この心が昂る戦場を駆け抜けなさい…!)」
私の意志を伝えるように蛮竜の刀身に手のひらを添えながらお婆様の攻撃を弾き、受け止め、往なしていたその時、今まで以上にハッキリと鼓動が聴こえる。
「聴こえる。貴方の昂る心が…」
ドクンッ…! ドクンッ…!! ドクンッ!!!
お婆様の握り締める大鉾を粉砕するために蛮竜の刀身が激しく鳴動し、熱風が空気を焼き焦がし、猛々しく燃え盛る炎の作り出す。
「お婆様、三度目の正直、参ります」
「えぇ、本気で相手してあげるわ!」
お婆様の振るう渾身の一撃は雷撃を弾き出し、私の振るった横薙ぎの一撃は扇状に拡がっていく炎が雷撃を掻き消してお婆様の握り締める大鉾を砕き、彼女の身体を焼き斬り、身体の殆んどを消し飛ばした。
「まさか孫娘に負けるか。こういうのもアリね」
「……ご指導、ありがとうございます」
「フッ、ハハハ、本当に律儀な子ね。こういうときは強い人を倒したことを喜ぶものよ。まあ、私は奈落の生み出した模造品、本物には劣るけどね」
「いいえ、貴女も私の大好きなお婆様です。貴女のおかげで更に私は強くなることが出来ました。蛮竜の使い方も少しは理解できました」
そう言うとお婆様は満足そうに笑って塵に変わって消えてしまった。残ったのは何の特徴も何の気配も感じない
偽りでも本物に劣るわけではありません。
やはり、お婆様は最強ですね。