武藤カズキと津村斗貴子を医務室に残して、私はお坊っちゃまのために食事を作るために厨房をお借りして、簡単な料理を作っているとキャプテン・ブラボーに熱烈なアピールを繰り返している奇を見つけた。
あの子も恋を知ったのですね。
とても良いことです。
「お姉様、良いところに!」
「戦士・賛、どうにかしてくれ!」
私の存在に気づいた二人は同時に叫び、お坊っちゃまのためにチキンオムライスを作っていた私の傍に駆け寄って来るなり、奇は誠心誠意の告白を受け取ってくれない事を嘆き、キャプテン・ブラボーは自分のようなオッサンでは不釣り合いだと伝えてくれと懇願してきます。
「あらあら、どうしましょう」
そう言って私は困った風を装いつつ、お坊っちゃまの待つ食堂にチキンオムライスとコンソメスープを運んでいる最中も私の後ろで二人は言い合っている。
しかし、二人の言葉はお互いを思い遣っている言葉ばかりで嫌い合っている訳ではありません。むしろ出会って数日で良く人見知りな奇が、ここまで本心から想いを言える関係になれましたね。
「お坊っちゃま、お夜食をお持ちしました」
「ん。ああ、そういえば奈落と戦っていたときから何も食べていなかったな。で、その後ろに付属している奴らは何をしているんだ?」
「歳の差の恋でございます」
お坊っちゃまも理解したのですが、奇の年上好きが本気だった事にビックリしています。
「ウチの家系って、こうダメそうな殿方を好きになる事が多いのですけど」
「賛、それだと俺もダメな男になるな?」
「お坊っちゃまは素敵な人です♪︎」
にっこりと微笑んでお坊っちゃまを褒める。
私は決してダメそうな殿方を好きになっているわけではなく、蝶野攻爵さんという人を好きになっただけですからダメそうな殿方だから、あなた様を好きになったわけではありませんよ。
「ちなみに先日のヤングお婆様は典型的なダメそうな殿方を好きになっちゃう傾向が強すぎてお爺様を捕まえるのは速かったそうですよ」
「お前の家系はたまに心配になるな」
私のチキンオムライスを食べながら奇とキャプテン・ブラボーのやり取りを見物するお坊っちゃまの隣に腰掛け、コンソメスープを淹れたカップを口許に寄せて、コクリとコンソメスープを一口飲む。
しかし、奇の恋路が実ると私は年上の義弟を持つことになるんですね。津村斗貴子は実質身内のようなものですけど。二人が結婚する前に決着をつけておかなければいけません。
そのためにも早く奈落を倒さなければですね。