【本編完結】黒死の蝶の唯一留まる花   作:SUN'S

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共闘戦線を結ぶ 急

「賛おねえちゃんだー!」

 

「お久し振りです、まひろさん」

 

私に飛び付いてきたまひろさんを抱き締めるように受け止め、彼女の胸の厚さを羨ましく思いつつ、私達の方に歩み寄ってきてくれた武藤カズキと津村斗貴子に向かって冊子を差し出します。

 

「武藤君、糸色家の兵法書です」

 

「態々持ってきてくれたんだ。ありがとう。ところで、なんで蝶野の顔に紅葉の痕があるの?」

 

「デートだと偽ったからです」

 

あの時のように無知な私を連れていったキラキラしたホテルに向かおうとするなんて酷いです。メイド服ではなくお坊っちゃまの好きなチャイナ服まで着たのに、エッチなのはいけません。

 

乙女心を騙すのも酷いことです。

 

「フッ、武藤もいずれ分かる」

 

「よく分からないけど、腹立つ」

 

「糸色、お前も苦労しているな」

 

珍しく私を労ってくれる津村斗貴子の優しさに「ありがとうございます。津村さん」と感謝の言葉を伝えて、お互いに少し大変な恋人がいる戸惑いを労います。

 

まあ、お坊っちゃまと武藤カズキのふたりは蝶・ハイセンスな殿方ですので、こうなってしまうのは仕方ないことです。まひろさんは意外な事にファッションセンスは流行物を取り入れていて、とてもオシャレさんです。

 

「賛おねえちゃん、そういえば夏休みに一回だけ家に帰ったときに神棚にコレが有ったんだけど。お兄ちゃんや斗貴子さんが使ってるヤツだよね?」

 

そう言って彼女が鞄から取り出したものに私達の視線はくぎづけになってしまった。武藤カズキや津村斗貴子にとって日常の象徴とも言えるまひろさんが、核鉄を持っていればそうなるのは当たり前ですけど。

 

「ご実家にあったのですか?」

 

「試したらね、なんか喋るステッキが出てきた!」

 

まひろさんの天然さに頭を抱える津村斗貴子と「まひろ、お兄ちゃんはお前の不用心さが心配だよ」と苦笑いを浮かべ、お坊っちゃまは「流石は武藤の妹だ。天然ボケは遺伝するようだ」と納得している。

 

「名前は何にしたんですか?」

 

「名前?ウ~ン、考えてないや」

 

「では、一緒に候補を考えましょうか」

 

「待て、お前が行ったら大変な事になる!」

 

まひろさんと一緒に武装錬金の名前を考えようとしたら津村斗貴子が割り込んできた。彼女も一緒にまひろさんの武装錬金の名前を考えたいのです。

 

まひろさんのお友達を引き連れて、寄宿舎に向かう前に「お坊っちゃま、少しだけお側を離れます」と伝えると「俺も武藤に話したいことがある」と呟き、何やら真剣な表情を彼に向けています。

 

 

 

 

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