指示されたままに移動していく。
正直聞きたい事は山ほどあったのだが、全部はこの件が終わった後という事で説明してもらえなかった。
その代わり、即席で呪力の操り方を講義される。
特級クラスの戦いに初陣に出る前準備が呪力を感じる特訓ってマジ……?
電車に揺られ、バスに揺られ、やってまいりました、呪術高専!
「マジで? マジで……?」
5歳のぷりちー幼女にどうしろと仰る……?
『よし。体貸せ』
それから、私の体は勝手に動いた。
靴を放り投げ、移動する。私許可してませんがぁ!?
足が、足が痛いからぁ! 裸足裸足!
おい。おいちょっと待て。待てって!
私はパニックに陥る。
なにせ、私の前にはそっと体を潜ませる大男がいたからだ。
しかも私はその男に真正面から歩んで行ったからだ。
死ぬって! マジ死ぬって!!
「なぁ、伏黒甚爾。五条悟を殺すのはやめにしてくれねーか」
ばかああああああああ! もひとつおまけにばかああああああああ!!
「ああ? なんだガキ。あいつのファンかぁ?」
「あいつは使い潰すって決めてんだよ。こんな所で死んでもらっちゃ困る」
伏黒甚爾は容赦なく幼女に蹴りを入れてきた。
軽く避けて蹴りを返す私。
当たるけど効くわけがない。そらそーだ。幼女の蹴りで吹っ飛ぶ大人がいるかいな。
「中々いい動きするじゃねーか。お前もフィジカルギフテッドか?」
「さてな」
「だが、年齢が足りねーなぁ!」
再度伏黒の攻撃。避ける。
相手の攻撃を避ける事しばらく。
話し声がする。どうやら、不穏な空気を察して様子を見に来るようだ。
「ちっ! 奇襲の予定が!」
「おっとこっちも時間か」
私の体の支配権が戻ってくる。
今戻ってきても困るんですけどおおおおおおお!?
「子供!?」
「ぴゃあああああああああああん!!」
ナイフが迫り、呪霊が私を助けてくれる。
夏油傑!
私は夏油傑に抱きあげられ、力の限り抱きついた。
「ぴゃあああああああああああん!!!」
「君は!?」
「こいつ、五条悟を殺すって!」
私は伏黒甚爾を指差して告げ口する。
「何!?」
「つまり刺客ってやつだな。傑。そいつを降ろせ」
「この子も刺客っていうのか? 悟」
「わからない。そいつの術式は、遠隔からの操作を受け入れる事だ」
「は?」
その時、私の体は勝手に動いて傑の胸に顔を埋めていた。
「そういう事♪ 俺がいるからにはもう安心だからな、任せとけよ、傑♡」
「はぁ? 君、もしかして悟、かい?」
「はぁ!? えっ マジだ。マジで? 未来の俺とか?」
「伏黒甚爾。息子の恵を守りたいなら、今は潜伏しとけ」
「えっ どういうこと?」
そして、私は虚式「茈」をぶっ放した。
あえて外されたそれに、甚爾は忌々しげな顔をして消えた。
「傑ー♡ 俺頑張った! 褒めて褒めて♡」
「ああ、うん、偉いね……?」
「天内の同化も急がねーと。行こうぜ、傑♡」
そういって、夏油傑の手に頭を擦り付ける。
全身で夏油傑に甘え、ぬくもりてぃを感じる。
「悟、幼児化してないかい……?」
「俺にはわかる。これはエロ親父化っていうんだ」
そうして、夏油の胸から私を引っぺがそうとするが、私は術式まで使って夏油傑に吸着する。諦めて五条悟は問いかける。
「お前、未来の俺なの」
「さあな」
「縛りで言えねーの?」
「そう。大事な事は何も言えない」
「なんで傑にベッタリなわけ?」
「……」
無言でぎゅっと傑にしがみつく。
「同化、いそごーぜ」
促されて、移動を始める。
「天内には絶対に同化してもらわねーと、スッゲー困るんだ」
入り口までつくと、ここまでと言われる。
「傑。絶対、絶対天内に同化してもらって。約束。あと、もうちょっとだけ一緒にいて」
そうして、私は夏油傑に縋り付く。
「ごめん、傑……!! 貰ったもの、何も返せなくて……! 俺、今度こそ、今度は俺が、守るから……! だから絶対、同化任務遂行しろよ。俺はお前と生きていたい……!」
ぎゅっと縋りついて謝って泣く私。
な、何があったんだ!
そして時間切れが訪れる。
私は自分の体を取り戻した。
そして一瞬で操作される。
「悟、ごめんね? 理子ちゃんを同化されたら、困るんだよ。私は……私も、君を守りたいんだ。この命とこの体を奪われるとしてもね」
そう言って、私は呪霊を出して理子ちゃんを転移させた。
「は?」
「お嬢様!」
「理子ちゃんは安全な場所にいるよ」
お前ら、事前に意思を統一してもろて。
夏油→伏黒→虎杖の順でバトンタッチして、私は逃げおおせた。
バスと電車で移動した所を、術式と徒歩で帰ったのだ。めちゃくちゃ疲れた。
はあ?
はあ?
はあああああああああああああああああああああああああああ!??
頭の中では、5人が今日の事について盛大に言い争っている。
事前に!! 相談!!! せえよ!!!!!
バスとか電車内の時間があったんだからさぁ!!!
あと、当然私は警察に捜索されていて、両親にめちゃくちゃ怒られた。