ほしぐま、ねくらす、しゅゔぁるつ 作:東京<アズマ キョウ>
Discordのメッセ仲間とカップリングで話をする機会があり、そこで投下したドクター受けプロットを書き直してみました。(Dr.エッグマンの方はまだ時間がかかりそうです、申し訳ない)。
「いやはや、旨い。ささ、ドクターももう一献」
そう言ってホシグマはドクターの杯に果実酒を注ぐ。対して酒に強くない彼のことを慮ってか、普段から強い酒を嗜むホシグマにとっては弱い酒精であろうそれをおいしそうに呑む姿を見て、ドクターもつい喉がなって酒を飲み干してしまう。
杏の上品でとろけるような甘みが舌と鼻を覆うように漂い、彼の脳髄に自身が杏の果肉の中を泳いでいるかのような感覚を齎してくる。
うまい、思わずドクターはうなる。
「喜んでいただけたようで何よりです。これは小官が手ずから吟味した代物でした」
流石はホシグマ、旨い酒を知っているんだなと彼女を讃えるドクターの様子を見てほほ笑み。
「私はこれをドクターと一緒に味わいたいと思っていたんですよ」
我が目に狂いはなかったと言わんばかりにホシグマは鼻を鳴らした。
◆◆◆
チェルノボーグ事変から始まった龍門近衛局との付き合いは紆余曲折を経て今に至るが、ロドスは久方ぶりに炎国の領域に入り、炎国西部の玄関口ともいえる龍門付近に停泊することとなった。当然通行に関する許可を得る必要があるため、ドクター達ロドスの面々は龍門行政府に赴いて諸々の手続きを行った。
煩雑とはいえ欠かすことのできない手続が多い中、ものによってには処理に時間のかかるものや部署的な取り扱いの異なるものなもあったため、いずれにも決定判断を下さなければならないドクターが一番長く行政府内での手続きを強いられた。
必要人数的に帰っても問題ないアーミヤ達はドクターが指示をして先に宿泊施設に戻らせている。立場上仕方のない事とはいえ長く仕事をこなすことになったドクターは、手続きが完了してようやくプライベートの時間を取り戻すと解放感から何だか飲みたい気分になった。
「おや、ドクター。お疲れ様です」
眠らない都市の行政府から脱出したドクターの前に龍門近衛局の鉄壁、碧色の髪に天を衝く一本角の女傑ホシグマが姿を現した。恰好は普段の近衛局制服ではなく、龍門のストリートファッションブランドとして強く支持されている「飆」の中でも白墨を流し込んだかのような模様の袖が特徴の私服であり、彼女もまた仕事から退勤した所なのがうかがえた。
「お帰りですか。折角ですし、小官が帰り道の護衛を務めましょう……の前に、どうですか、仕事終わりの一杯は」
指で輪を作り口元にそれを寄せ、さも酒器に注がれた酒を舐めるように舌を動かし、金珀の流し目を送るホシグマの姿に少しどきりとしながらドクターは了承する。
事実、役所内ではお茶などの水気はあっても軽食などは出なかったため、ドクターの体は食の快感を強く求めていた。それにドクターはホシグマの食や酒に関する造詣を信頼している。龍門近衛局の切り込み隊長だったチェンや財政界に顔が利くスワイヤーと同行することが多かった彼女は下級警官や上流階級者との交流に経験があり、その際に幅広い種類の料理を味わう機会に恵まれていた。そのお陰で彼女の舌は肥えており、龍門における高級料理からB級グルメまでの旨い店を良く知っているのだ。
彼女に任せれば大当たりに違いないと、ドクターはホシグマの手を取り龍門の電光看板の元を歩んだ。
◆◆◆
「今のドクターが飲んでいる酒だと、肴は果物か野菜のほうがいいでしょう」
ホシグマ秘蔵の、一階に酒場、二階に宿泊所のある酒楼。
土木労働者、会社員、非番の警官など様々な龍門人が酒楼の料理と酒をめいめい楽しみ大いに盛り上がっていた。他者の喧噪もまた酒楼の醍醐味ではあるが、今回はホシグマが店主に予約していた静けさのある個室でドクターは彼女おススメの酒とツマミを食べていた。
折角の再会なのでゆっくり呑もうというホシグマの提案を受け入れたドクターは、彼女の選んだ部屋の落ち着き具合や数多くの酒、新鮮で濃厚な肴のお蔭で心がどんどん満たされていく。
ホシグマの選んだ酒はどれも甘味を活かしており、かつて人々が美酒を「甘露」と表現したのはこういうことかと納得できる程においしく杯が進む。ツマミとしての果物や野菜も絶品で、最初は肉が欲しいとも思っていたドクターもこれはこれで趣があるとすっかり気に入っていた。
普段はアーミヤやハイビスカス、フォリニックのような健康管理を第一とするオペレーター達に節制を求められ、逆にブレイズやパラス、マウンテンのような大酒呑みのオペレーター達とは巻き込まれないように警戒していることもあり、今回のように気楽に自分のペースで飲める酒というものはドクターにとって非常に心地よかった。
正に羽目を外す、というものだろう。酒の旨さも相まって、杯の乾く暇はなく、また満たされる暇もない状態だった。
「ドクター、流石、いい飲みっぷりです。見ている小官も心地よくなります」
酒瓶並木の向こう側で、ホシグマが楽しそうにほほ笑む。ドクターは良い店を紹介してもらえた感謝を伝え、ホシグマにはここの代金は自分が持つと提案したが、ホシグマは柔らかく笑みを浮かべてそれを辞した。
「なに、お気になさらず。ドクターを独占してこのように卓を囲み、共に杯を交わせたことが小官にとって何よりの褒美です」
至れり尽くせりで申し訳ない気もするが、酒精が回った頭はそれもいいかと理性をなだめ、ホシグマに勧められた果実酒を呷る。
「勿論、貰うものは貰いますが」
ホシグマは何かを言ったが、ドクターはそれを聞き逃していた。
◆◆◆
個室から直接移動できる二階の宿泊室。部屋の中には予め香が焚かれており、酔った頭をさらにぼんやりしていく感覚がドクターに警鐘を鳴らして焦らせている。
酒精に浸かり芋虫ほどの力も出なくなった腕をどうにか動かそうと、体よりかは幾分かましの働きをしている頭を必死に回転させるドクター。その様子をホシグマは彼の真上から見下ろしている。
ホシグマは片手でドクターの両手を掴み、足を股の間におき、上質な布地を十分に使ったベッドの上からドクターが転げ落ちないようにのしかかっていた。
「ドクター、酒が回っているのでしょう?暴れないでください。激しく動いてしまえば酒が抜けてしまいます」
ホシグマはドクターに顔を近く寄せながら言葉を紡ぐ。彼女の碧色の長髪が重力に従ってだらんと下がり、ドクターの顔の両側をまるで簾のように覆い隠している。この部屋にはホシグマとドクターしか居ないが、もしも他の者が傍から見ればキスの一つや二つしていそうな距離であった。
そうはいっても、よってふらついたにんげんがそのままベッドにほうりまれて、みぐるみをはがされそうとなればていこうするものだろう
ドクターの口から酒気が漏れ出る。酒は飲むもよし、見るもよし、嗅ぐもよしとするホシグマにとって、その香りは中々に味わい深いものだった。
「ええ、ええ、そうでしょう。そうやって褥で身をもぞもぞとくねらせる様は、大変、良い物だと思います。眼福です、ドクターは目で見ても楽しめるのですね」
絹糸の如き緑幕の中にいる二人、一人は高揚感で、一人は酩酊感で瞳を揺らしている。
部屋の外から差し込むネオンの光だけが彼女らを見つめていた。
なにをいっているんだきみは
「すーっはーっ、ああ、果実酒と生果実の香りが体中から漂っている。舐めとればきっと甘いに違いない」
ばかなことをいわないでくれ、とにかく、りょうてをおさえるひだりてをはなしてくれ
ホシグマとドクターの距離が一気に狭くなる。ホシグマはドクターの首筋で大きく息を吸い込むと、そのまま口を開けて喉仏から口元までを一気に舐めとった。
「なんと、甘い、甘いですよドクター。やはり体というものは食べたものでその風味を変えるんですね、いつまでも舐めていたいほどです」
名残惜しそうに舌を収めた口からとろけるような声色がドクターの耳元でささやかれた。ドクターは舌触りと耳心地に思わず身を震わせながら、精一杯の抵抗を続ける。
なめ、ないでくれ、それはきみがなめたばしょにかじゅうがついていただけだろう
「ふふふ、今日は甘いものが食べたくてドクターにこだわりぬいた一品たちをおススメしたのが功を奏しました」
ドクターの困惑をよそに、ホシグマは耳たぶをついばむようにかじりながら呟いた。
とつぜんなにをいいだすんだ、ホシグマ
「知ってますかドクター、高級食材の中には畜獣に香草や果物だけを与えて風味を変えたものがあるんですよ。だから貴方の体はきっと極上の甘味になっているはずです」
それはごかいだほシグマ。あれはあくまでにくしつのかいぜんやあぶらのへんしつがおもであって、じっさいににくのあじふうみがかわるわけじゃない
教養としての知識で、ドクターも畜獣の中には香草や果物のみを食べさせて肥育させる手法を知っているが、あれは厳格な食肥管理と厳選された飼料による肉質の改善、そしてこだわりぬいた手法によるブランド化というものが重要であり、本当に食べさせたものの香りがそのまま体に染みつくわけではない。よく肉食・雑食は肉が臭く草食は臭くないとは言うがだからといって草食獣畜に出荷までずっと香草を食べさせたところで肉が香草風味になることはない。ましてたかだか数時間果実酒を飲んだドクターの体がそのようになるわけがないのだ。
尤も、そのような事実と学術的見解は今のホシグマにとって何ら意味はない。重要なのは今ここに美味なる肢体が己の眼前に横たわっているという現実だ。
「その分野にも詳しいのですね、お見事です。でも、小官は浅学なので実際に試してみない事には理解できないのですよ」
ドクターの解説、その声を味わい褒め称えながらもホシグマは
まつんだほしグマ、どうしてわたしのズボンをぬがせるんだ
器用にベルトの金具を取りズボンの留め具を外そうとするホシグマの手を振り払おうとドクターは身じろぎを大きくするが、一般的な力量程度しかない上酒精で力むことすらできなくなっている体には龍門近衛局の一線を張り続けた猛者の腕の前には敵わない。それどころか、ホシグマにとってその動きは図らずも腰を揺らす蠱惑的なそれのように見えたため、彼女に臍の下が急に燃え出したかのような熱を感じさせていた。
ホシグマはもはや遮るものがなくなったズボンを一気に降ろし、そのままドクターの
「肉は最後にとっておくとして、まずはドクターの搾り汁からいただこうかと。玉子は準備していないので残念ながら童子蛋、いや博士蛋は作れませんが。素材の味を楽しむならこれもまた一興」
まってくれ、わたしをたべるのか、ほしぐマ。わたしはおいしくなんてないぞ
ドクターはこれから起こる末路を想像しながらも、ホシグマ推薦の果実酒によって鈍った頭では無駄だと判らないまま最後の抵抗を試みる。
「ドクター、ご存じですか?私は鬼なのですよ」
かつて極東では鬼族の勇猛さ、戦場での残虐さ、他種族をものともしない膂力などを指して『人を喰う』と怖れられたというが、きっと己が祖先もこのように怖れられたのだろうなとホシグマは思う。そして、ドクターから浴びせられる視線が、酒気に紛れて漂う焦燥の香りから得られる甘美があまりに美味だったがゆえに、きっと祖先もこうして組み敷いた相手を貪ったのだろうとも彼女は思う。
今、彼女は目の前の肉を喰いたくてたまらなかった。
やめ、やめてくれ、ほしぐま。み、みえてしまう
「見せてくださいよ、ドクター。私がそんなこと気にならないくらいおいしく頂きますから」
こっからの派生は多分ありません。この後の展開はそのまま食われるもよし、ロドス面子が救出に出ても良し、他の乱入者と仲良く食べても良しです。読者様の想像に任せます。