東方鉄道録(リアル志向)   作:UMC OGASOU

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EF64重連総括牽引タキ1000 石油輸送列車

これは、雪に閉ざされた木曽路をひた走る、ひとりの運転士と鋼鉄の馬の、静かで、力強い物語――


Phase one.EF64 Double-unit Towing Tank Car 1000

冬。

木曽の谷を白く包む雪が、すべての音を呑み込み、静寂だけが支配する。

 

その静けさを破って、ひとつの列車が目を覚ます。

中津川駅。まだ夜が明けきらぬ構内に、重厚な鉄の咆哮が響く。

EF64形1000番台、双頭の電気機関車が、長く連なるタキ1000の列を従えて始動した。

 

運転士の名は――魂魄妖夢。

真面目で、冷静。

感情を見せることは少ないが、その胸には熱い責任感が燃えている。

 

「雪……思ったより積もってきた。」

 

独り言のように、けれど彼女の声が運転室に響く。

出発灯が青に変わり、妖夢はブレーキハンドルを静かに前に押した。

 

 

 

峠へ向かう道は、平穏ではなかった。

倉本駅に差しかかるその時――前方に、ひとつの小さな影が写った。

 

「非常ブレーキッ!」

まさかの事態が起きぬようにブレーキをかけた。

 

それはチルノだった。雪にはしゃぎ、線路の近くに踏み込んでしまった。

 

「そういえば、前にも子供が雪玉投げてたな」

「見通しが効きにくいから、油断しないでおこう……」

 

やがて、南木曽駅。 

雪が激しくなったため、ここで列車は、除雪待ちのために一時停車を余儀なくされる。

 

そこに現れたのは、にとり。河童の整備士であり、差し入れ係。

青い作業着に身を包み、熱々の缶コーヒーと饅頭を両手に抱えてやってきた。

 

「除雪車は大丈夫か?」

「大丈夫さ!! だって私が整備したもん!」

 

小さな自信と確かな腕を持つにとりの言葉に、妖夢は小さくうなずいた。

 

そこへ、小傘が駆けてくる。息を切らし、手を振りながら。

 

「なに走ってんだろーね?」

にとりが呟くや否や――小傘は見事に滑って、雪の上に転がった。

 

「……あ、滑って転んだ」

 

茶番のような一幕に、妖夢はわずかに笑みを漏らしそうになる。が、表情は崩さない。

 

 

 

再び発車。

妖夢「状態よし!シリーズパラード!」ガチャッガチャチャ

しかし、木曽谷の急勾配に差しかかったところで、列車は空転を起こす。

車輪が、雪を噛まない。

 

機関車がうなり、車体が震える。

だが、妖夢はハンドルを握ったまま、前を見据えて言った。

 

「砂撒き!」

「よし、再粘着。いける」

 

鉄の意志がこだまする。

EF64重連は、ゆっくりと――確かに、再び前へと進み出す。

 

 

夕方――。

 

雪の山中、ひとり焚き火を囲む影がある。

それは藤原妹紅。燃える炎と、遠くに聞こえる機関車の唸り。

 

 

凍てつく風が吹き抜ける。

妹紅は、ただその列車を見送り、また静かに火をくべた。

 

 

 

夜。

風と雪と、鉄の音だけが世界を満たす。

 

妖夢は、何も語らない。

列車もまた、ただ走る。

誰に見られるわけでもないこの夜の時間を、使命だけが突き動かしていく。

 

 

 

そして――

 

遠くに、町の灯りが見えてくる。

塩尻の街が、ようやくその輪郭を現した。

 

「もう少しで、私の担当は終わりだ……」

「町の光が見えてきた」

 

ゆっくりと、朝が近づいている。

 

その一瞬、妖夢の顔がやわらいだように見えたのは、

夜が明けかけているせいだったのかもしれない――。

 

 




ここでの妖夢は真面目さんです。
MMD実現したいなぁ…
声をどうしようか考えております。
ゆっくりは…なんかヤダ。
なんかいい方法あったら教えて下さい。

次回予告
Senohachi rear auxiliary engine EF67
~セノハチ後部補機EF67~
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