IS インフィニット・ストラトス 武器を憎む琥珀の少年 作:八神刹那
「ハハッ・・・・・・。結局はこうなるのか」
砂漠のとある廃墟で少年は自嘲気味に笑いながら煙草をくわえていた。毛先だけを赤く染めた茶髪に優しい琥珀の瞳。まだ、20にもならない若い少年だ。
師匠譲りの二丁のガンブレイドが目の前に転がっている。銃弾はもうなく、ただの近接用の武器と化している。だが、少年にはそれことはもう叶わない。
もうどれだけ走ったのか、どれだけ撃ったのか、どれだけ身体が傷ついているのかわからない。
「フー。因果応報っていうのはこのことを指しているのか」
唯一使える右手で最後の煙草を消す。彼の左手は数分前に消し飛ばされた。
空からハインドが何機も飛んでいる。おそらく少年のことはすでに捉えられているのだろう。パイロットがその気になれば少年をハチの巣にすることなど造作もない。
「打つ手なしか」
少年がしょうがないと空を見上げる。空は赤く、朝焼けか夕焼けなのかわからない。それでも暗がりの空に光る星々を綺麗だ。
「いたぞ!」
「囲め!」
少年を追っているHTC社の傭兵部隊が周囲を取り囲んだ。
「われらの仲間の敵。撃たせてもらうぞ。ソラン・S・ストラディス!」
傭兵たちが少年に銃口を向ける。避ける体力はとうに使い果たしている。それにもう抵抗する気はない。十分、戦った。
「最後に何か言いの残すことはあるか?」
隊長らしき人物が問う。少年はそうだなと言って
「お前たちはこんな世界で満足か? こんな表裏はっきりした世界で、血で血を洗う世界で? 俺は・・・・・・」
コートの中身を見せた。傭兵たちがぎょっとする。コートの中身は無数の爆弾。それもここ周辺を軽く吹き飛ばす超高性能の代物だ。
隊長が退避を命じる。
「もう遅い。この世界はどこまで落ちるのか。はたまた、尾を噛む蛇となるのか。あの世で見ていてやるよ」
それでも少しだけ後悔している。家族のこと。仲間のこと。そして、恋のこと。
(・・・・・・ちゃんと言っとけばよかったな)
脳裏をよぎったのは自分に戦いのことを教えてくれた隻眼の女性。あの人美しい人いないだろう。
だから少しばかりためらったが、彼女はもういない。
「俺ってやっぱバカだよな」
笑みを浮かべながらスイッチを押した。光が輝き、爆発。きのこ雲を作り出し、その砂漠一帯を消し去った。
少年の名はソラン・S・ストラディス。SSSと呼ばれた凄腕の傭兵であった。
だが、少年は知らない。爆発の直前、彼の周りだけが怪しく光、彼だけがどこか別の場所に飛ばされたことを。
そして、それが彼の新たな戦いの始まりだということを・・・・・・。