IS インフィニット・ストラトス  武器を憎む琥珀の少年   作:八神刹那

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episode2 戦う理由

窓から見える空には3機のIS。それを見た美涼は

 

「ラファール・リヴァイヴ。それも特殊部隊使用が3機。かなりやばいかも」

 

少しだけ顔を青ざめていた。

 

「確か、ISを軍事的に利用することは禁止されているはずだろ。なんでこんなところに!?」

「それはやっこさんに聞かないとわからないわ。それよりもついてきて」

 

美涼はそう言って足早に部屋から出ていく。階段を降り、地下へ向かう。ロックされた扉を開け、中に入ると、そこは

 

「博士。敵です」

「わかってるわ。どこの国?」

「そこまでは・・・・・・」

「リヴァイブだから欧州のどっかだろうけど、いきなり撃ってくるなんてね」

「どうします?」

「うーん」

 

多種多様な機器。どうやらISを研究するための施設らしい。しかも

 

「おねぇちゃーん!」

「こわいよー!」

 

子供までいる。それを見たソランは

 

「子供を利用しているのか?」

 

美涼をにらんだ。

 

「まさか、この子たちはただの孤児よ。それも戦災孤児。離党するなんて人聞きの悪い」

 

彼女の目を見る限り、嘘ではないようだ。

 

「しょうがないわね。ウィングは?」

「まだ無理です。最終チェックすらしてないんですよ。それに武装だって」

「良いわよ。サーベル一振りあればいけないことはないわ」

 

話を聞いている限り、彼女が一人であの三機と戦うらしい。

 

「ソラン君。元傭兵でしょ? うちの職員を退避させて」

「・・・・・・あなたはどうする?」

「私しか戦える人がいないでしょ。時間稼ぎぐらいできるわよ。ほらさっさとデータをまとめて」

 

そういうと彼女は装甲が置かれたISの前に立つ。

 

「ねぇちゃんいっちゃうの?」

「帰ってくる?」

「うん? 心配しないの。私は大丈夫だから。それにほら男なら泣かない!」

 

その美涼の周りの子供たちが囲む。その光景は

 

『マルー! ディナ!』

『お兄ちゃん! いやだよ!』

『ソラン兄ちゃん!』

 

あの事件と似ていた。ソランはゆっくりと美涼の前に立ち、

 

「俺のIS。動かせるのか?」

 

と言った。

 

「あなたがデータを解析してくれるならね。なに? あんたが戦うの?」

「ああ」

「さっきは兵器が嫌いとか言ってったのに?」

「確かに俺は兵器が嫌いだ。だが、目の前で人が死ぬのはもっと嫌いだ。だから、戦う」

「・・・・・・また戦うだけの日々になるかもよ?」

「それが俺の道なら歩くだけだ」

 

ソランの決意に美涼は

 

「オーケー! 気に入ったわ。そうなったら。総員ただちに船に乗って退避! とんずらするわ!」

 

意気揚々と指示を出した。

 

「ソラン君はこっちに来て。それとあのアクセサリーを」

 

美涼はそういうと天井に穴の開いた一角にISを展開させる。黒と赤を基調にしたオーソドックスなIS。

 

「パスワードは?」

 

それを聞いたら思い当たる単語は一つしかない。

 

「ヨルムンガンド」

 

それを聞いた美涼が素早くパスワードをj入力すると

 

「よし! ロック解除! って! なにこの機体!」

 

データを見た美涼が驚きの声を上げる。

 

「はあ!? なにこの拡張領域!? おまけに瞬時換装システム!? どうなってんのこれ!?」

 

接続した機体のデータを見ただけで美涼は悲鳴を上げる。画面に映し出されたのは現存する度のISをもう上回るほどのスペック。

 

「機体名トワイライト。どうなってんのよ・・・・・・」

 

色々な考えが脳裏をよぎるが今はそれどころではない。

 

「行けるのか?」

 

ソランの声で美涼が現実世界に引き戻される。

 

「当然。機体に手を触れてみて」

 

美涼の言葉にソランは躊躇することなく、目の前のIS、トワイライトに触れる。

 

「これはっ!?」

 

手を触れた途端、金属同士が擦れ合う音とともに頭の中に情報が流れ込んでくる。

ハイパーセンサー最適化完了。装甲展開完了。

 

システムオールグリーン

トワイライト 機動

同時にソランの体にISが纏っていく。体がふわりと浮かぶ。

体を確認する。纏ったのは黒を基調にし、赤いラインが入ったシンプルな機体。てっきり全身装甲かと思っていたがそうではなく、顔や体の一部分だけは露出している。

初めて使う兵器だが、不思議と負ける感覚はなかった。

 

「いける?」

「ああ」

「よし。戦い方はあんたに任せる。だが、その機体はまだ一次移行してないから気を付けて!」

「了解。ソラン・ストラディス。トワイライト! 出撃する!」

 

ソランはスラスターを吹かせ、空へと飛んだ。

視界に移ったのは青空。機体は自分が念じた動きそのまま動く。

 

「すごいな」

 

素直に驚くと、モニターが敵を映し出した。3機。ラファール・リヴァイヴという機体らしい。

 

「今の武装は・・・・・・」

 

指定されたのは両腰に装備された刃の付いた銃。ガンブレイド。それを握ったソランはうっすらと笑った。

 

「なるほど。おあつらえな武器だ」

 

握った得物はあの世界と同じ感覚。神が本当にいるなら粋なことをしてくれたものだ。

ソランは敵機をとらえ、傭兵の顔つきになる。

 

「状況開始・・・・・・!」

 

黒い機体トワイライトはスラスター吹かせ、3機の敵へ駆けて行った。

 


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