一話
時は深夜2時バスの一角の部屋で僕ことシンクレアはベッドで腹を鳴らしていた。
「……」
僕はむくりとベッドからおきあがりできるだけ音を出さないように、寝間着のままバスの廊下に出た。
廊下には僕一人の足音だけが響く、
こんな時間だから大きな音を出してヒースクリフさんとかを起こしてしまったたら、間違えなく管理人さんに
時計を回してもらう羽目になるだろう。
僕はお腹をさすりながら夕飯の事を思い出した。
「……ちょっとファウ、さすがにこれだけ! ってことはないよね」
「いいえ、これだけです」
今日の夕飯、僕達に配られたのは小麦色の拳大のブロックと水一杯だけだった。
茶色い髪の長身の女性が右腕が虫になった男を巻き込んで白い髪の女性に訴えかける。ロージャさんにグレゴールさん、ファウストさんだ。
「ねぇファウ、いつももちょっとアレだけど〜さすがに今回はひどくない? そう思うよね、ダーリン?」
「ファウストさん、ロージャの言うとうりだ、さすがに今回のは俺もアレだと思う」
ロージャさんとグレゴールさんの訴えを皮切りに、皆が皆不満を漏らす、今この瞬間静かなのは、ムルソーさんだけだ。ロージャさんはファウストさんを何とか説得しようとしている。
「ねぇファウ、やっぱりさ、お肉食べに行かない? 噛めば肉汁がジュワって溢れるやつ、さっきねお店見つけたか、ら……さ」
だがその主張とみんなの不満はウェルギリウスさんの赤い視線一つで時間が止まったかのように静かになる。
「……ふむ、静かになったようだな、そのまま目の前の物を静かに食ってもらえるとありがたいんだが」
その一言で一斉に食べ始める。
ブロックの味としては良くいえば素材本来、悪く言えば小麦粉の味しかしなかった。
一口噛めばその物体の硬さに驚き、
二口噛めば口の中の水分すべて奪われ、
三口噛めば水を飲まないと飲み込めない、
コップ一杯の水が甘露のようにも思えた。
はっきり言ってコップ一杯じゃ足りないと思う。
そして量も少なかった。多分ファウストさんのことだから栄養面は完璧なんだろうけどいかんせん量と味と見た目が悪い。
ロージャさんは終始「お肉食べたい」って言っていた。
そうして、今僕はこの、給湯室の前に立っている。
僕達が、乗っているバスの一角には給湯室がある。
調理器具などが揃っていてあんまり凝らない物なら作ることが出来るだろう。
と言っても使う人はそんなにいないけど、
「えっとたしかにここに管理人さんが、」
管理人さんはお金の使い道がないからとたまに何かを買って来てくれる。前々回はパスタ、前回はインスタントコーヒー、今回はカップラーメンだったはず。
「あれ? チキンスープじゃない、それに麺も長い」
カップラーメンの側面には醤油味と書かれており、イラストに写っている麺は僕が知っているカップラーメンより何倍も長い。もしかして売っている地域によって製造方法とか種類とか違うのかな、
「……醤油って、なんでしょう」
えっとたしか、良秀さんとイサンさん、それとホンルさんのとかのところの調味料だったはず、
一応僕が知っているカップラーメンもあるかもしれないからとさがすが、これしか見当たらない。
いや、あったけど唐辛子のイラストがバカみたいに付いてたから多分僕には食べられない。頭の中のロージャさんにからかわれるがそれに反論して、醤油味と書かれたカップラーメンの料理方法の欄を見る。
「えっと、大体同じか」
取り敢えずお湯を注いで三分待てばいいらしい。
ここらへんは同じなのか、
取り敢えずお湯を沸かし、その間にカップラーメンを蓋を開ける。開けたカップラーメンを前に考える。
そもそも醤油味というものはどう言ったものだろう?
色合い的にソースとかに近いのかな、
「とっ沸きましたか」
そんな考え事をしているうちにお湯ができたようだ、
お湯を注いで、蓋を閉じ、フォークで重石をする。
ふわっと立ちのぼる湯気に、思ってたよりずっとはっきりした香りが混じっている。ちょっと甘くて、でもしょっぱい……これが、醤油ってやつなんだろうか。
「……三分、ね」
備え付けの時計をみながら、三分を待つ。なぜかいつもよりずっと時計の針が遅く感じられた。
「……」
醤油のいい匂いが給湯室を包み込む
腹の虫が早くしろとせかしてくる。
もう限界になり時計を見る。まだ二分しか経ってないが
「まだ、二分しか経ってないけど……いいですよね」
と自分でも誰に向けた言い訳はわからないが、そう呟いて、蓋をそっと開ける。
フォークで麺を持ち上げる。ちょっとだけ固い。
でももう――我慢できない。
「いただきます」
意気揚々と麺をくるくるとパスタのように巻こうとするけど、上手くできない。まるで意思を持ったかのように僕のフォークから逃げていく、
「あ、あれ?」
それでもなんとか一口分をフォークに絡めて、そっと口に運ぶ。
麺はまだ少し固かったけど、しょっぱさと香ばしさが口の中に広がった。
「美味しい」
今度はもう少し大胆に巻いてみる。やっぱりうまくはいかないけど、それでも一口ずつ、ゆっくり、ゆっくりと食べていく。
気がついたら、目の前にはスープしか残ってなかった。
少し健康に悪いけど僕はそのスープも飲み干した。
「ご馳走様でした」
スープであったまったお腹と一緒に、頭もだんだんぼんやりしてきた。
ゆっくり立ち上がって、眠るためだけの夜に戻る。
給湯室の扉をそっと閉めて、僕は、誰にも気づないように部屋に戻る。
「おやすみなさい」
評価と感想もらえると、とても嬉しいです。
次は誰が来るだろう
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展開が決まってないイサン!
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展開が決まってないファウ!
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展開が決まってないドンキ!
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圧倒的ママムーブ! 良秀!
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展開が決まってないムルソー!
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展開が決まってないホンル!
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少し決まってるヒース!
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少し決まってるイッシュ!
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背徳感のロージャ!
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多分ママムーブするウーティス
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展開決まってないグレおじ!!
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カロン襲来!
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アヤ&ユーリちゃん!