知に飢えた悪魔   作:赤道さとり

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~前書き~

■スピンオフ第1弾:ハンジゾエ 連載スタート!

・話数としては10話ほどを予定しております。
・今回はプロローグのため、かなり短めです。

※ご注意:文章構成の形式は関連作品【進撃の巨人~もう一人の選択~】と異なります。

↓それでは、本編へどうぞ↓




#01 吊るされた少女

 

 

私は捨て子だった。

 

どこで生まれたのかはもう覚えていない。

 

…イヤ、忘れたかったのだろう。

 

本当の家族すらも__

 

 

 

=====

 

 

 

 

 

 

ガサゴソ……ガサゴソ…

 

 

「…こ、これで良いかしら?」

 

「あぁ、これだけ()()()()()()なら受け入れてくれるだろう…」

 

「だと…いいけれど…」

 

 

母親の心配を他所に、籠の中の子どもは瞳を輝かせている。

 

 

「おかーさま、おとーさま、今度は何して遊ぶの?」

 

「そう…ね、隠れんぼでもしましょうか。私たちが隠れるから『もういいよ』と言うまで数を数えるの……できるかしら?」

 

「うん、できる!」

 

「それじゃあ、()()()()()大きな声で数えてくれるかい?」

 

「わかった!…いーーちっ……にーーいっ……さーーんっ……よーーんっ…」

 

 

父親の言うことを素直に聞いた子どもは、楽しそうに数を数え始める。

 

 

「ひゃくじゅーきゅっ……ひゃーくにじゅうっ!……もういいかーい?」

 

「……」

 

少し待ってみるも、返事はない。

 

 

「まだかな?……もういっかい数えるよー!はい、いーーちっ……にーーいっ…」

 

 

子どもはまたしばらく数え続ける。

 

 

「…ごひゃくにじゅう…ご……ごひゃくにじゅう…ろく…」

 

 

気が遠くなりそうだ__それでも、子どもは数え続ける。

 

 

「…きゅうひゃく…きゅうじゅう……きゅう……えっと、次は…」

 

 

意識が朦朧としかけた__その時。

 

 

「…次は『千』じゃ」

 

「だ、誰っ!?」

 

 

目を開けると、そこには白髪の老人が立っていた。

 

 

「主こそどこぞの者よ。そこで何をしておる」

 

「…えっとね? おかーさまに、()()()()()()()って言われてて……今は隠れんぼをしているんだよ!おじいさんはそこで何をしているの?」

 

「わしはこの村の者じゃ。ここで生物やらの研究をしておる」

 

「研究!? おじいさんは博士なの?」

 

「いや、そういった“博”は持っておらん。独自研究じゃ」

 

「すごいや……ねぇ、どんなものか見せて!」

 

「…よかろう」

 

 

子どもと老人はしばらく見つめ合った。

 

 

「…あの……できれば、降ろしてもらえないかな?」

 

「なんじゃ、自分で降りられんのか。まったく…どう隠れ鬼をするつもりだったのやら」

 

「隠れ鬼?……隠れんぼじゃなくて?」

 

「色んな言い方がある。じゃが……此度のはその()()()()()()()な」

 

「ふーん、よくわかんないや…」

 

 

老人は籠が掛けられている枝に手を伸ばしながら、子どもの顔を覗き込む。

 

 

「主の“呼び名”を考えたぞ」

 

「え!なになに!?」

 

「…『ハンジ』じゃ」

 

「ハン…ジ?…うーん、変な名前だね」

 

「そうか? 今の主には()()()()じゃと思うがな」

 

「そうなの?」

 

「そうじゃ」

 

「ふーん、ならいいや!」

 

 

籠から下ろされた子どもは、トテトテと老人の後を追う。

 

 

「そういえば、おじいさんの名前を聞いてないよ?」

 

「…わしは、シュタインズ・ゾエじゃ。村の者共には『ゾエ爺』と呼ばれておる」

 

「ゾエ爺!いい呼び名だね……名前はちょっと変だけど」

 

「ふっ…散々言われてきたわい」

 

「…それで、ここはどこなの?」

 

「ここか?……ここはな…」

 

 

 

()()()()()__『クロッツ村』じゃ。

 

 

 

 

 

 

=====

 

 

 

そう、これが『ゾエ爺』と『私』の出会いだった。

 

 

 






〜後書き〜

まずは本作品に目を通していただき、誠にありがとうございます!

原作では、その奇想天外な発想力や素早い頭の回転を武器に、調査兵団のブレーン(頭脳)として活躍したハンジ・ゾエ。

彼女の天才的な思考回路の原点に、博士のような人物に育て上げられたというエピソードがあったら面白いなと思ったのが、本作品のきっかけとなります。

著者の別作品【進撃の巨人〜もう一人の選択〜】にも関連する内容ですが、あくまで原作の『ハンジ・ゾエ』というキャラクターと向き合った上で、その“生い立ち”を想像し得る範囲内で描いております。

架空の登場人物が大半を占めますが、なるべく世界観は守るよう努めて参りますので、どうぞよろしくお願いします(´-ω-`)


◼︎次回予告:『#02 変人の巣窟』


◼︎おまけ
◎シュタインズ・ゾエ
 ・通称『ゾエ爺』
 ・ハンジの名付け親
 ・クロッツ村の長であり、研究者

◎ハンジ(Hange)の由来
 ドイツ語で「吊り下げる」などの意である【Hängen】が由来という“設定”です。

※参考にした情報が古いものでして、現在進撃の公式サイトではハンジの綴りは『Hans』となっていますが、本作品では独自解釈として『Hange』のままとさせていただきます。
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