魔法科高校の任侠妖怪 作:椿℃
第壱話
「ふぁ~……眠い」
大きい欠伸が出てしまった。それもそうだ、昨日は一睡もしてないのだから。
親父が「入学祝いだ」とか言って夜の街に無理やり連れて行きやがったからだ。
入学式の前日の夜に息子を連れ出す父親がどこにいる。緊張を解すためだったのだろう。多分そうだ、そう信じたい。しかし親父は、思い立ったが吉日という言葉があるが、まさにこの言葉がぴったりな気まぐれな人だ。単なる思いつきだったのかもしれない。だとしたら迷惑千万である。帰ってきたらもうあと10分で4時になるような時間だった。今寝たら入学式に遅刻をしてしまうと思い、結局寝ずに起きていたわけだ。 まぁ、楽しかったから良かったが。
その後、あのままでは寝てしまいそうだったのですぐに学校に向かった。どうやら俺が一番だったようだ。時間を見たら入学式が始まるまで3時間もあったので、少し散歩する事にしたのだか。
「どんだけ広いんだ、この学校は。高校というよりまるで大学だな、これは」
◇ ◇ ◇
1時間ほど歩いただろうか。一通り校舎などが見終わり、近くに見つけたベンチに腰を下ろす。途中で何人かの生徒とすれ違ったが特に声もかけられなかった。ぬらりひょんの血の影響で気付かれにくいのか? そんなに流れていない気がするが。
近くにあった自動販売機で眠気覚まし用に買った珈琲を飲みながら空を見上げる。雲一つない快晴で、気温もそれほど低くなく、太陽の陽が丁度良く照っている。駄目だ、このままでは寝てしまいそうだ。何か眠気が覚める物はないものか。そう思い辺りを見渡すと、少し離れたところに一組の男女がいた。あの二人も新入生だろうか。二人とも美形であり、なんとなく顔の雰囲気が似ている。双子なのか?
違いといったら制服くらいだ。女子生徒の制服には両肩と左胸にこの『国立魔法大学付属第一高校』の八枚花弁をデザインしたエンブレムがあるが、男子生徒のブレザーにはそれがない。
「血の繋がった家族でも関係なく分けられるのか」
この学校では入試の実技の成績から、入学時点で一科生と二科生とに分けられる。分けられるといっても、大した差はない。勿論、桁外れな奴もいるだろうが、ほとんどの生徒は大して変わらないだろう。
現在、魔法を教えられる人間が少ないため、優秀なものに優先して教えるためだそうだ。また、魔法は精神の状態に影響を受けやすく、ちょっとした事故で魔法が使えなくなってしまい、が毎年何人かの生徒が退学している。俺は実際にそういう人を見たことがないから分からないが、何かの本に書いてあったからそうらしい。そういうときのための二科生だそうだ。所謂補欠要員ってところか。
会話は所々しか聞こえてこないが、どうやら男子生徒が二科生であることが女子生徒には納得がいかないらしい。話し終わったらしく女子生徒は何処かへ行ってしまい、男子生徒だけがその場に残った。
すると、彼のそばを3人の生徒が通りすぎ、こちらに向かってきた。講堂の方から来たからおそらく上級生か。
「あの子ウィードじゃない?」
「こんなに早くから……補欠なのに張り切っちゃって」
「所詮、スペアなのにな」
近付いてきた上級生たちの会話が聞こえた。おそらくあの男子生徒に聞こえいるだろう、いや聞こえるようにいったのか。彼がいる側からは見えないだろうが、こちら側からはよく見える。彼を嘲笑っている3人の顔が。
(ちっ、最悪だ。こんな奴らが上級生なのか。入学式もまだ始まってもいないのに嫌な気分だ、気晴らしに何処か落ち着く所にいくか)
一科生の制服にエンブレム(花)がついていることから「ブルーム」、それに対して二科生は花を持たない雑草と揶揄して、「ウィード」と呼ばれている。
二科生を「ウィード」と呼ぶことは建前としては禁じられている。
それは、生徒たちの中では、半ば一般的な蔑称として二科生たち自身にも定着しているらしい。
自分たちを単なるスペアだとしか思っていないらしい。
「気に入らん」
歩きながら考える。俺はこれが気に入らない。親父は言っていた、『強い奴は弱い奴を守らなければならない。そして決して蔑んではならない。それが奴良組を継ぐものだ』と。それは、二科生のように立場の弱い奴らも守る対象なのだ。奴良組の4代目となるものとしてはこの問題は見過ごせない。大体二科生も二科生だ。
「勝手に諦めてんじゃねぇよ」
先日、黒羽丸が烏から聞いてきた話しでは、元々二科生の制服に花がないのは、年度途中に募集した生徒の制服を用意する際の発注ミスが原因だそうではないか。さらに当時の官僚達が自分達のミスを認めず、それを改善しなかったせいでそれが定着してしまったらしい……なんて馬鹿げた話しだ。国民の苦しみを分ろうともせず、悠々と贅沢な暮らしをしているこの税金泥棒が。
自分の制服についているエンブレムを見て改めて思う。
(俺はあいつらとは違う、二科生達を差別しない。こんな馬鹿げている慣わしなんかぶっ壊してやる)
◇ ◇ ◇
「……ぃ斑様! 鯉斑様!」
五月蝿い、何だこのカラスは。俺の名前を何度も何度も。
人(妖怪の血流れているので人といっていいのか分からないが)が折角寝ているというのに…………!?
「はっ! ……しまった、今何時だ」
気付いたら寝てしまっていたようだ。慌てて制服のポケットから懐中時計を取り出して現在時刻を確認した。針は入学式が始まって30分を過ぎたところを指していた。もう間に合わない。まぁ問題ないか、別に新入生総代というわけでもないしな。それに、どうせ式に出たところで眠気に耐えられずに寝ていただろう。
あの上級生達の会話を聞いてから妙に苛立ってしまい、特に目的地も決めず、早くあの場所から立ち去りたい一心で歩いた。そして、先ほどとは別の場所のベンチに座った。ここまでは別に何も問題はなかった。
問題は次だ。何故ならこの場所も、寝るのに快適だったのだ。しかも、やけに静かすぎた。これで、寝るなと言われたら一体どこで寝ればよいのか。
「ちっ、今日は朝から良いことないな……こんな所で寝過ごしてしまうとは……」
いや、そもそもこの場所が悪い。徹夜した奴がいるというのに 、まるでこんな最高の環境で構えているベンチが! 気温が! 太陽が! 俺には見えた、ベンチには「御自由にお眠りください FOR FREE」という文字が。つまり、
「いや、俺は悪くない」
「いえ、100%鯉斑様が悪いです。入学式に遅刻とか、奴良組4代目候補であるというのに、あり得ませんよこんなことは。リクオ様に何て申し上げればよいのでしょうか」
「ん? 親父なら笑って、『入学式をサボるなんて面白ことするじゃねぇか、だが程々にな』とか言いそうだが」
「あー、夜の三代目でしたら何となく想像がつきますねー。しかし、昼の三代目でしたらお怒りになられますよ?」
「あ 、そうか。昼と夜で性格変わるんだった」
何でも、昼の親父は昔(といっても大分前。中学生頃の話だが)、超真面目だったらしい。さらに眼鏡(伊達である)なんかかけて、「良い奴」なんて言われていたと聞いている。一方で、夜の親父は何だか適当に生きてそうな感じがしており、昼と夜の差が激しい。まるで別人である。
母さんも突然変わって何度も驚かされた、と恥ずかしいそうに言っていた。…………一体なにをしたんだ、夜バージョンの親父は。まぁ、日が暮れる頃に帰れば昼の親父と鉢合わせすることはない。だが最近、二つの性格が合わさって出てくるときがあるから油断ならない。
「なんですぐに起こさなかったんだ……起こす気はあったのか?」
「酷い言われようですね、私はずっと起こしていましたのに……あまりにも起きないので、もう少しで嘴でつつこうと思っていたくらいなんですから!」
「もしそんなことしたら、明鏡止水”桜”で焼きカラスにするぞ」
「ほら、いつも若がそんなことをおっしゃるから強く起こせないんですよ!」
今俺が話しているのは、カラスだ。何故カラスが喋っているのか不思議に思うかもしれない。それはそうだ、カラスは喋らない、普通は。こいつは妖怪、烏天狗である。
烏天狗
《剣術と神通力に秀でいる。服装は山伏(修験道の行者)の装束で、烏のような嘴、黒い羽毛に覆われた体を持ち、自由自在に飛翔可能》
こいつの名前は麗羽、俺の世話係だった。
俺の第一高校入学にあたり、学校でのサポートもするように親父に命ぜられた。
普段は人間に似た姿をしているが、今は神通力で”カラス”に変身している。サポート係だというのに、さっきまで見かけなかったはずだが……いったいどこに行っていたのだろうか。
「それは、若が3代目一緒に帰って来られたと思いましたら、すぐに学校へ行かれたからです。慌てて私も準備をして学校へ向かいました。私は若のサポートをしなければいけませんから。しかし、学校に着いても、若のお姿が見えませんでしたから、先ほどまで探していたのです」
「ふーん、あっそう」
「あっそうとは何ですか! 私がどれだけ探したと思っているのですか!!」
どうやらお怒りのようだ。黒い羽根をバタバタと羽ばたかせて、俺に説教をしている。こいつは俺に対して過保護なところがある。一つ文句でも言ってやろう。
「カァーカァー、五月蝿いぞ麗羽。お前は俺の母さんかよ」
「えっ? 何をおっしゃっているのですか、若のお母様は氷麗様ですよ。私は世話係です」
「そんなもん冗談に決まっているだろう。冗談を真に受けるな、この馬鹿ラス」
サポート係というがこの通り、少し阿呆である。さすがカラスだ。こういうのを世間では天然というだろうか? 俺にはこいつはただの馬鹿にしか見えん。
話を続けてもらちが明かないので、話題を変えることにした。
「麗羽、式はどうなっている」
「えー、講堂近くに配置させていますカラスによりますと、生徒会長の歓迎の言葉が終わって、新入生総代の生徒の答辞が始まっている、とのことです。この様子だと、あと20分くらいで終わります」
麗羽は学校中にカラスを配置させて、カラス達を監視カメラのように利用し、今起こっている状況等を俺に報告してくれる。
近くにいなくても、遠くにいるカラスの見ている景色や聞いている音を、神通力を使用し、まるで自分が体験しているように感覚を共有が出来るらしい。勿論、麗羽側からだけであり、一方的なものである。
麗羽はこれをカラスネットワークと読んでいる便利だな神通力。 以前、家の蔵で見つけて読んだ本に似たようなのが出てきた気がする。確か語尾が可笑なアホ毛クローンだったか。
「あと20分……か。歩けばぎりぎり式が終了する前にには講堂に余は裕に着くな」
麗羽と話していたら結構な時間が経ってしまった。
ベンチから立ち上がり伸びをする。今すぐにでも家に帰りたいところだが、式の終了後にやらなけれないけないことがあるので、講堂に行かなければならない。
正直面倒である。しかし本人が行かないと意味ない。気が進まず、重い足を講堂の方向へ動かす。しばらく歩いていると、麗羽が話しかけてきた。
「鯉斑様、どちらに行かれるのですか? 校門はあっちですよ」
「ん? どこって講堂だよ、講堂」
「何故ですか? てっきりもうお帰りになるのかと……」
「入学式終了後に学校施設を利用するためのIDカードが配布されるんだよ。それがないと、なにも出来んだろ……そうだ麗羽、歩きがてら新入生総代の言葉がの内容を教えてくれないか」
「分かりました……えー」
総代なのだから、当然一科生だろう。どんな答辞なのかがなんとなく気になった。
麗羽経由で聞いた話しによると、「皆等しく」とか「一丸となって」とか「魔法以外にも」とか「総合的に」などの単語が所々見受けられたそうだ。麗羽が言うには、総代の生徒は可愛らしい女子だったそうだ。
(簡単に言うと『一科生と二科生、共に協力しましょう』ってことだろ。
……これが建前ではなく本音であれば、そいつとは上手くやれるかもしれん。だがどうせ式のために考えた文章だ。建前に決まっている)
そんなことを思いながら、俺は講堂へと向かっていった。しかし……
(あぁ早く帰りたい)
◇ ◇ ◇
あまり気が乗らなかったせいか、自然と通常より歩くのが遅くなってしまい予想よりも遅く講堂についた。
すでに入学式は終わっており、IDカードの交付が始まっていた。俺を除く新入生199名は、IDカードを受けとるため長蛇の列を作っている。よく見ると、一科生と二科生の列が別れている。
予め各個人のカードが作成されているわけではなく、個人認証を行ってその場で学校内用カードにデータを書き込む仕組みであるから、どの窓口に行っても問題ないはずだから、どの列も一科生と二科生が均等にいても良いはずだ。
実際、一科生と二科生の列が分けられているというわけではなかった。自然とそうなってしまったようだ。
(だから、こういうのが気に入らねぇんだよ。なんで入学初日に二回も同じようなことを思わなければならんのだ)
俺はカードを受けとるまで終始不機嫌だった。
◇ ◇ ◇
ようやく俺の順番がまわって来て、個人設定などのやりとりを済ませた。受け取ったカードを見て自分のクラスを確認する。カードには『1年A組』と書かれていた。
「さて、もうやること済んだし帰るか」
昔あった担任制度というものは、古い伝統を守り続けている学校以外、もうほとんど採用されていない。この第一高校も同様で、担任があらずその代わり、各クラスに男女1名ずつの2名体制でカウンセラーが配属されているらしい。
学校用端末は1人に1台与えられ、事務連絡等は学内ネットに接続した端末配信で伝えられる。
個人指導の方は、実技の指導以外は基本情報端末が使用される。
これでは、ホームルームの必要性が感じられないかもしれないと思うが、実技や実験の都合上、クラスを分けておいた方が効率が良く進められるためだとか。
「今日は授業や特に連絡事項もなかったはず……よし、本当に帰るか」
先程まで寝ていたのだが、まだ少し眠い。
帰宅するため、とりあえず講堂から出ることにした。入学式で意気投合でもしたのであろうか、所々に何人かが談笑していながら歩いている。そのせいで、彼らの歩く速さが遅くなっている。
普通に歩いている俺にとっては邪魔でしかない。
ぬらりひょんの特性を生かし、何とか人と人の間をするりと抜ける。途中、足でも縺れたのだろうか、前にいた一人の女子生徒が倒れそうになっているのを見かけた。こんな人が溢れているところで倒れたら怪我をしてしまう。
俺はすぐに側に行き、倒れないように彼女の手を引いた。当の本人は一瞬、俺に何をされているか理解出来なかったらしく
「えっ?」
と、素っ頓狂な声をあげた。痴漢だと思われたら面倒なことになるので、先に弁解しておく。
「大丈夫だ、決して痴漢などではないから安心しろ。倒れそうだったから支えただけだ。人が少ないところまで連れていってやる、手を離すなよ」
状況を理解したらしい、何も言わずただ頷いた。
やっと抜けられた。歩いている途中で、今朝見た二科生の男子が、同じ二科生の明るい栗色の髪でショートカットの女子と眼鏡をかけた黒髪ボブカットの女子二人を侍らして、談笑をしていた。高校初日から両手に華とは……どんなプレイボーイだあいつ。そんな風に見ていると、あの男子がこちらに視線を向けた。もしかして気付かれたのか? まぁどうでもいい。
少し時間がかかってしまった。一人ならこんなに時間はかからなかった(まぁこれでも、普通の人間に比べたら早い方なのかもしれないが)。後ろにいる奴を気にしながら慎重に歩いていたかもしれない。
握っていた手を離すと、女子生徒が礼を言ってきた。
「あの、ありがとうございました」
「いや、俺が勝手にしたことだ。気にすることはない」
「でも助かったのは事実ですし……」
「分かった分かった、どういたしまして。これで気が済んだだろ」
このようなやりとり面倒だからさっさと終わらせた方が良い。
冷たくあしらいすぎたのか、表情が少しムッとなった。
それにしてもこの女子、あの人混みで友人とでも別れたのか……だとすれば相手も探しているはずだ。
辺りを見渡すと、少し離れたところでツインテールをした茶髪の女子生徒が先ほどこいつと同じように誰かを探していた。
「実は、友達とはぐれてしまって……」
黙っていると、向こうが話してきた。思った通りのようだ。あの茶髪ツインテを指差しした。
「もしかしてあいつではないのか?」
「えっ? あ! そうです、ほのかー」
名前を呼ばれた茶髪ツインテはこちらを向いた。どうやらあれが友達のようだ。今日はよく予想が中る日だな。
探し相手が見つかったなら俺はもう必要ないな 。さて、これで帰れる。
悪いけど勝手に帰らせてもらうぞ。名前も知らない女子にわざわざ、別れの言葉を言う必要もないだろう。意識が茶髪ツインテに向いているうちに退散するとしますか。じゃあな、小さいの。
◇ ◇ ◇
ほのかとはぐれてしまった。
ほのかが突然、「あ、司波さんだ」と言ったと思ったら、人混みをどんどん進んでいってしまった。
私もほのかについて行こうとしたけれど、私は人混みに流されてしまった。
押されるがまま前に進んでいると、ちょっとした段差に躓いてバランスを崩してしまった。
すると、誰かに手を掴まれた。私の手を掴んだのは、背の高い黒髪の男子だった。突然のことで驚き、彼の言われた通りにしていたら、人混みから抜けだせた。彼は、前に人がいてもお構い無しにどんどん進んでいった。
それは、まるで彼専用に道が用意され、その道を進んでいるように見えた。
少し落ち着いてからお礼を言うと 、自分が勝手に助けたのだから気にすることはない、と言われた。どうやら良い人みたい。
でも、そんなことを言われても私の気は収まらなかったので、もう一度お礼を言おうとしたら、適当に話を切り上げられた。
これにはさすがに、助けてもらった相手とはいえ、そんな態度をとられると少し不愉快だ。
もしかしたらほのかを一緒に探してくれるのでは、と思い彼に友達と別れてしまった旨を伝えた。
すると、間髪を容れずに私の背後の少し遠いところを指差した。振り替えると、ほのかが見えた。彼女も私を探していたみたいだ。
声をかけると気が付いたらしく、ほのかが小走りで私の方に来た。
「ほのか、司波さんには会えた?」
「雫、ごめーん……」
「大丈夫、怒ってないから」
「本当にごめんね……あれっ? 雫何かいい事あった?」
「さっき倒れそうになったとき、親切な人に助けてもらったの」
「親切な人?」
「うん。この……あれ?」
振りかえると、さっきまでいた場所に男の子の姿はなかった。おかしい、さっきまでここにいたはずなのに……
「雫?」
「えっと……帰っちゃったみたい」
「そうなんだ、でもまた会えるんじゃない? そのときに紹介してね?」
「わかった」
とは言っても、私は彼の名前を知らない。だけど一科生ということは分かっている。同じクラスだといいな……