ある貴族少女の日記 1
最近入ってきた新一年生の皆様、初々しくてお可愛らしいのですがやはり学院に慣れていないうちは少々危なっかしく感じてしまいますね。
先日、実験棟を使用している一年生の授業で爆発事故が起きたらしいけれど、火に関する事故は少し怖いですね。単純に火災も怖いですけど、マッチ関連の怖さもあります。
そういえば、新一年生の中でも熱心に校内安全マニュアルを眺めてメモ帳を片手に三年生の教室にまでいらしてる子がいました。
以前、一度いらした際には三年生の教室を見てがっかりしていらしたようですけれど、先日の実験棟事故以来よく訪れては教室を眺めて、嬉しそうにしているのを見かけます。憧れの先輩でもできて、こっそり覗きに来ているのでしょうか。
確か、近くの実験室で授業をしていた三年生の何人かが爆発事故の様子を見に行って、消化活動や迅速な怪我の治療、養護教諭の呼び出しなど、しっかりと三年生らしく働きかけていたそうですし、そのときにキュン! ときたのかもしれませんね。
分かりますよ、わたくしも一年生の際には三年生の神聖魔法の素晴らしい使い手の青薔薇棟寮長のお姉様に憧れて、こっそりと覗きに来たものです。
教室に覗きに来ても声をかける勇気が出ず、そのまま満足して去ってしまうのも分かります。
ああ、でも、彼女。
どなたを見て笑っていたのかは、分からないんですよね。わたくしじゃないことだけは確かなのですけれど。
メモ帳をいつも持っていろんなかたにお話を聞いているあの子、誰に憧れているのでしょう?
U-05-32 おいしいアフタヌーンティー
◯U-05-32 おいしいアフタヌーンティー
・分類①固有
・分類②現象
・発生場所◇位置不特定
・危険度◇C
・詳細
神聖魔法学科内にランダムで現れるティルノーレ製のアフタヌーンティーセット。または紅茶がなみなみと注がれたティーカップのみの出現のどちらか。
寮の談話室や神聖魔法学科内のお茶会などに紛れて出現することが多い。菓子のない場所にはアフタヌーンティーセットとして現れるが、多くの場合は紅茶単体であるため本体は紅茶のほうではないかと推測されている。
このお茶をうっかり飲んでしまうと、とても美味だが苦味が強く、甘味の強いものを摂取しなければならないという衝動に駆られる。
その際、周囲の菓子類が食欲をそそる強い香りを発生させ、強烈な飢餓感を発生させる。
(あるいは菓子類の香りを、紅茶を飲んだものが強く感じるようになっている状態であると推測されている)
紅茶を飲んだあと、一時間以内に飲み食いをすると人生でもっとも幸福な食事を楽しむことができるが、その間に摂取した食事メニューの味を今後一切感じることができなくなってしまう、限定的な味覚の消失が発生する。
(スコーンを摂取していたら、その後スコーンを食べたときのみ味を感じなくなるなど)
紅茶を飲んだ後の強烈な食欲と飢餓感に耐え、一時間を過ごした生徒は「おいしいアフタヌーンティー」の支配下から逃れ、以降は食事をしても問題は発生しない。
・補遺
食事会やお茶会、談話室での団欒の際に知らないティーカップが置かれていたら決して手を出してはいけません。
紅茶の影響を脱した生徒が味覚を失う恐怖感から、しばらく食事を口にできない症状を発生させました。生徒の精神汚染の除去とケアを優先的に行なってください。
一度味覚の消失が起こると、その食物を食べた際の味覚を取り戻すことはできません。
テーブルに食べ物や飲み物を置きっぱなしにして席を立つ行為はお茶の発生を促す場合があるため、控えてください。