徒花事案報告ファイル   作:時雨オオカミ

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とある記者の手記 3

 この前実験室で事故に遭ったときにとうとう見つけることができた。先輩を、である。

 

 三年生の先輩は、間違いなく私の探している人だ。

 

 少し前から教室を見て回っていたときには見つけられていなかったが、どうやらタイミングが悪かっただけのようで、ちゃんとまだ在籍していたようだ。本当に良かった。

 

 在籍名簿を盗み見るのはさすがにリスクが高すぎるため、どうしようかと思っていたところの発見だった。卒業者名簿を見るのは比較的容易だが、さすがに在籍者名簿は教員の許可がいる。

 名前も顔も覚えていない者のことを尋ねたところで、すでに死亡していると突きつけられることには恐怖が少なからずあったし、こうしてメモを辿って学院の不審さに気がついたことを知られたらどうなるかは不明だ。そこまでリスクのある行動はできなかった。

 

 先輩はいつも高そうなカメラを首から下げていて、写真が趣味だと言ってことあるごとにいろんな人の写真や、徒花事案にでくわしたときに撮影をしてアルバムに保存しているらしい。

 そうして学内を歩いていると死亡した人にもよく会うとかで、せめて弔ってやろうとそういう人の写真も残して浄化の魔法をかけて写真を燃やすなんてこともしているそうだ。

 少し見せてもらったところ、上半身が全く見えない凄惨な写真を経由して赤い縄で首を吊った画像などがズラッと並んでいた。欠損のあるご遺体の写真は精神的に耐性がないときついだろうから、と見せないようにしてくれたようだが、経由したときに見えてしまったのであまり意味はなかったかもしれない。

 これに関しては教師にも秘密にしてこっそりとしていることなのだそうで、私にも秘密にするようにと念を押して笑っていた。

 正直、弔いのためとはいえこんな写真ばかり残していることに正気を疑ったりもしたが、精神錯乱はしていなさそうだ。

 

 しかし、そういう一面もあるにはあるが無事で良かったと思う。

 私もメモ帳を片手に歩き回っては、小説執筆が趣味の好奇心旺盛な生徒として振る舞っているので、二人ともが卒業することができれば大々的にこの学院の異常さを記事にすることができるだろう。

 

 休み時間や放課後に少しずつ交流をしてお互いの情報をまとめている。

 また、先輩は魔法がお上手なので私の神聖魔法の熟練度上げにも手を貸していただいているところだ。

 

 世間から先輩の記録が消えていることに関しては、学院に万が一職を知られることがあった場合、勘繰られて自分自身が記憶処理を施されて帰されてしまってはてまらないと自分でかけたらしい。

 相当難易度の高い、そもそも禁忌の魔法なのだが、彼女は優秀故かできてしまっとらしい。

 

 私もそれを聞いて納得したが、さすがにそこまでの魔法熟練度はない。今度先輩にかけてもらうか相談しようと思う。

 

 先輩とは二人で無事に卒業しよう。

 そんな約束をした。

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