ある編入生の日記 2
なによなによなによ!!
どうしてこんなことになるの!?
あたしはなにも悪くない!!
どこであんなの録音されてたのよ!!
この世界魔法があるのに録音機能のある機械もあるの!? 気持ち悪い!!
そもそも人の秘密を放送するなんて悪趣味すぎるわよ!! なんなの!? キモイキモイキモイキモイ!!
しかもみんながいるときにあんなの流してくるなんて性格悪すぎ!! 誤魔化すのちょ〜大変だった!!
でもいいのよ!
獣人っぽい子に素敵な招待状をもらったんだから!
あなたのための復讐パーティーが開催されますよって優しいお顔で笑ってて、あの子もイケメンだったし、案内人をやるって言ってたから次会ったら誘惑してみようかな。
あの子のご主人様ってやつが女なのが気に入らないけど、あたしに鞍替えしてもらえばいいもんね!
招待状は他の奴らの前で見せつけるみたいにして開きましょ! みんなで手を繋いで開封すれば全員招待できるって言ってたからいつものみんなで行くのよ!
それであの寮長に復讐してやるの。
最後に笑うのはあたしよ!
◇
U-05-05 喜劇の夜会
◯U-05-05 喜劇の夜会
・分類①固有
・分類②現象
・発生場所◇神聖魔法学科、薔薇園内
・危険度 ◇S
・詳細
神聖魔法学科の青薔薇園内で発生する現象。
この徒花事案は青薔薇園の一部が大量の血に塗れ、争ったような痕跡と、行方不明となっていた人間の惨殺死体が複数発見されることが特徴である。
たった一人だけ生存する場合があるが、生存者は自ら命を絶つか精神崩壊を起こしていることがほとんど。この徒花事案が発生するようになってから、長い間なにが起きているのかが不明だったが、近年口の聞ける生存者が現れたことにより内容が明らかになった。
喜劇の夜会とは、ごく稀に「真紅の貴婦人」の気まぐれによって開催される血に塗れた盛大な復讐パーティーのことである。
通常では悪意の吐露による小さな復讐行為と対価の徴収のみで済ませている真紅の貴婦人による、完全な気まぐれで被害者と複数の加害者が誘引されて開催される特別な夜会だ。
この夜会では、晒しあげ放送のように加害者と加害者に加担した、または盲信していた準加害者とも呼べる存在を誘引し、魔法による映像記録や記憶の読み取りにより真実で追い詰め、加害者間の仲間割れが高確率で引き起こされる。
真紅の貴婦人はこの仲間割れを起こした加害者たちに「自分以外の加害者を生贄に捧げれば罪は許されるかもしれぬな」と発言し、加害者同士での同士討ちを意図的に発生させる。
この夜会に誘引された被害者は常に上座の椅子に座らされたまま加害された際の記憶の抽出を施され、争う加害者達の同士討ちを目撃させられることとなる。この際、被害者は思念による思考のみが許可され、加害者達に声をかけることは許されない。
真紅の貴婦人はこの被害者の隣に座り、危害が加えられないよう守護結界を張ったうえで加害者同士の殺戮、拷問を見せつけ、楽しみながらティータイムを過ごす。
この際、被害者は加害者たちの惨状から目を逸らすことも許されず、視線が固定される。目を閉じ続けることも叶わず、必ず見届けなければならない。
喜劇の夜会で生き残った最後のものはその後逃走するが、多くは真紅の貴婦人の誘致に応えた他の徒花事案によって命を落とすこととなる。
全てが終了すると、これを見届けた被害者には抗いがたい凄まじい罪悪感が襲いかかり、多くの場合はバターナイフなどで喉を突いて自害する。
・補遺
精神崩壊を起こした生徒は退学とし、療養院へ入院することとなります。
この徒花事案への「どこかへの招待状」が現れた場合、翌日に血や死体の清掃作業があることがあります。汚れてもいい服を各自たくさん用意しておいてください。
ざまぁパーティなどというふざけた呼称で呼ぶのは不謹慎であり、不適切です。