F-03-55 灰被りの獣
◯F-03-55 灰被りの獣
・分類①御伽話
・分類②動物
・発生場所◇位置不特定
・危険度 ◇B
・詳細
放課後の神聖魔法学科、敷地内にて確認される犬に似た体躯の、頭部の存在しない獣状の徒花事案。全身が燃えていることが特徴的である。
徘徊型とみられ、位置は常に不特定。
全身が燃え盛っており、白い体躯だとは僅かに確認できる程度。燃え盛った体躯からは常に灰が発生しており、歩くたびに風で灰が舞い、焼け焦げた足跡が残る。(※ 足跡が残留するのは3分程度)
人間と出会うと飛びかかってくるため、接触した人物を燃やして殺してしまうことがある。
頭部が存在しないため、種族の特定はできないが、ウルフ型モンスターの類の一種と近い存在なのではないかという説が流布している。
雨の日には全身の炎がチラつく程度にまで抑え込まれており、徘徊をやめて「咲かない花」の樹木の下で眠っていたり、樹上に向かって細い鳴き声をあげる姿が目撃されることがある。
・補遺
灰被りの獣の歩いた後に焼け跡と灰の足跡が残るため、足跡を確認した場合にはすぐに警戒しながらその場を離れてください。また、足跡を目撃した場所の報告を教員にするようにしてください。
もし出会ってしまった場合は接触を徹底的に避けながら逃走しきるか、接触が避けられない場合に水属性魔法を用いて飛びかかってくる獣の炎を抑えるようにしてください。
・事案1
古い焼却炉から飛び出してきた獣が接触した男子生徒一名を再起不能なまでに大火傷をさせ、その場から逃走しました。
生徒は医療院へとすぐさま搬送されましたが、深刻な火傷で半日後に死亡しています。
・事案2
犬型の使い魔を連れた男子生徒が遭遇し、生徒は難を逃れましたが使い魔は深刻な瘴気汚染と火傷で死亡しました。
この使い魔は神聖魔法学科内で生存できる基準値を下回っており、無許可の召喚によるものでした。
生徒によると、獣は自身ではなく真っ先に使い魔へと飛びかかり、燃やしてしまった。使い魔への強い敵意を持っていたように感じられたとのことでした。
・事案3
曲がり角で出会ってしまった生徒が飛びかかられ、火傷を負いました。水魔法による強制的な鎮火が
生徒の証言によると、獣の飛びかかりようには敵意が感じられず、むしろ喜びや親愛のようなものを感じたということでした。
使い魔への反応と人間に対する反応が異なっているため、判明していない詳細が存在する可能性があるとみられています。
咲かない花との関連性も含めて調査が必要です。
中略
・事案39
古く使われなかった焼却炉から使い魔契約の印が刻まれた痕跡のある低ランクのフォレスト・ウルフの骨が発見されました。
ある生徒がこの骨を咲かない花の樹木の下へ埋めたところ、埋めた箇所から灰が噴き出し、咲かない花が一斉に開花する現象が起こりました。
そして骨が埋められた箇所から燃え盛る灰被りの獣が出現し、飛行魔法を使用した痕跡もなく空へ駆け抜けていく姿が観測されました。空へ上がるごとに全身の炎は鎮火していき、最終的にフォレスト・ウルフの姿となったことが確認されています。
フォレスト・ウルフの姿が空へ昇って消失するのと同時に、満開だった薄ピンク色の花も一斉に散り、現象は終了しました。
以後、「灰被りの獣」の目撃報告がないことから徒花事案「灰被りの獣」の消失が推測されます。
消失が確定するまでは警戒を怠らず、確定次第本書から該当のページは削除され、消失現象アーカイブへと移行される見込みです。
F-02-87 咲かない花
◯F-02-87 咲かない花
・分類①御伽話
・分類②植物
・発生場所◇神聖魔法学科校舎、中庭
・危険度 ◇E
・詳細
一年を通して決して花をつけず、葉も茂らせない樹木。枯れ木のようにも見えるが、幹は瑞々しく生命力に溢れている。
どのような樹木とも種類を断定できないが、学院の古い資料には「さくら」という名前だけが載せられていた。しかし、そのような樹木は存在しないため、なにかの誤字であるか、もしくは未知の樹木ではないかと推測されている。
常に葉も花もつけない大きな樹木はこの咲かない花のみであり、花をつけないだけでこれといった目立つ害はない。
樹木を傷つけると血液に似た樹液を流す。
どのような方法で花をつけるのかは不明。
花が咲いて良いものであるかどうかも不明である。
・補遺
ただ花を咲かさない、葉をつけないだけの枯れ木のように見える樹木です。
樹液は魔力保有限界量が多く、一滴に込められる魔力が多いため、希少な素材として実験材料にすることが可能です。樹液を固めて作成した樹脂加工品は魔力を込めることで魔導具の核や部品として利用可能。小さい加工品で大きな動力源として使用することができます。
樹木は一本しかないため、樹液の採取には教員の許可が必要です。
・補遺2
ある生徒の行いと、彼女の日記に徒花事案による書き込みが発生したことにより、咲かない花の咲く条件らしきものが判明しました。
確定情報ではないため更なる調査が必要ですが、記述は以下の通りでした。
「どうしてあの美しい花が咲いたか分かるかい? あんなに美しいものを咲かせるためには相応の悲劇が必要だからさ! だって、あんなに素敵なものがただ自然の摂理で咲くなんて信じられないだろ? だから桜の樹の下には美しさに相応しい、醜い悲劇が必要なのさ!」
・事案1
ある生徒が樹木の下に骨を埋葬したところ、灰が噴き出して枝にかかり、突然樹木は薄ピンク色の花を咲かせて満開になりました。
灰が全て降り注ぎきり、イレギュラー現象が終了するのと同時に花は全て散り、再び樹木は枯れ木のような姿に戻りました。