今日は金色のピッカピカな羽根を見かけたの!
そうしたら黄金の鳥人間? みたいなのが出てきて、変なことを言ってきたわ。
我々の納得する答えを言わないと私のお腹を裂いて卵を取り出してやる〜なんて脅しつけてくるの。怖いよね?
そもそもあなたたちの言う卵なんて、私の可愛いお腹の中にはきっとないわ! だって今日は卵料理なんて食べてないもの! って言ったらなんだか怒らせちゃったみたい。胃の中が見たいわけじゃなかったみたい。
鳥人間は心理テストみたいな変なことばかり言ってきたわ。
・カラスとテーブルの類似性を答えなさい。
・四千キロメートル歩いてから右折するのに時間がどれくらいかかるか答えなさい。
・三分以内にミルクを三リットル飲み干しなさい。
こんな感じの普通に考えたら無茶振りすぎる質問だったわね? 特に二個目と三個目はちょっと考えちゃった! でもね、いいことを思いついたからそのまま答えることにしたの。
今度も前に助けてくれた猫耳? の人が来て助けてくれようとしたみたいだけど、やっぱり自分でなんとかしたいじゃない?
だから私答えてやったわ!
カラスとテーブルはね、テーブルがガラス製だから発音が似てる! テーブルの種類なんて指定されてないんだからなんでもいいんでしょ? 木製でもあたしは色が黒い! なぜなら私の部屋のテーブルは黒いからって答えるけどね。
二問目はその場でちょうど良さそうな木の枝を見つけたから、地面に四千キロ地点って書いて、三歩離れたところから歩いて右折して二秒って答えてやったわ。
三問目も昼食に持ってたミルクの紙パックに三リットルって書いてその場で飲み干したの。
屁理屈みたいでしょ? でもこんなのであいつらは悔しそうに消えていったわ。
猫耳さんはなんだか呆れたみたいに「さすが三女だね」って言ってどこかに行っちゃった。去り際にちゃんとこの前助けてくれたお礼を言ったわ。あなたいい人ね! ありがとう! って。
そうしたら、どうしてだかすごくびっくりしてはにかんだの。すっごい可愛らしい笑顔だったわ! いいものを見たから今日もいい日になりそう!
◇
今日は校内安全マニュアルで見かけた灰被りの獣ってやつを見かけたの。ちゃんと水をかけて逃げてきたけど、なんだかあの子、悲しそうな気がしたの。頭がないから表情なんて分かんないんだけど、なんとなくそんな気がした。私、こういう勘は大事にしてるのよね。
だから気になって気になって授業にも身が入らなかったわ。
寮の部屋に帰ってからも校内安全マニュアルのページを見ながら考えたの。この子は今だと位置不特定だけれど、最初は古い焼却炉から飛び出してきたのよね? だったら、この焼却炉になにかあるんじゃないかなって。
学内のいろんな焼却炉を巡って、煤だらけになったりしながら中に入ったりしたわ。途中から、あの猫耳さんも一緒だった。怒られちゃった! もし、中を調べてるときに中に閉じ込められて燃やされたらどうするんだ〜って。私にはそんなこと思いつきもしなかったからびっくりしちゃった! 確かに危ないかもね。ごめんねって謝って、心配してくれてありがとうって言ったら変な顔をしてた。なんでだろう?
結局、ちゃんと見つかったわ。
地図にも載ってないところに本当に古臭い焼却炉らしきものがあったの。草に覆われててすごく気づきにくかったわ。
その中を掻き回してたら骨が出てきたの。ほとんど朽ちてて少なかったけど、大きい骨はちゃんとあった。頭蓋骨は大きいからかちゃんと残ってたわ。だから頭蓋骨だけ持って中庭に行ってみたの。
マニュアルの記載でも「咲かない花」に思い入れがあるみたいだから、あそこに埋めてあげたらなにか慰めになるかなって思って。
それでね、咲かない花の下に骨を埋めたの。
そしたら、埋めた地面の下から灰がいっぱい飛び出したわ。飛び散って、火山灰みたいに上からパラパラ降ってきて、樹の枝に触れるたびにピンク色の花を次々咲かせて満開にしちゃった! すっごく綺麗で幻想的な光景だった。
見惚れてると、作った簡易的なお墓の下から燃えてるワンちゃんが這い出してきたの。ちゃんと頭もあったわ。私がちゃんと見つけたからかな?
それでね、樹を見上げながら一目散に駆け上がっていったわ。お空を飛んで、光の中に消えていったの。
きっと行くべきところに行けたって信じてる。
あのとき、猫耳さんがなんか変なことを言ってたけどあんまり覚えてないな……。
えっと、花が咲いた理由だと思うんだけど、話半分に聞いてたからよく覚えてなくて。
ドラゴンが金塊を抱いてるみたいなもん? とか言ってた気がする。よく分からないけれど、そういうことらしいわ。
先生、この意味分かる?
→ 僕の言ったことなにひとつ覚えてなくてショックなんだけど!
あのとき君に僕が言ったのはこうだよ。
どうしてあの美しい花が咲いたか分かるかい? あんなに美しいものを咲かせるためには相応の悲劇が必要だからさ! だって、あんなに素敵なものがただ自然の摂理で咲くなんて信じられないだろ?
だから桜の樹の下には美しさに相応しい、醜い悲劇が必要なのさ!
美しく雄大なドラゴンが黄金を抱きかかえながら人の死体を寝床にしているみたいに。
美しくおいしい料理の裏には食材の死体が大量にあるように。
愛らしい
美しいものの下には醜い存在がなければ極めて不自然だ。そうは思わないかい? アリス。
ってね!
→ そう! 確かそんな感じだったわね!
というかなんで勝手に書き足されてるの? こわ……先生に相談してみたら、猫耳くんはそんな感じのイタズラばっかりする子だって言われちゃった。
寮に勝手に入って日記に書き足せるなら、宿題を勝手にやってくれればいいのに。
→ それじゃあ悪さでもイタズラでもないじゃんか!
→ た、たしかに!
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