表の日記には、クラスメイトの使い魔が変質しちゃったのをみんなで魔法撃ってなんとか倒した話を書いたけど、こっちではやっぱりあのことを書かなくちゃね?
猫耳さん、あなたとワンオーダー・レストランに行っちゃったことを!
あのことはみんなには内緒ね?
なんせ異界に行ってる間はちょっとの間だけだったし、ダイナと寮長は私を探してくれてたみたいだけど、またおしゃべりしてたら授業時間に遅れちゃった〜なんて言えば、怪訝にしつつも納得してくれたから。
余計な心配はかけたくないし、あなたとお友達でいることを悪く言われたくないもの。
ワンオーダー・レストランのことはちゃんと知っていたけれど、まさか徒花事案のあなたと一緒に巻き込まれることになるとは思ってなかったわね。
真っ暗な部屋で囚われたのは私だったけど、あなたは私を見捨てずにちゃんと偽物を見抜いて助けてくれた。
あなたは徒花事案だから、偽物に成り代わられた私を見捨てて脱出することだってできたのに!
だから、ますますあなたのことは信頼できるって思ったのよ。でもね、暗闇に囚われて身動きが取れなくなっているときもちっとも怖くなかったわ。あなたならそうしてくれると思ったからかしら?
本当にありがとう。あなたを信じていてよかった。
ところで、どうして私が偽物だと判断できたの? いっぱいおしゃべりはしてるし、あなたとはお友達だけれど、そんなに多くの秘密は共有していないと思うのだけど。
→秘密の最たるこの日記を置いてそんなことを言うだなんて随分だね?
まあいいよ、教えてあげる。
あの偽物は僕に対して猫耳さんとしか呼ばなかったから。
だって、ついこの前に君は僕に名前を贈ってくれたでしょ? だから、こう聞いただけだよ。
僕の名前はな〜んだ? 君なら知ってるよね?
ってさ。
あの偽物は僕の本名をしっかり答えてくれたよ。
君から贈られたわけじゃない、死んだ両親からもらった僕の本名をね。大したもんだと思うよ?
でも、君なら教えてもいない本名じゃなくて、勝手に呼び始めた名前を答えるに決まってるよね?
チェシアって。
→確かに!
この日記の中でさえいつも猫耳さんって呼んでたし、チェシアって名前をつけたのはついこの前だから、さすがの異界も知らなかったのかしらね?
本名、ちゃんとあるなら教えてくれればいいのに! 勝手な名前を呼ばれるのが嫌じゃないなら、別にいいんだけど。
→別に嫌じゃないよ?
徒花事案になって、あの名前とはお別れをして、僕は「悪さをするオオカミ」って名前になったんだから。
そこから新たに名前を贈られたのは……結構嬉しかったかな。こちらこそありがとう。
→喜んでくれたなら良かった!
ねえチェシア。私、あなたみたいなお友達ができてとても幸せよ。
→ふーん、そう。よかったね。
→素直じゃないんだから〜!