ある貴族少女の日記 7
年に一度あるかないかの青の日が起きて、次の日に赤の日まで起きてしまって、わたくし、もう疲労が限界です。くったくたですわ!
寮長となってはじめての青の日赤の日でしたので、わたくしは教員の皆様とともに避難経路の確認や避難訓練、それに備蓄の確認と駆け回ることになりました。すでにノウハウが分かっていらっしゃる男寮長のデュークさんがいらっしゃったのが幸いかしら。
副寮長としてサポートをしたことはございますが、寮長としてずっと対応することになるのははじめてでしたから、正直彼がいろいろと教えてくださったのは助かりました。
やはり寮長は大変ですわね。ますます前寮長のお姉様を尊敬いたしますわ。
この立場となりますと、死者や怪我人が出た際の重責がものすごいんですもの。わたくしは悪くないわとおっしゃっていただけても、気に病んでしまいそうになりますから。
そういう意味では、赤の日当日の避難で犠牲者が一人も出なかったことは幸いでした。
わたくしが最後の一人だったアリスさんをなんとか
教師の方々には危険を冒すだなんてとお叱りを受けてしまいましたけれど、わたくし、ますますデュークさんに惚れ込んでしまいました。
アリスさんに対する心配事は後をたたないのですけれど、命を落としてしまってはいけません。
赤の日の際にはパニックにより、避難中の怪我は少々ありましたけれど、少し前にエルフダケによるパンデミック事案防衛のための避難もありましたし、まったく訓練をしていないよりは良い結果になったと思います。
まだ油断はできませんが、このまま平和に赤の日が終わってほしいところですね。
しかし最近、やけに「覗き込む影」の発生率が高い気がします。たまに日記のページが破られていることもありますし、ちょっと問題ですわね。この日記帳お気に入りですのに……。
なにか、知らないところで良くないことでも起きているのかしら。
明日から見回りを増やそうかしら。
現在時刻深夜0時。
結界内にいたはずのアリスさんが行方不明になりました。
どうして、アリスさん。
あなたはどこへ行ったの。
◇
R-01-16 覗き込む影
◯R-01-16 覗き込む影
・分類①噂
・分類②人型
・発生場所◇神聖魔法学科 寮室
・危険度 ◇D
・詳細
この徒花事案は神聖魔法学科の寮室全般(教員寮含む)に発生することのある人影である。
机上付近に発生し、生徒や教師の日記や書類などを頭上から覗き込む。
その影のはっきりとした姿は視認することができない。
影は寮室の主に視認されることでゆっくりと消失していく。
なお、影に獣の耳らしきものがついていたという証言があり、「悪さをするオオカミ」との同一性が疑われている。
・補遺
残念ながらこの現象は止めることができません。
寮室への侵入に対して不安になるのは理解できますが、日記を覗かれる。または日記のページが破られるなどの被害以外は発生しないため、なるべく気に病まないようにしてください。
「悪さをするオオカミ」の発生より以前にこの現象は存在していましたが、Rの噂分類であるからか、同一性が疑われ始めた頃から影に獣の耳が生えているという記述が追記されています。
変質の恐れがあるため、発生した際には消失する前に観察をして教員への報告を行なってください。