――ドゴォン!!
突如として小洞の中に爆音が轟いた。
キノコの香りと、煙と、焦げた甲殻の匂いが混ざり、地獄の鍋のような煙が立ち込める。
「ぬおおおお!?!? あっつ!?!? いや燃えてる!爆ぜたぞ!!ニトロダケって文字通りかよぉぉお!!」
机代わりの平たい石の上で、アオキノコと薬草に続き、試しに混ぜてみたニトロダケ×2――
それが文字通り、“爆発” した。
爆風で天井にぶつかった身体がズサァッと地に滑る。
左の鋏には深いヒビ、そしてヤドで守られていない腹部の殻もぱっくりと裂けていた。
「っぐ……いってぇ……やっちまった……!」
息を荒げながら這いずるように、先ほど調合した三種類の薬(仮)へと手を伸ばす。
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1:ドロッとした軟膏状の回復薬?
ネンチャク草のせいで粘り気を帯びた、緑がかったクリーム状の液体。
骨のくぼみに貯められていたそれを、ヒビ割れた殻にゆっくりと塗る。
「う……っ、ひゅ……ッ……! でも……あったかい……」
最初は痛みに歯を食いしばったが、やがてじわじわと疼きが消え、冷やすような感覚が包む。
まるで傷口を包み込むように浸透し、痛みそのものを鈍らせていくような効果。
皮膚ではない甲殻に染みる薬――常識外れのようで、しかしここは常識外れの世界だった。
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2:水を加えた液状の回復薬?
「次はこっちだ……水っぽくしたやつ……」
同じくアオキノコ+薬草+水で作った、薄い青緑色の液体。
作った時はシャバシャバすぎて「絶対効かねぇ」と笑ったが、今は背に腹は代えられない。
――ゴクリ。
「……あ、なんか、すぅって……来た、かも?」
劇的な回復ではない。
だが、確かに体の奥から疲れが引いていくような感覚があった。
3:固形化してしまったやつ?
最後に、ネンチャク草の入れすぎで硬く固まったもの。
割るとキャンディーのように艶がある。試しに口に入れ、舌で転がしてみた。
「味は……腐ったミント、みたいな……いや、でも……」
舌先から、喉、そして内臓へ。
ほんのりとした温もりが身体を這うように巡り、徐々に体の中が軽くなる。
「……ああ、これは……ゆっくりだけど、確かに効いてる……!」
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すべてを試し終え、肩を落としながら、ふと周囲に視線を這わせる。
「……でもさ、この保存……やっぱ問題だよな……湧き水に浸けるだけじゃ、そのうちダメになる気がする」
そして閃く。
「そうだ、“骨瓶”……!」
モンスターの頭骨、くり抜いた脊椎の骨、砕けた肋骨……
それらを加工して容器にすれば、液体も、軟膏も、飴も保存できる!
「ははっ……やっべぇ、ちょっと俺、賢くなってるかもしれん」
火傷痕がまだうずく腕で、工具代わりの鋏を握り直す。
次の目的は――
“保存容器に使えそうな骨の確保”!
深夜の沼に向かって、小さな甲殻の影がずるりと這い出す。