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骨瓶ができたことで、ちょっとした満足感があった。
「ふーむ……なんか、思った以上にいいじゃん……これ」
やっぱり俺、器用なんじゃね?とか思いながら、ケルビの毛皮の上にゴロンと寝転ぶ。白くて丸っこい骨瓶をハサミでくるくる回して眺めていたとき、ふと、頭の奥で嫌な記憶が蘇った。
「……そういえば、ニトロダケ爆発したんだった。あのときはマジで焦げたな……」
あのビリビリくる爆風、耳をつんざく轟音――痛みより驚きが勝っていたけど、まぎれもなく“爆発”だった。
……あれ、爆弾になるんじゃね?
「骨瓶手榴弾……ありじゃね?」
ピコン、と頭の中で電球が弾けた。いや電球はないけど。
モンハン世界の知識が、今になって妙に役立ってくる。
「確か、ニトロダケと火薬草を混ぜると爆薬ができたよな。調合!あったわ調合!」
気分は調合職人。というか、それしか道がないのが現実だけど。
俺は骨瓶を片手に、キノコと草の採取へと向かった。目的はもちろん、ニトロダケと火薬草。それと、念のために鬼ニトロダケも――あれはたしか、もっとやばいやつだったはず。
採取中は気が抜けなかった。特に鬼ニトロダケが群生する一角は、妙に地面が焦げてるし、空気がぴりついてる。なんとなく分かる、「ここ爆発しそう」ってやつ。
危うくまた一発やられかけたが、奇跡的にハサミで弾き飛ばすことに成功した。今度こそ爆死回避だ。
無事に材料を集めて帰還、住処の片隅に広げて、俺は錬金(?)を始めた。
ニトロダケと火薬草を混ぜたものを骨瓶に詰める。手持ちの蓋は肋骨のとがった部分をカットして作ったぴったりサイズ。
そして――投入口に、先ほど拾っておいた鉄鉱石の欠片を複数投入する。粉末状に砕いたものも混ぜる。
「振れば中でぶつかって、火花が出るかもって思ったけど……」
やってみた。振ってみた。ぶんぶんと。ぐるんぐるんと。
……しーん。
「ダメか。やっぱ、小さすぎるのか?」
爆発の“導火線”になりそうな火花は起きなかった。どうやら、ただ振っただけでは無理っぽい。
「ま、でも投げたらさ……衝撃で、ぶつかって……」
俺は、半ば実験的に、その骨瓶爆弾の試作1号を持ち、水辺のほうへと向かった。
ターゲットは……何もいない岩肌。とりあえずそこにフルスイング。
ガツンッ。
地面にぶつかる骨の音。そして、静寂。
「……あれ?爆発しな……」
ッッッッッボン!!!
爆発した。見事に。
火花が出なかったのは中でぶつかる力が足りなかっただけで、地面に叩きつけた衝撃なら話は別だったらしい。中の鉄鉱石同士が、いい角度で、いい圧でぶつかった――それが原因か。
「ぎゃああああああああああああッッ!!」
自分で投げた骨瓶で、自分が爆風を浴びるというギャグのような展開。
毛が、いや甲殻が焦げる音がした。煙と熱と鼓膜を揺らす衝撃。空中で2回転して地面に叩きつけられる。
焼けるハサミ。目がチカチカする。耳がキーンと鳴る。
……だが、確信した。
「……できた。爆弾、できたぞ……!」
笑うしかなかった。歯のない口の中で、何かが乾いた音を立てて笑っていた。