どうも、ガミザミです。なんか今、地元のチンピラに絡まれています。
はい、囲まれてます。左右前後、どこを見ても青いトカゲ。ギャオギャオうるさい。目つきが悪い。完全にカツアゲの構図。
――おいコラ、何見てんだよ?みたいな威圧を感じる。
いや、俺が聞きたいんだけど。沼地を出て、火山を目指していたはずだった。……が、気づけば見渡す限りの緑。湿気、虫の羽音、腐葉土の匂い。
地図も道もない。おまけに方角感覚もゼロ。
“森”って言葉をなめてたな、俺。これもう植物の牢獄だ。
そんな中、キノコとかを探してたらコレだ。
ランポスたちがぞろぞろと茂みから出てきて、俺をぐるっと囲む。
カチカチとハサミを鳴らして牽制してみたが、まったく引かない。むしろテンション上がってやがる。
くそっ、完全にノリで煽ってくるヤンキータイプだな。
「えぇい! 鬱陶しい! ギャオギャオちゃうわ!」
「お前らより体はでかいとはいえ、可食部の少ない蟹を狙わんでもいいだろうが! そこらのアプトノスでも狩っとけ!」
言いながら、飛びかかってきたランポスの首根っこをハサミでキャッチ。
そのまま、バチンッ!
悲鳴。血飛沫。群れの空気が一瞬で変わる。
「うわぁ〜……もう話し合いの余地なしか」
次の瞬間、三匹が同時に突っ込んでくる。
左に跳んで一匹をやり過ごし、地面を滑るように回り込む。
地を蹴り、背後の一匹の脚を切り裂く。
鋏が骨を噛む感触。温い血が跳ね、地面に線を描く。
一匹、二匹、三匹。切り倒すたびに、森の空気がざわめく。
木漏れ日が揺れて、影が踊る。鋏の感触が、だんだん心地よくなってくる。
――この感覚。俺、ほんとに蟹の身体に馴染んできてるな。
「HEYHEY!次は誰だぁ?」
口走った瞬間、茂みの奥からドシドシ足音を鳴らしやってくる。土煙を上げて現れたのは、一際大きな影。
――ドスランポス。群れのリーダーだ。
赤いトサカ。でかい。背丈も俺の倍はある。
顎の筋肉がゴリッと鳴る。威嚇だ。完全にボスの風格。
「チンピラの親分登場ってことね。やる気か?」
飛び掛かり。速い。森の地面がえぐれる勢いで突っ込んでくる。
ドスファンゴとの戦いが頭をよぎる。あの時学んだ“横ステップ”を思い出す。
身をひねり、紙一重でかわす。そのまま反動で跳び上がる。背に乗った。暴れるドスランポス。爪が背をかすめ、尻尾が唸りを上げる。だが、離さない。
両の鋏を首元に押し当てる。ギチギチと骨が軋む。
バチンッ!!
首の付け根を挟み潰す音。
ドスランポスが喉を震わせ、最後の声を漏らした。
静寂
周囲にいた青ランポスたちが後ずさりする。やがて一匹、二匹と逃げ出し、森に溶けていった。俺はドスランポスの亡骸を見下ろし、息をつく。重い。けど、手応えは悪くない。戦いの余韻より先に、腹が鳴る。
「……あー、そうか。飯の時間か」
血と土の匂いが混ざる空気の中、倒したランポスの肉を削ぎ取る。森の静寂に虫の声。湿気を帯びた風が木々を揺らす。
ヤドの中には最低限の薬草や素材はある。だが、いざという時のために温存だ。今日のエネルギーは、こいつらで賄う。
「ま、結果オーライだな」
その夜。月の光が木々の隙間から漏れる中、俺は腹を満たしていた。慣れない森と戦いの疲れと満腹感で、甲殻の内側まで温まる。
火山への道は、まだ遠い。
だが今夜ばかりは、森のヤンキー共に感謝してやるさ。晩飯になったからな!