こんにちは皆様、ガミザミです。……いや、誰に言ってんだ俺? まぁいい、緊急事態です。
どうも……ババコンガに絡まれてます。
そう、あの森のピンクのゴリラ。顔にいやらしい笑みを浮かべて、鼻息ブーブー言わせながら近づいてくる。
やばいって、これ知ってるもん! 見たことある! 2Gの生態ムービーで見たやつ!
あの映像だ――ババコンガがのんびりしてたら、近くにヤオザミがトコトコ寄ってきて、尻尾でちょんっと突っつかれるやつ!
そしたらヤオザミがビックリしてヤドにこもるんだよな。で、
「なんやこれ?」みたいな顔してババコンガがひっくり返そうとした瞬間、ヤオザミがブチギレて顔に飛びかかる!
で、あのピンクの野郎が「うぎゃー!」って暴れて、最後は投げ飛ばして……屁をぶっかけて殺すんだよ!
……うん、知ってる。完璧に覚えてる。
そのムービー、今、俺の目の前でリメイクされようとしてるんだよぉぉぉ!
「うわ、やべぇやべぇやべぇ……来た来た来た! ちょっと待って、近ぇって!」
俺は慌てて殻の中に潜り込む。
ガシャッ、と音を立てたのが悪手だった。ババコンガの視線がピタッと俺にロックオン。
その巨体がぬぅっと近づき、鼻をスン……スン……と鳴らす。
腐った果実みたいな臭いが風に乗ってくる。あれは嗅ぎたくなかった。
「頼む、興味持つなよ……スルーしてくれよ……」
祈る俺をよそに、尻尾がぴょん、と伸びてきて、殻の外をコンっと突いた。
「お、おい……やめ……マジでやめろって!」
突かれるたびに殻がカラカラ揺れる。
中で俺は小刻みに震えながら、最悪の未来を思い出していた。
「おいおい……おっかしいだろ! なんでよりによって俺が再現役なんだよ!」
さらに後ろから、子分のコンガどもが出てくる。
ピンクの親分を囲んで「ウキャキャキャ」とはしゃぎながら、俺の殻をちょいちょい突っつく。
くっそ、遊ぶな! 俺はオモチャじゃねぇ!
ババコンガがしゃがみ込み、片手で殻を掴んだ。
ぐいっ。
「わっ、うわああ持ち上げんなぁぁぁぁ!」
視界がぐるぐる回る。あぁ、完全に再現ムービー第2幕突入。
重力に逆らえず殻の中で身体が浮く。ハサミがガンガン内壁に当たる。
やばい、これほんとに投げられるやつだ!
「いやいやいや! ムービーみたいに投げた後屁とかやめろ!? 俺、ゲームじゃないから死ぬから!」
ババコンガは首をかしげながら、殻を左右に揺さぶる。
コンガたちは拍手して喜んでる。
あぁもう、なんでお前らそんな笑顔なんだよ!
ぐるん、と回され、俺は必死に殻の中で足を突っ張る。
「うぉぉぉおおおお!」
思わず叫んだ瞬間――その声に驚いたのか、ババコンガが手を離した。
ドサッ!
俺は地面に叩きつけられ、転がりながら地面を掘った。
ガリガリガリガリ! 地中へ潜り込む!
「よしっ、潜れた……潜れ……」
ズン。
上から地面がへこむ。
え? えぇ? ちょ、座った? ババコンガお前、今、真上に座った?!
「お、おい! 重っ! ちょ、ほんとに重い! 潰れる潰れる潰れるぅぅ!」
地中でギシギシと音を立てる俺の殻。
上では、たぶんババコンガが「ふんふん」と鼻を鳴らしている。
そして、かすかにあの不吉な音――「ぷぅ」。
……やめろ、マジでやめろ。
お願いだから放屁エンドは回避させてくれ……!
どれほどの時間が経ったかわからない。
ようやく上の重みが消え、静けさが戻った。
息を詰めたまま、そっと地面を掘って外をのぞく。
――誰もいない。
「……ふぅ、生きてる……」
地面から這い出し、ヨロヨロと立ち上がる。
殻の表面は泥まみれ、ハサミは擦り切れてる。
「もう二度と、ババコンガには近づかねぇ……絶対にだ。」
遠くの空に、うっすらと火山の煙。
あれが目的地。
毒を強化するのも大事だが、今はとにかく――この森を抜ける。
火山は逃げねぇ。だが、次あいつに見つかったら俺の命が逃げる。
ちょっとヤドが臭いのは気のせいだろう。多分