「さぁて、今日は肉でも狩りに行くかぁ!」
朝から俺は妙に気合いが入っていた。
鉱石もいい。ガリガリ食べるのも嫌いじゃない。けど、まてから話していた通り、そろそろ肉が食いたい。何より、ベイビーにも肉の味を覚えてもらいたいところだ。
「行くぞ、ベイビー!」
「ガァッ!」
ベイビーは元気よく吠える。
「……まあ、お前は何するのか全然わかってなさそうだけどな」
「ガァ!」
「返事だけはいいんだよなぁ」
そんなベイビーを連れて、俺たちは火山の中を歩き始めた。
手頃な獲物はいないかと辺りを見回しながら進んでいく。大型モンスターなんかに出くわすと面倒なので、とりあえずは小型モンスターか、ホーミング生肉がいい。
「さぁて、手頃なのはいるかねぇ?」
そう呟きながら歩いていると――地面の辺りで何かが動いた。
「ん?」
少し離れたところに、細長い身体をした生き物が三匹。
見覚えのある姿だった。
「……おっ」
思わず足を止める。
「ウロコトルじゃん」
懐かしい。
火山にいる海竜種の幼体。地面に潜んで、近づいてきた相手を襲う、あのウロコトルだ。
「いやぁ、懐かしいなぁ……3G以来かな?」
昔遊んでいた記憶が一気に蘇ってくる。
「ライズとかサンブレイクにもいたらしいけど、俺やってないからなぁ」
こうして実際に目の前にいると、妙に感慨深い。
自分がガミザミになった状態で再会するとは思わなかったけど。
「しかし……三匹か」
俺はウロコトルたちを眺める。
三匹。それも小型だ。
「余裕だな!」
「行くぞ、ベイビーよ! 今日の飯はアイツらだ!」
「ガァッ!」
俺たちは一斉にウロコトルへ向かって走り出した。
こちらに気づいたウロコトルたちも、身体を起こして威嚇する。
だが――そんなものはお構いなしだ。
「悪いな! 今日は腹が減ってんだ!」
俺は勢いよく跳躍する。
狙いは一匹。
その背中へドスンとのしかかり、身体を押さえつける。
ウロコトルが暴れるより早く、左右のハサミを首へ回した。
「そぉい!」
バチンッ!!
両側から一気に挟み込む。
首が落ち、身体が地面へ崩れた。
「うーん……」
俺は自分のハサミを眺める。
「我ながら、いい切れ味だなぁ!」
自画自賛しながらハサミを鳴らす。
その直後――。
ドゴォンッ!
ドゴォンッ!
「お?」
後ろから二つの爆発音が響いた。
振り返ると、煙の向こうからベイビーがこちらへ歩いてくる。
「お、もう仕留めたか。やるねぇ、ベイビー」
「ガァァッ!」
ベイビーは胸を張るようにして、誇らしげに吠えた。
どうだ、やってやったぞ――!とでも言いたげな顔だ。
「うんうん。爆破も大分扱えるようになってきたねぇ」
最初の頃は爆発するたびに吹っ飛んでいたのに、今では自分から積極的に使っている。
「結構、結構」
「さて……」
目の前には、今日の獲物。
「早速、食べるぞぅ!」
俺はウロコトルの肉にハサミを入れ、一口分を挟み取る。
「うーん……」
口へ放り込む。
「……やっぱ肉だなぁ」
久しぶりに食べる肉は、やっぱりうまかった。
鉱石とはまた違う満足感がある。噛めば噛むほど味が出てくるというか、身体が「これこれ!」と言っているような感じだ。
「ほら、お前も食いな」
ベイビーはじっと肉を見る。
鼻先を近づけて、つんつん。
「……?」
「食っていいんだぞ?」
ベイビーは俺と肉を交互に見る。
どうやら「これ、食べていいのか?」とでも考えているらしい。
「俺が食ってるだろ? 大丈夫大丈夫」
俺がもう一口食べると、ようやくベイビーも口を開いた。
ぱくっ。
「おっ」
次の瞬間。
ガツッ!ガツガツッ!
「……」
ベイビーが夢中になって肉へ食らいついた。
「おお……」
俺が一瞬見ている間にも、どんどん食べていく。
「気に入ったか?」
返事をする余裕もないらしい。
俺も負けじと肉を食べる。
気がつけば、一匹、また一匹と肉は減っていき――。
残っていたはずの肉が、いつの間にかなくなっていた。
ベイビーはよほど気に入ったのか2匹分をぺろりと平らげてしまったらしい。
「おお、いい食いっぷりだねぇ!」
俺は満足げに腹をさする。
「初めての肉、うまさがわかってもらえてよかったよ!」
ベイビーも満腹になったのか、地面に座り込んで満足そうにしている。
「さて……飯も食ったことだし、今日も爆破採掘して帰るk……」
「……ん?」
ふと、少し離れた場所にある岩へ目が止まった。
今……何か動いたような。
じっと見つめる。
「…………」
岩は動かない。
ただそこにあるだけだ。
いや、でも確かにグラッと動いた感じが……
「あ、もしかして……?」