9月も後半ですね…。
全然進んでなくて、申し訳ないです。
なんとか、今年中には完結できるように…。
出来ないなぁ…。
それでは、本編どうぞ。
瑞鳳の姿を見た雪は戦慄した。
「瑞鳳…まさか、彼にそこまでとは…。」
額から汗を流し、やっと絞り出した言葉がソレだった。
最早、全員が動きを止めていた。
「カエセ、カエセ、カエセ、カエセ!!」
そう連呼したかと思えば、瑞鳳は複数の矢を放った。
「瑞鳳!落ち着きなさい!」
状況を飲み込めないまま、我に返った五十鈴が機銃でその矢を弾く。
「瑞鳳さん!そこまでなのです!」
「そうよ!司令官を助けに来たんでしょ!?」
雷と、電が身を挺して瑞鳳の腕を掴み、その動きを止める。
指宿はといえば。
良くも悪くも、人間である。
「な、なんだ…アレは…。」
瑞鳳の変わり果てた姿を見るなり、絶句した。
「あんた、それでも海軍の人間なの?!」
五十鈴が呆れ半分で、指宿に怒鳴る。
「うるさい!お前たち、艦娘だろう?!どうにか出来ないのか!?」
これでは、責任転嫁である。
それを良しとしないのが、海野大将だった。
「貴様が!!事の発端だろうが!!」
ドカドカと近づき。
海野大将が乱暴に、指宿を掴み上げる。
「俺は…!」
「黙れ!問答は無用だッ!」
指宿の言い訳を聞かず、そのまま背負投げをかます。
「グフッ!」
床に叩きつけられた指宿は、肺に酸素を送り込めず、そのまま失神した。
「零君、気をしっかりしてください!!」
その隙を見て、榛名が声をかけながら、急いで零を担ぐ。
しかし、零は気を失ったままである。
その間も、瑞鳳の暴走は止まらない。
「カエセェェェェェ!!」
「どうしたらいいのよ!!」
瑞鳳の絶叫に。
傍らで見ていた暁は、顔面蒼白で声を上げる。
「ず、瑞鳳…。」
榛名の背で、息も絶え絶えに響く声。
「零君!」
思わず、榛名が勢いよく零を見る。
「は、榛名…。」
名を呼ばれた榛名は、目を見開く。
「き、記憶が戻ったんですか?!ッ…急いで医務室に向かいますからね!」
「そんなことよりも…瑞鳳のところに…。」
「で、でも!」
榛名は思わず立ち止まり、目を泳がせる。
現状の瑞鳳に近寄らせるのは、危険だと本能が悟っている。
「いいから…お願い…。」
意識も朦朧としているであろう零に、そう言われてしまっては。
「わ、わかりました。危なくなったら、すぐに離脱させますからね?!」
榛名も不承不承、頷いた。
「ありがとう、榛名。」
零が感謝するが、その身体からは血が止めどなく溢れている。
(こんな状態なのに…医務室ではなく、瑞鳳さんの所なんて…。)
榛名の思っていることは、もっともである。
当の零は、そんなこと気にも留めていない。
(瑞鳳を…止めなきゃ…。)
これだけである。
たった、これだけの思いで。
自身のことなど、後回しにしているのだ。
「瑞鳳…俺は生きてる…だから…。」
榛名が零を抱えながら、瑞鳳のもとに急ぐ。
「何をする気だ!榛名!」
海野大将が、自身の目を疑う。
「榛名さん!零君を先に、医務室に連れて行かないと!」
雷が瑞鳳にしがみつきながら、榛名に怒声を飛ばす。
「零君本人が望んでるんです!榛名には…止められません。」
海野大将も、雷も。
榛名の何処か悔いるような言葉に、何も言えなくなった。
「…
そんな中、電だけは理解を示していた。
「瑞鳳さんは零君を返して欲しいとしか、言ってないのです。私と雷ちゃんで抑えておくのです…だから、零君を瑞鳳さんに、渡してあげて欲しいのです。」
電の言葉は、雪をも驚かせた。
「電…。そうか、瑞鳳が来た時から気にかけてくれてはいたが…。」
雪は、感慨深いモノを感じる。
それも束の間、瑞鳳の雄叫びで現実に引き戻される。
「ウガァァァァ!!」
「瑞鳳さん!!」
榛名が大声を上げ。自身に注意を惹かせる。
振り向きざまに暴れ、二人の拘束を解こうとする瑞鳳の動きが止まった。
瑞鳳のその双眸に、榛名の背で息を荒げ、苦しむ零が映る。
「アァ…。」
雷と電も、抑えていた腕をゆっくりと放す。
「生キテル…ノ?」
榛名に近づき、背にいる零に声をかける。
「瑞鳳…俺は生きてるよ…。」
零は出血が酷いあまり、血の気が引いたように白い。
「零君が、生きてる。」
榛名は"落ち着いた"と見計らい、零を瑞鳳に預ける。
「零君、良かった、生きてて…。」
「瑞鳳…俺のために、ありがと…。」
そんな会話をする瑞鳳は、目の色は普段の琥珀に戻ったが。
髪は白いままである。
「ごめんね、零君…。私…ううん、その前に医務室に行かなきゃね。」
「頼んだよ…瑞鳳…。」
瑞鳳が零を担ぎ、執務室を出る。
目前の艦娘と、少年の姿に。
誰もが言葉を失っていた。
――
これが、指宿を除く、この場の全員が感じたことである。
二人が去れば。
「榛名は…何もしてあげられませんでした…。」
榛名は一人、自責の念に囚われていた。
「榛名、お前が気にすることじゃない。」
海野大将が、榛名の肩に手を置く。
「で、でも…。」
「でもも、何もない。俺とて、何も出来なかった。」
海野大将は俯き、続ける。
「娘を助けることで、精一杯だった。瑞鳳は、あの少年に何を思ったのだ…。」
海野大将が拳を握った。
その時。
「ふざけやがってぇぇ!!!!」
指宿が目を覚ました。
「しぶとい奴め!!」
海野大将が駆け出す前に。
「お前ら、全員!死んでしまえ!!」
指宿は、銃を乱射し始めた。
「全員屈め!!」
海野大将が、怒号を飛ばす。
しかし。
「ぐっ!!」
「「提督!?」」
雪の腿を銃弾が貫く。
艦娘達は、驚愕した。
「雪!!」
海野大将は、娘が撃たれ即座に駆け寄る。
「誰か!雪を医務室へ連れて行くんだ!」
「はっ!」
赤城が雪を担ぎ、医務室へと急ぐ。
撃ち抜かれ、赤城に背負われる雪を見て、指宿は歓喜した。
「俺を馬鹿にするからだ!因果応報だ!」
唾を撒き散らし、これでもかと罵倒する。
「馬鹿じゃないの?」
五十鈴が怒りを顕にする。
「あ?」
先程までの余裕から一変して、五十鈴を指宿は睨む。
「こんなふざけたことをして!あまつさえ、因果応報ですって?!冗談じゃないわ!」
五十鈴は指宿に近づき、胸ぐらを掴む。
「あんたなんかを、提督が選ぶわけないじゃない!この、クズ外道!」
五十鈴の渾身たる怒鳴り声に。
「艦娘のくせに…生意気な…!
拳を固く握り、歯を食いしばるように、指宿は声を絞り出す。
一体、何を言っているのか、五十鈴には見当もつかない。
思わず、胸ぐらを掴んでいた手を放してしまう。
「俺をどれほど蔑ろにすれば気が済むんだ…!どいつもこいつも…!」
その言葉に、海野大将が憤慨する。
「いい加減にせんか!!この大馬鹿者がッ!!!!」
そのまま飛び膝蹴りを、指宿に喰らわす。
「ごえっ!!」
喉元に喰らった指宿は、吹っ飛びながら意識を手放した。
海野大将が指宿をそのまま担ぎ、指示を出す。
「こいつは大本営に連れていく、修繕費は書類を出しておくように。」
「大淀さんに伝えておくわ!」
暁が元気に返事をする。
「それと、榛名を置いていく。…瑞鳳のこともあるからな。」
「「はっ!」」
それだけを言い残し、執務室を後にしようとすると。
「「船まで見送ります。」」
海野大将の後に続き、艦娘たちが港まで、見送りに出る。
(利口だな。さすが、雪の艦娘と言ったところか。)
その進言には、歩きながら本人は感心していた。
「港までとはな、ご苦労。言い忘れていたが、ゆ…ん”ん”、海野少将に目が覚めたら連絡をするよう、伝えてくれ。」
「はっ!!」
海野大将が船に乗り込む直前に、咳払いを入れながら伝えれば、艦娘達は敬礼した。
船が見えなくなると、ようやく鎮守府に戻った。
二人を除いては。
「なんだか、散々というか、驚くことばっかりだったね。」
響が言うと、五十鈴が暗そうな顔をする。
「瑞鳳のことかい?」
響が尋ねれば、静かに俯くように、五十鈴は小さく頷く。
「舞鶴に来るまでの瑞鳳に何があったのか知らないし、今まで暗かったのに、急に明るく振舞い始めた理由もわからない…でも…。」
五十鈴の目から、涙が落ちる。
「零君の為だけに、あそこまでなるってことは…。きっと、思い詰める何かがあったのだけはわかるわ…。あの二人に…私達、ううん、他人が近寄り難いだけの…縁が出来たのも…。」
響が五十鈴を見つめ。
「瑞鳳のことを、
その言葉に、五十鈴は俯かせていた顔を上げ、響を見る。
「響…ひょっとして、瑞鳳の生い立ちを知ってるの?」
「まさか。私は舞鶴で建造されたんだ、知るわけがないじゃないか。でも、
響は海を見つめ。
「阿武隈さ。」
この名前を出した。
「阿武隈って、元大本営直属だったじゃない。」
五十鈴が目を見開きながら尋ねれば、響は頷く。
「阿武隈ならきっと、瑞鳳のことも知ってるんじゃないかな?」
「なんで阿武隈なのよ?」
五十鈴が問うと、予想外の言葉が耳に入る。
「
響の話を聞き終え、生唾をごくりと飲み込み。
「阿武隈が遠征から戻ってきたら、聞いてみるわ。」
額から汗を流しながらも、真剣な表情で響に言って、五十鈴は港を後にした。
「瑞鳳…君には仲間も居るんだよ、零君だけじゃないんだ。…
誰も居なくなった港で、一人呟いた。
「五十鈴がどう出るかによってだけどね…。」
そう付け加え、響も港を後にした。
「零君…ごめんね…。」
病室で瑞鳳は、処置を終えベッドで眠る零に謝っていた。
「私…零君が撃たれた後、何も見えなくなって…。」
返事などあるわけもない。
それでも、瑞鳳は話し続ける。
「なんで、あのとき提督を庇ったの?私だって、他の艦娘だって、海野大将だって居たじゃない。」
瑞鳳は服の裾を、目一杯に握る。
「零君がいま死んだら、私はもう…海を駆ける理由が…。」
裾から手を離し、零の頭を撫でる。
「こんなに身も心もボロボロで…それでも、提督と私を助けて…ちゃんと生きてる…。約束は守ってくれてるんだね。」
そして、零のベッドに入り込み。
「ありがと…♪」
そのまま零を抱きしめると、瑞鳳も眠りに就いた。
隣のベッドでは。
瑞鳳の独り言とも取れる独白で、雪が目を覚ましていた。
瑞鳳が寝たのを確認すると、天井を見上げながら。
「瑞鳳、本当に後戻りが出来なくなってるじゃないか。彼に何を思ったんだ?何をして欲しいんだ?いや、私も女だからね、わかってはいるとも。」
深呼吸をして。
「独占欲だろう?愛情もあるだろうさ。でもソレ以上に、君の生きる理由とはね。…年端のいかない彼には、
返事のないまま、時が過ぎ。
「
聞こえていないであろう説教とも取れる、感想を連ねて。
雪もまた、再び眠りに就いた。
如何だったでしょうか?
書き始めて、4日も経過してました…。
構成と内容って…難しい。
リメイクで尚更、試練に合ってます…。
それでは、また次回に。