急に寒くなったり暑くなったり…。
風邪引きそうです…。
それでは、本編どうぞ。
長門のカミングアウトに、全員驚愕し。
「「……。」」
本当の意味で絶句していた。
「な、長門…とんでもない事を隠していたな…?」
「いや、十年以上も前の話だ。私もやっと、思い出したところさ。」
雪が冷や汗をそのままに尋ねれば。
長門は涼しい顔で、あっけらかんと答えた。
「で?零君の記憶を消してまで、あの島に匿った理由は?」
五十鈴が疑問を解消するかのように、明石に投げかける。
聞かれた明石は、本題を忘れていたのか苦笑を混ぜ。
「元帥は、式条前元帥が深海側に就いたことを国民に悟られぬよう…。」
「それっぽちやあらへんやろ。」
明石の説明を遮り、龍驤が席を立つ。
「もっと大きな何かが、あるんとちゃうんか?」
明石は詰め寄られ、その勢いに仰け反ってしまう。
「あ、あの…。」
「大方、元帥を良く思ってない連中から、零君が狙われてるんやろ?」
龍驤は尚も、明石に鋭い視線を突き刺す。
「…大本営にいる、
「そいつがなんやて?」
「元帥の座を元より狙っていて、自分の父親が深海側となれば自ずと海軍を腐らせ、零君を人質か或いは…。それを防ぐために、私に記憶消去装置を開発させて、零君の記憶を丸ごと剥がし…柊さんと一緒にあの子を、あの島へ送ったんです。」
明石が身体を震わせながら説明すると、雪が榛名に手伝ってもらいながら椅子に座り。
「元帥は何を掴んだんだい?」
極めて真剣な顔で、明石に訊く。
「いま説明した通り、式条少将は式条前元帥と組み…この日本、いえ、世界を滅ぼそうと企んでいるんです。」
「手始めに日本海軍の腐敗か…
明石の説明を聞き終えた雪が呆れたように吐き捨てると、鈴谷が目を丸くする。
「提督って、式条少将のこと知ってるの?」
「あぁ、知ってるとも。軍学校にも通わず、コネで海軍になっただけの
普段の雪では感じられない、明確なまでの殺意を込めた一言。
言葉には怒気が混じり、その目も怒りを顕にしていた。
「な、何か因縁でも…?」
鈴谷はその圧にすっかり呑まれていた。
言葉にも、余裕は無くなっている。
「そこまでしなければ、零君を守れない程に追い込んだ張本人というのならば、
「海野少将が零君に負い目を…。」
榛名が付け足そうとした所で、雪が制止する。
「榛名、
「で、でも…。」
「良いんだよ、
「わ、わかりました…。」
榛名は食い下がろうとするも、雪の圧に逆らえなかった。
「ということは…?式条前元帥が寝返ったと知らず、助けに行ったら祥鳳さんが轟沈。式条少将の企みを知って、元帥が零君と鳴波見大佐を、あの島に避難させた上で一人単独で乗り込み失踪。そこまでしたのに、島の住民は深海棲艦に襲撃されたと…。」
大淀が整理し、見解を述べる。
"間違いない"とばかりに、明石は頷く。
「何よ、それ。巻き込まれた人達が可哀想じゃない。」
暁が唇を震わせる。
「あの時、そうでもしないと…軍とも面識のある零君がもっと酷い目に合わされていたかもしれ…。」
「充分、酷い目に合ってるじゃない!!」
明石の弁明を聞く耳を持たず、暁はその場で怒鳴る。
「いい?!あの日の惨劇を見たのも!そこまでされて、両親も、一緒に暮らしてた人達が居ないのも!全部、あの子が背負ったのよ!明石さんには悪いけど…あなた達の辛さより、よっぽどあの子は傷ついてるわ!」
暁がここまで感情的になる理由は、誰も見当などつかない。
気迫の混じる言い方に、その場で全員が押し黙ってしまった。
「零君、起きて?」
そんなやり取りが食堂で起きている中、瑞鳳がベッドで未だ眠る零に声をかけていた。
「零君、起きて。」
負傷していない左肩を揺すり、零を起こす。
「ん…瑞鳳…?」
「あ…♪起きた!おはよ♪」
「おはよう…いてて…。」
目を覚ました零は、右肩を抑える仕草をする。
起き上がるのを手伝いながら、瑞鳳は零を覗き込み心配する。
「あ、まだ痛む?」
「うん、ちょっとだけ…。」
「私と一緒に食堂に来てほしくて…。」
「え?」
目覚めたばかりの零には、理解など到底追いつかない。
「私が背負って行くから、来てくれる…?」
「い、行くけど、歩けるよ?痛むのは肩だから。」
「ううん、私が背負いたいの。それに、痛むのに無理に連れ出そうとしてるんだし、これくらいは…ね?」
「わ、わかったよ…よろしく…。」
「もちろん♪」
瑞鳳の無理強いに勝てず、零は大人しく従うことにした。
それも、渋々ながらではあるが。
「じゃあ、行こっか♪」
瑞鳳が零を背負い、医務室を二人は後にした。
「俺が呼ばれる理由って…?」
廊下に出てやっと、零は自身が呼ばれた理由を訊いた。
「あのね、指揮を執ったこととか、本当に色々なことを説明して欲しいし、零君自身から訊きたいからかな?提督や、皆もね。」
瑞鳳は、自身の肩から顔を覗かせる零を気遣いながら、経緯を説明した。
「今ので俺でも、何となくわかったよ。」
零は納得しながらも、気になることがあった。
「そういえば、呉の榛名ってまだいるの?」
零が耳元で訊けば、瑞鳳の顔は瞬く間に赤くなる。
「い、居るよ、それから明石さんもね。」
照れながらやっとのことで答えるも、瑞鳳の鼓動は鳴り止まない。
(お、落ち着かない…うぅ…。)
胸中ではしっかり焦りと、恥ずかしさを晒け出していた。
「え?明石も?」
「うん、青葉さんが連れてきたのよ。」
キョトンとする零に、瑞鳳はそのままを説明した。
「そっか、二人に会うのも久しぶりだなぁ。五年振りかな?あ、榛名は海野提督を助けに来た時にも会ってるか。」
「そ、そうなんだ…。」
零が感慨深く話していると、嬉しくもつまらなくもあり、瑞鳳は複雑な心情であった。
「零君、訊いてもいい?」
「ん?」
瑞鳳は確かめるように。
「零君の一番は、私だよね?」
今度は、背負っている零を見ず。
「私が零君にとっての一番で、零君には私しか居ないといいなぁって思ったの。私には、零君しか居ないからお願い、教えて欲しいの…。」
唇を震わせつつ、それを悟られないよう瑞鳳はひたすら歩みを進める。
零が口を開くのを、怖さ半分で待っていると。
「んー、そうだなぁ…。榛名達も含めてで考えても、瑞鳳が一番かなぁ?俺をあの島に送って、
そこまで一息に話し、零は呼吸を整えながら。
「俺が大人になった時、瑞鳳みたいな奥さんが居たらいいなぁって思ってるし。」
零は冷静になり、自身が言い放った言葉を振り返る。
途端に恥ずかしさから、その顔が赤く染まった。
誤魔化すように、瑞鳳に悟られぬように。
目前にある、瑞鳳の肩に顔を埋める。
言われた瑞鳳は、と言えば。
「そ、そうなんだ…。」
上がる口角を必死に抑え、今度は嬉しさから唇を震わせる。
無論、瑞鳳の顔も赤いのは見るまでもなかった。
零は恥ずかしさを隠すように。
「た、卵焼きも美味しいし。」
「えへへ、ありがと…♪」
(胃袋は掴んだわよ♪)
得意の卵焼きを褒めると瑞鳳は上機嫌になり、その足取りは格段に軽く、気が付けば食堂の前だった。
「さ、着いたわよ。…心の準備は大丈夫?」
「心の準備も何も、説明して話すだけだからね。」
零は淡々としていた。
それだけの余裕を、何故か見せていた。
「零君を連れてきました♪って…え?空気が重たい気がする…。」
「な、なんで?」
零と瑞鳳がドアから入れば、そこに居た全員が何とも言えない空気を醸し出していた。
「あぁ、零君。傷は痛むかい?」
「まだ少し…。」
そんな空気を差し置いて、雪が零を心配する。
瑞鳳が雪の前で、零を降ろす。
苦笑気味に零が頬を掻きながら、座っている雪に訊く。
「俺のことで、訊きたいことがあるって聞いたんですけど…。」
「うん。君の生い立ち、指揮が出来た理由、あとは今後についてかな。」
雪が座ったまま零を見上げ、考えるような素振りを見せながら言う。
「わかりました、覚えている範囲で良ければ。」
零は、表情を硬くして頷いた。
「零君…その…。」
そこに、呉の榛名が零に声をかける。
「あの…今まで…。」
「榛名、
榛名の顔を見ず言葉を遮り、零はそのまま前に出る。
「えっと、みんなに説明します!」
零がそのまま声を出せば、全員が零を見る。
「俺は、全部思い出しました。うん、記憶の限りは…。」
零が全員を見渡せば、その全員が頷いていた。
反応を確認し、零が話し始める。
「俺は元帥の息子です。」
少年の、この一言から生い立ちが明らかになる。
いかがだったでしょうか?
それでは、また次回に。