この世の関節が外れた世界   作:灰桜空虚

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読んで頂き、ありがとうございます。
以前の投稿で何を書いていたか、思い出しながらの執筆ですので...。
全然違う。或いは、あれ?こんな部分あったっけ?など、様々な違和感と、相違点があるかと思いますが、何卒、ご理解の程、よろしくお願いいたします...。

それでは、本編どうぞ。


Episode-1

帰投中、長門が無線通信をしていた。

 

「大淀、こちら長門。作戦は成功、敵艦隊は全て撃滅した。これより、帰投する。…島は壊滅、生き残った島民の少年を保護した。よって、このまま連れていく。」

 

[了解です…。お辛い任務でしたね…。提督にもお伝えしておきます、道中お気をつけて。]

 

「あぁ、よろしく頼む。」

 

大淀の声は、通信越しでもわかる程に、落ち込んだものだった。

短い通信を終え、艦隊旗艦である長門はため息を一つ吐く。

 

「ふぅ…。遠征のルートが変わって、出撃かと思えば、こんなことになろうとは…。」

 

「長門さん、仕方ありませんよ。きっと、救難信号だってギリギリになってからでしょうし…。」

 

顔を俯かせながら海上を進む長門を、翔鶴が励ます。

 

「提督にあとは任せましょ?…一番辛いのは瑞鳳の背負ってる、その少年よ。」

 

五十鈴が零を見やる。

 

「そう…ですね。」

 

瑞鳳は、そう返すほか無かった。

 

「この子のために生きてみるのも、いいかもね。」

 

瑞鳳はボソリと呟いた。

潮風のおかげか、その呟きは誰にも聞かれることはなかった。

 

「?どうしたんだい、瑞鳳。」

 

「い、いや、なんでもないですよ?」

 

響の問いに、焦りながらも瑞鳳は誤魔化す。

 

「あの惨状で生きているのが不思議だね。」

 

響の言い分はもっともだ。

海岸を埋め尽くす程にいた、深海棲艦。

その砲撃の凄まじさからか、島は原型を留めていなかった。

島の中に居た零が、それをわかるはずもない。

 

「きっと、彼の言っていたお母さんが守っていたのね。」

 

「捜索は早くても、明日でしょうか。」

 

五十鈴の言葉に、翔鶴が付け足す。

そこに、響が割って入る。

 

「十中八九…。()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「ちょ、響!」

 

五十鈴の制止を見て見ぬふりをする。

響だけは現実を見ていた。

否、現実を受け止めていた。

 

「どんな予想をしても、いつだって非情なのは現実だよ。」

 

響は何を思って、その言葉を口にしているのか。

この場の艦娘達には、その真意を読み取れなかった。

 

「おっと、変な雰囲気にしちゃったね。気にしないでくれ。」

 

あっけらかんとする響に、全員が面食らう。

 

「こんな話をしていたら、もうすぐ鎮守府だよ。」

 

響が指す方向を見れば、確かに目前だった。

 

「なんだか、瑞鳳の顔から憑き物が取れたみたいに感じるのは、気のせい?」

 

五十鈴が不思議そうに、瑞鳳の顔を見る。

 

「な、なんですか…憑き物って。まるで、私が人間じゃないみたいな…。」

 

「いや、人間じゃなくて、艦娘だからな。」

 

長門のツッコミ虚しく。

 

「比喩表現ですぅ!」

 

と、瑞鳳に一蹴されてしまった。

 

「さ、港に到着するよ。」

 

響の言葉で、全員が我に返った。

 

「ほんとね。」

 

五十鈴が安心したように言う。

 

「艤装の解除が終わり次第、各艦、執務室に向かうぞ。」

 

「「了解。」」

 

全員が返事したものの、瑞鳳は艤装の解除に困っていた。

 

「どうしようかな…。」

 

「いいよ、私が手伝う。」

 

「あ、響さん。助かります♪」

 

響が艤装の解除に買って出た。

艤装の解除が終わり、瑞鳳の背で眠る零を見て。

 

「ふふっ、かわいい寝顔だ。」

 

そう呟けば。

 

「ほんとに、可愛いです♪」

 

「あら、本当ですね。」

 

「ま、いい寝顔なんじゃない?」

 

 

瑞鳳、翔鶴、五十鈴が響に続いた。

 

「まったく…。作戦の報告もまだなんだ、早くするんだぞ。」

 

長門がその様子に、呆れながら言えば。

 

「「わかりました…。」」

 

頬を掻き、四人は従った。

そして、全員が執務室へと向かう。

執務室の前に着き、長門が扉をノックする。

 

「艦隊、帰投した。提督、入ってもよろしいか?」

 

「あぁ、お疲れ様。いいよ、入っておいで。」

 

「「失礼します。」」

 

返事を聞き終え、全員が入れば。

 

「今回はご苦労さま。嫌な任務を任せてしまったね…。どうしても、一番近かったのがこの艦隊だったんだ。許してくれ。」

 

提督と呼ばれた女性は、頭を下げる。

 

「そんなに頭を下げることは無いぞ、提督。それと、瑞鳳の背負っている少年を保護した。」

 

「うん、大淀から話は聞いているよ。にしても、安全地帯と呼ばれるあの島が攻め込まれるとはね。」

 

提督は考え込む。

そんな彼女に、長門が口を開く。

 

「お言葉だが、提督。その理由も、その経緯も我々にはわからない。だが、あの場にいた深海棲艦は残らず撃滅した。それだけは確かだ。」

 

提督は、長門を見て。

 

「それも大淀から聞いてるよ、ありがとう。それと、瑞鳳が背負っている少年だよね?執務室にでも寝かせるか…でも、ソファじゃちょっとなぁ…。」

 

悩む提督に、瑞鳳が提案する。

 

「あ、あの、私の部屋に寝かせてもいいですか?」

 

「ん?あぁ、それでもいいか。いや、むしろその方がいいか。いいよ、連れて行ってあげて。その後、瑞鳳は戻って来るように。」

 

「わかりました♪」

 

瑞鳳は零を背負ったまま、上機嫌に執務室を後にした。

 

「な、なんだ、あの瑞鳳は…。」

 

「ほ、本当に変…よね?」

 

「ハラショー…。」

 

長門、五十鈴、響はそれぞれの反応を見せた。

 

「まぁ、普段の瑞鳳を見てれば、その反応になるのも無理はないな。」

 

「本当ですね。」

 

翔鶴と提督は、苦笑を浮かべていた。

 

 

 

 

瑞鳳は、零を背負って自室に向かっていた。

 

「ベッドで、ゆっくり寝てていいからね。」

 

そう呟いたその顔は、何処か笑顔のようで、違うものでもあった。

自室に入り、零をベッドに移す。

 

「また後で来るから。」

 

そう言って、零の頭を撫でれば。

 

「母さん…。」

 

寝言が出る零に、微笑む。

 

「よしよし♪後で起きたら、腕のケガ診てもらおうね。一応、止血はしてあるから、目が覚めたら…ね?あと、約束通り、卵焼き作ってあげりゅ。」

 

その言葉に返事は無いものの、寝かせてあげようと、自室を後にした。

 

 

 

瑞鳳が執務室に戻れば、艦隊を前に、提督はデスクで待機していた。

 

「おかえり。さ、瑞鳳も戻って来たし、作戦報告の詳細を聞かせてくれ。」

 

提督が全員を見る。

 

「深海棲艦はおおよそ30隻と言ったところだったか。」

 

艦隊旗艦であった長門が、神妙な面持ちで伝える。

長門は続ける。

 

「深海棲艦があの島に襲撃。我々が救難信号を受け、遠征ルートを変更してあの島に向かった。提督よ、あの島に向かったのは()()()()()()()()()()?」

 

長門の問いに、提督は頷く。

 

「うん、間違いなく、この鎮守府が島から一番近かったし、ルートとしても一番近かった君達が、いの一番で向かったはず。他の鎮守府じゃ間に合わないからね。」

 

提督が告げれば。

 

「ならば、一応お伝えしておこう。我々が到着した時、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。仲間割れか、もしくは他の鎮守府の艦娘か。はたまた、野良艦娘の仕業か。提督はどう見る?」

 

長門の考察に、提督は額に手をあて、考える素振りをしたあと。

 

「うーん、難しいなぁ。数が減っての交戦と考えれば、少なからずこちらとしては有り難い話なのだけれどね。ま、考えても仕方ないさ。十中八九、()()()()()()()()()()。近くに艦娘は居なかったかい?」

 

「あぁ、形跡も残骸も無かったぞ。」

 

長門が答えれば、提督は頷く。

 

「後々、わかることだろうさ。今は考えても仕方ないよ。」

 

「そうか。すまない、素朴な疑問だ。」

 

提督が言えば、長門は引き下がる。

 

「他には?」

 

「あ、あの…。」

 

瑞鳳が口を開く。

 

「どうしたんだい?瑞鳳。」

 

提督が瑞鳳を見る。

 

「あの子の腕、ケガしてるみたいで…。あとで、明石さんに診てもらってもいいですか?」

 

提督が瑞鳳を見れば。

 

()()()()()()()()()。)

 

提督は胸中で、不思議に思った。

しかし、顔には出さず。

 

「あぁ、疲れているだろうから、目が覚めたら連れて行ってあげてくれ。」

 

「ありがとうございます♪」

 

瑞鳳が言ったあと、五十鈴が口を開く。

 

「捜索は早くても明日かしら?」

 

「どうしてだい?」

 

五十鈴の疑問に、提督は訊き返す。

 

「島民は…憶測だけど、見た限り絶望的。あの子が、"お母さん"って言ってたから早く見つけてあげたくて。」

 

五十鈴の寂しげな表情から察し、提督は。

 

「明日また遠征として組む予定だよ。あの少年の母親が心配なのもわかるから。」

 

五十鈴を優しく諭した。

 

「報告はこれまでにしようか。また何かあったら教えてほしい。」

 

「「はっ。」」

 

提督は全員の敬礼を確認し。

 

「それじゃ、食事でもしておいで。あと、誰でもいいから後で出撃報告書だけ出してね。」

 

「私が出しますね。」

 

翔鶴が買って出る。

 

「よろしく頼むよ。では、解散。」

 

「「失礼します。」」

 

艦隊が部屋を出た後。

提督はデスクで、一人物思いに耽った。

 

「あの少年の顔は何処かで…。他人の空似かな?にしても、安全地帯って言われてたのに…。仕事が増えるじゃないか…。」

 

提督は誰も居ない執務室で、愚痴を吐きながら仕事を続けるのであった。




如何だったでしょうか?
なんか、前に書いてた時より、内容が随分変わってるような気がしますが…。
御愛嬌です…。
バックアップを用意してなかった作者の落ち度です。

それでは、また次回に。
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