もう殆ど覚えてなくて…。
ほぼ改変かと思われますが…。
ご勘弁ください…。
それでは、本編どうぞ。
提督に言われた通り、長門たちは食堂に向かった。
「さて、食事といこうじゃないか。」
食堂に着き。
長門が腹が減ったとばかりに言えば、瑞鳳がカウンターに向かう。
「間宮さーん!焼き魚定食五人前お願いしまーす!」
「はーい!少々お待ち下さいね!」
瑞鳳が頼めば、厨房から間宮の元気な返事が返ってくる。
五人は、テーブル席に座る。
「長門?なんだか、腑に落ちないって顔してるわよ。」
五十鈴が長門に話しかける。
「あ、あぁ、すまない。いや、島での一件がどうにもな。」
長門は未だ腕を組み、考える素振りを見せる。
「で?"安全地帯"って誰が名付けたのかしらね。」
五十鈴がぶっきらぼうに言い放つ。
「さぁ?確か
響が呆れ半分に答え、五十鈴を見る。
「まったくだ。あれだけ電磁波で囲まれた島に、深海棲艦がどう入ったのだろうな。」
一連を聞いていた長門が、至極真面目な顔で呟く。
五十鈴も先程までとは変わり、神妙な顔になる。
「あの少年も安全地帯で暮らしてたところに、深海棲艦に襲われて。きっと、母親ももう…。あの子の行く末が心配よ…。」
五十鈴の"心配"という言葉に、今まで黙って話を聞いていた瑞鳳が、無言で目を見開く。
「瑞鳳さん?」
翔鶴が様子が変わった瑞鳳の肩に手を置き、声をかける。
「あ、いや、何でも無いですよ?」
瑞鳳は首を振り、困ったような笑顔を浮かべる。
「それならいいのですが…。」
翔鶴は何処か、腑に落ちなかった。
(何かしら?この言いようのない違和感は。)
瑞鳳を見つめ、胸中では不思議さが募る。
しかし、思い詰め過ぎだろうと気にしないことにした。
「お待たせしました、定食五人分です。」
そんな会話をしていれば、間宮が食事を運んできた。
「「ありがとうございます。」」
艦娘なれど、感謝は忘れない。
「では、まずは頂こうか。」
「「頂きます。」」
長門の号令で、全員が食事に手を付ける。
一方その頃。
瑞鳳の部屋では、零が目を覚ましていた。
「あ、あれ?ここは?」
零は考えが追いついていない。
「あ、母さん!」
我に返り、母を探しにベッドを出る。
しかし。
「痛っ!!」
数時間も走っていた上に、腕のケガ。
満身創痍とまではいかなくとも、その身体には重いものである。
「身体もだるいし、腕も痛い…ん?このハチマキ、あの人が着けてたやつ…。」
零が腕を見れば、巻かれた鉢巻が目に映る。
「あとでお礼言わなきゃ。先に母さんを探さないと。その前に、ここ何処だろ?」
零は考えるも、自身のいる場所がわからない。
「とりあえず、外に出よう。」
考えても仕方ないと、ドアを開け、廊下に出る。
「うわー広いな。歩いてれば、わかるかな?」
そう呟き、歩みを進める。
廊下は入り組んでおり、零が迷子になるのは必然。
「完全に迷子だ、ここ広すぎる。出口もわかんないや。誰か居ないかなぁ…。」
そうして辺りを見渡しながら歩いていると、後ろから声をかけられる。
「ん?君、迷子っぽい?」
「うおぉ!?」
「あ、驚かせちゃったかしら?」
そこには、金髪の艦娘がいた。
「え?艦娘?」
零はやっとのことで声を出す。
「そうっぽい!私、夕立よ。よろしくっぽい!」
「た、
零は夕立と名乗った艦娘に、頭を下げる。
「夕立に敬語なんていらないっぽい!君、長門さん達が連れてきた少年っぽい?」
夕立の問いに、零は頭を悩ませる。
「えーと、そうなのかなぁ…。俺は母さんを探してて…。」
零はそう言って俯く。
夕立が腕を組み、考えるも。
「んー、夕立にはわからないから、提督さんに聞くっぽい!」
「て、ていとく?」
夕立が提督という言葉を口にすれば。
(ていとく…。なんか、
零は朧気な何かを、思い出せそうで思い出せない。
そんな最中。
「提督さんの居る執務室に案内するっぽい!ついてきて!」
「あ?え?」
元気に零を引っ張っていく夕立。
引っ張られている本人は、考えが追いつかずにいたが。
程なくして執務室に着き、夕立が執務室のドアをノックする。
「提督さん、駆逐艦夕立、入ってもいいっぽい?」
「夕立かい?いいよ、入っておいで。」
「失礼しますっぽい!」
零と夕立が中に入れば。
「おや?長門達が連れてきた少年じゃないか。目が覚めたようで、何よりだよ。」
提督が零を見て、微笑む。
(綺麗な人だなぁ。)
零はそんなどうでもいい感想を、胸中で述べていた。
それを察してなのか。
「どうしたんだい?私に見惚れたのかな?」
「あ、いや、その…。」
図星を突かれ、零がしどろもどろになるも。
「ふふっ、冗談だよ。さぁ、ソファにでも座ってくれ。」
提督は、軽口を混ぜたあと、零に座るよう促す。
「夕立、案内ご苦労さま。もうヒトフタフタマルだから、長門達と食堂で合流しておいで。」
「了解しましたっぽい!」
提督はそれとなく夕立を下がらせ、反対のソファに座り、零と対面する。
「さて、目覚めて早々に申し訳ないけれど、私はこの舞鶴鎮守府を預かっている、
雪は頭を下げる。
すると、零が恐る恐る尋ねる。
「あ、あの母さんを探していて…。知りませんか…?」
雪は尚も頭を下げたまま。
「
雪はわかっていた。
島民が全員、助からなかったと。
零が唯一の生き残りであると。
調べずとも、考えずとも。
そんな希望があるはずがないと。
「だって…艦娘達が来てくれて…あっという間に深海棲艦を倒してくれたんですよ…?」
零の震える声に、頭を下げたまま雪は目を瞑り。
「…本当に申し訳ない。」
それしか言葉を出せなかった。
「そんな…そんな…。」
零は声だけでなく、身体をも震わせる。
「あの島の人たち、全員助からなかったんですか…?」
零の問いに、雪は首を振るしか出来ない。
「う…っ…ぐっ…。」
零は声を出さずに、堪えるように涙を流す。
「俺…も、無力…だったんです。母さんに言われて…ただ、逃げるだけしか…出来なかったん…です…。」
そう言いながら、零は膝の上で拳を固く握る。
「少年…。」
雪も顔を歪ませながら、零を見る。
「わかってるんです…。目の前で母さんが…砲弾で吹き飛ばされるのを…見てましたから…。」
零の独白とも、後悔とも取れる言葉に。
雪は再び俯く。
そんな折、勢いよくドアが開け放たれる。
「夕立さんから、あの子が目覚めて、執務室に居るって聞いて来ました!」
「ず、瑞鳳…。」
雪が突如現れた瑞鳳に、呆れ半分、驚き半分で目を向ける。
「って…泣いてるじゃない!」
そう言って零に近づき。
「もう大丈夫。安心していいんだよ?」
そう優しく言って、零を抱きしめた。
「お、俺…。」
零は、自身が何を伝えたいのか。
何を言いたいのか。
考えが、まとまらない。
そんな零に、何も言わず、瑞鳳はただただ、抱きしめたまま。
「何も言わなくていいし、泣いてても良いんだよ。それだけの事に、君は巻き込まれたんだから。だから…ね?もう…我慢なんてしないで。」
瑞鳳の言葉に、零は堰を切ったように泣いた。
この短時間で全てを理解した零にとっては、優しすぎる言葉だった。
雪は気を利かせ、軍帽を深く被り、顔を隠す。
零が落ち着いたのを見計らって、瑞鳳が尋ねる。
「君、名前は?」
「橘花零です。」
「零君!いい名前ね!」
その名前に、雪が目を見開き、軍帽を被り直して訊く。
「たちばな…字はどう書く?」
「きっかって書いて、たちばなです。」
雪は驚愕の色を隠せない。
(ま、まさか。い、いや、同姓同名ということも…。)
何故ならば、その名前に聞き覚えがあった。
否、見たことすらあるかもしれないのだ。
「一つ聞きたいのだけれど、橘花君の
零はその問いに、少々困るも。
「父さんは海で仕事をしているとしか…。どうしてですか?」
「い、いや…もしかしたら…。」
雪は額に汗を流しながら。
「君のお父上だが…数年前に行方不明になった、この日本海軍最高指揮官である、元帥かもしれないんだ。」
雪の語る憶測は、この少年の。
始まりであり、行く末を決める序章になる。
如何だったでしょうか?
それでは、また次回に。