そして、初めての『オリ主』モノです。
もはや何番煎じかもわからない展開が続くかもしれませんが、ご了承ください。
最初に目に入ったのは、ゆりかごの内側だった。
体がまともに動かない。手足をバタつかせながら状況を確認しようとすると、足音と共にゆりかごの外から大きな顔が俺を覗き込む。
両親の若い頃の顔だった。
首から座っていて満足に顔も動かせないまま、写真でしか見た事のなかった若々しい両親に、俺は恐れおののく。
そのまま笑顔の両親の大きな手で、俺の小さくなってしまった体は優々と抱き上げられ、俺はワケもわからず、オギャアと泣いた。
両親は当たり前の様に、赤ん坊の俺をあやした。
俺はわざとらしく、それに反応するので精一杯だった。
ろくに喋る事もできずに、泣かなければ飯も、ましてやトイレ……と言う名のオムツの取り替えも解決しない。
たまにベビーカーで外に連れ出されるが、小さい体では自由に動くことすら叶わない。
この歳になって母親の乳に吸い付かなくてはならないのは屈辱以外なんでもないと思っていたが、結局、母親は母親だ。慣れてしまうのである。
そもそも、自分がどうして逆行などしているのかが理解できなかった。死んだのだろうかと考えたが、怖くなってすぐにやめた。
だが、変化はすぐ訪れた。この世界が今までの世界と違うと気がつくのに、そう時間はかからなかった。
きっかけは、ハイハイすらまともにできないまま、リビングを這いずって進んだ先に見えたテレビ。
最初は、昔起こった大災害のドキュメンタリーだと思っていたのだが……
『見えるか!!?』
『もう100人は救い出してる!! やべえって!! まだ10分も経ってねーーーって!! やべえって!!!』
『HAーーHAHAHAHAHAHAHA !!!!! 』
『めちゃ笑ってんよ!!?』
『もう大丈夫! 何故って? ……私が来た!!』
金色に輝く髪を、触覚みたいに『V』字型に伸ばし、堀りの深すぎる顔立ちに、2mを平然と超える筋骨隆々の体。赤、青、黄と子供の好きなトリコロールカラーのヒロイックな服装に身を包み、マントこそ付けてないけど、俺にはマントなびかせている様に幻視した男が、被災者を何十人と抱えながら救助をする、衝撃的すぎる光景だった。
それは、俺の好きだったマンガ、『僕のヒーローアカデミア』に出てくるキャラクターの『オールマイト』だった。
テレビに映っていたのは、その彼が来日してから始めてのヒーロー活動のデビュー動画。いわゆる、再放送だった。
そして、ソレを呆然と見ていた俺の後ろで、両親の口から当たり前のように出た『ヒーロー』という単語。
俺が『ヒロアカ』の世界に転生したと実感するのに、時間はかからなかった。