切裂ヤイバの献身   作:monmo

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仮免試験〜インターン編
第二十四話


 

 

 

 

 

 爆豪の救出と敵連合の掃討を合わせた一大反撃作戦からオールマイトとAFOの戦いにまで発展した『神野事件』は、アレだけの余波を残して死亡者0人という奇跡を起こしていた。

 だが、史実通り、宿敵AFOを倒すために全ての力を使ってしまったオールマイトは、事実上の引退となった。

 

 オールマイトの引退で世間に漠然とした不安が広がっていく中、その重荷を引き継く事になったのが……ヒーローチャートランキングから繰り上げてNo.1になった、轟の父親である『フレイムヒーロー《エンデヴァー》』だ。

 しかし、人々の不安は拭えきれるどころか、拭えているのかも怪しかった。

 

 だって、エンデヴァーがオールマイトと同等なのかと言われれば、全く違う。

 事件解決量で競えば、彼はオールマイトより上なのだが……いかんせん、ファンサービスやメディアに対しての意識をしない主義だ。

 ヴィランを倒す事や、人々を救い出す事をパフォーマンスとして魅せるだけの力を持つオールマイトと違って、彼は黙々と事件を解決する。余計な事を一切省いて、自分の守れる範囲を必死に広げているような気がした。

 本人もこんな形でNo.1になど、なりたくはなかっただろう。国民からオールマイトとの比較対象にされる気持ちは、俺には想像するのも嫌になりそうだ。

 

 轟と似ている……というか、轟が彼に似ているのだが……彼は職人気質だ。たぶん、俺よりも人と触れ合うのが得意じゃないのだろう。

 

 そもそも、彼は万人に人気のあるヒーローじゃない。致命的なぐらいの勢いで、女性層から人気がない。インターネットで『エンデヴァー』で検索したら、マイナス的な単語が予測変換されて出てくる。素の性格すら轟を見ていても伝わるぐらい、荒くて激情家だ。

 結婚をしているというのも原因のひとつとしてあると思うが、強面過ぎる見た目がほぼほぼの原因だろう。公安委員会の非公式ではあるが、インターネットの『ヴィランっぽいヒーロー』ランキングでは堂々の1位を保ち続けている。こんなに嬉しくない二冠王も、中々ないだろう。

 

 ひとえにナチュラルボーンヒーローであるオールマイトの存在が圧倒的すぎたのだ。今までずっと頼り続けていた『平和の象徴』が消え、その代わりとなれるヒーローもいないこの国は今、そのツケを払う事になっている。『平和の象徴』の玉座は『ヒーロー弱体化』の玉座と成り果て、ソコに無理矢理エンデヴァーが座らされているのが、現状と言った所だ。

 ワイドショーのコメンテーターも「受け身で守られるのではなく、ヒーローを盛り上げなければならない」と言っていた。その通りだと、俺は思った。

 ヒーロー飽和社会なんて言われてはいるが、ヒーローが増えただけで世界が平和になるほど、この世界は単純じゃない。不安ばかり煽れば、プレッシャーとなってのしかかり、ひとり……またひとりと潰れるか、逃げていくだろう。ヒーローだって一般市民と同じ人間である事を、果たして彼らは気付いているのだろうか。

 

 

 

 当たり前だが俺は……この物語の主人公である緑谷が、オールマイトを超える『平和の象徴』となれるのを信じている。

 

 だが、彼が最高のヒーローになれるまで、オールマイトの消えたこのヒーロー社会を、根本から変える必要があるとも、俺は思っている。

 

 俺は『平和の象徴』よりも……『明るくて優しい世界』を目指しているのだから。

 

 これ以上、ヴィランを出さないために。

 

 彼女が、笑って暮らせる世界を作るために。

 

 

 

 トガちゃんと別れた翌日の朝早くから、俺は迎えに来た両親の車に乗って家へと帰った。

 入院中、プッシーキャッツのメンバーに会える事は叶わなかった。一緒に入院していたらしいピクシーボブは、昨日の昼には退院して出ていったそうだ。

 携帯どころか連絡先も知らなかったから、俺にはもう彼女達を安否を確かめに連絡を入れる手段はない。諦めるしかなかった。

 ただ、八百万の話と病室にあったテレビで神野事件に関わっているのは知れたし、ニュースを見る限り無事で帰ってきた事に俺は安堵した。マウントレディもAFOの攻撃を浴びてケガをしたらしいが、爆豪を助け出した貢献者として報道されており、彼女が健在である事も知れた。

 

 こうして家にも帰ってきたら俺に、休む間もなく行われたのが雄英からの家庭訪問。俺の家は雄英に近いし、すぐ行われるだろうとは思っていた。

 すでに知ってはいるが、内容は入院中にクラスメイト達に聞かされた、全寮制の導入だった。

 

 敵連合から2度にも渡る雄英高校への襲撃と、ヒーロー科の生徒への直接的な被害を受けて、雄英の信頼はいつ壊れても仕方がないぐらい揺らぎつつあった。

 これらの事態を重く受け止めた学校側は、俺達生徒の安全を確保するのと……コレは史実の知識を持つ俺しか解っていない事だが……雄英の情報を漏らしている内通者を見極めるべく、全寮制を学校に導入した。

 

 トガちゃんとの密会も、コレでやりづらくなってしまった。

 

 当然、俺も雄英生である以上は全寮制からは逃れられない。その説明……と言うよりは説得を各家庭にするべく、雄英からは教師達による家庭訪問が実施されたのだ。

 で、俺が目覚めてから翌日の退院となって帰った家がその場所に選ばれた。

 俺の家には相澤先生と……なぜかオールマイトも来た。当然、普段見ていたあのムッキムキのマッスルフォームではなく、見慣れているハズなのに今まで一度もこの目で見た事なかった、ガリガリの骸骨みたいなトゥルーフォームの姿で。

 

 すっかり忘れていた。俺のクラスの副担任がオールマイトだった。緑谷がどうとか、そんな理由じゃなかったんだ。

 

 そんな事はともかく、相澤先生とオールマイト先生、俺、親父、母親と主要人物が全員揃って、五者面談が始まった。

 

 親父は無言で頷いて、俺の意思を尊重してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブチギレたのは母親だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや、考えれば当然な反応なんだ。

 

 USJ事件に続いて、2度も自分の子供に怪我の痕を残すほどの被害に遭わせて、しかも今度は意識不明の重体にまでさせておいて、どうやって信じろって話なのか。

 

 両手に刃を立てて相澤先生に掴み掛かろうとする母親を、俺と親父で全力で止めた。

 

 それが普通なんだ。

 

 なんとか母親を落ち着かせようとしたが、今度は面談にもならないぐらいの勢いで泣き始めてしまった。

 親父は、母親は泣き止んでから説得させると言ってくれた。だから、俺は自分の意見を親と先生に通した。

 

 言い分は、もう決まっていた。

 

 

 

 

 

 今回の一件で覚悟がついた。

 

 

 

 

 

 ヴィランの魔の手は平和を脅やかし始めている。

 

 

 

 

 

 それなのに、ココで逃げ出して普通の生活に戻る方が、怖くてままならない。

 

 

 

 

 

 あそこには、大切なクラスメイト達もいる。

 

 

 

 

 

 みんなが安心して暮らせるためにも、俺はヒーローを目指す。

 

 

 

 

 

 こうして、面談は問題なく終わった。

 

 その日の内に、俺は親父に新しい携帯電話を買ってもらった。もう壊すんじゃねえぞと、当たり前みたいな小言も貰いながら。

 

 

 

 

 

 それから数日後、世間はまだ夏休み真っ只中だろうが、俺は制服を袖に通して久しぶりの雄英へと登校する。

 

 母親は、俺が玄関から出ていく最後まで泣いていた。

 

 

 

 

 

 そりゃあ…………後ろ髪を引かれる思いはあった。

 

 

 

 

 

 親の気持ちを……特に母親の気持ちを蔑ろにした、自覚もあった。

 

 

 

 

 

 でも、それを超える想いが俺にはあった。

 

 

 

 

 

 トガちゃんのヒーローになるため。

 

 

 

 

 

 両親にも、平穏に暮らしていてほしいため。

 

 

 

 

 

 アイツらを全員潰さなければ、平和な世界すら訪れない。

 

 

 

 

 

 そう確信していたから、振り返る事はなかった。

 

 

 

 

 

 だからもう少しだけ、母親には我慢をしてほしい。

 

 

 

 

 

 ここからしばらく、俺が家から登校する事はなくなるのだ。

 

 

 

 

 

 ・・・♡・・・♡・・・

 

 

 

 

 

 雄英の校門をくぐり、校舎を目指さずに敷地内を歩いた俺は……校舎から歩いて5分、築3日の学生寮『ハイツアライアンス』に向かった。

 

「切裂ぃっ!!!」

 

「峰田くんっ!!!」

 

 寮の前まで来て、1番最初に俺へと気づいて駆け寄って来たのは、やっぱり峰田だった。

 

「寮の許可、下りたんだなっ! よかったー!」

 

「そりゃ、俺だって雄英通いたいもん」

 

 病院以来、顔を合わせた峰田にハイタッチすると、次に切島と芦戸が駆け寄って来た。

 

「切裂!! お前とまた雄英一緒に通えて……嬉しいぜっ!!!」

 

「ヤイバっ! 寮凄くおっきいねっ! 今日から一緒に暮らすんだよっ!!」

 

 興奮気味の芦戸に手を引かれながらクラスメイト達の集団に揉まれ、俺は寮へと更に近寄った。

 

「切裂くん。お母さん、大丈夫だった……?」

 

「大変だったよ。緑谷くんの方も、でしょ?」

 

「え? う……うんっ!」

 

 まさか緑谷に母親の事で心配される日が来るとは思わなかった。彼の家も大変だっただろうに。

 

「ヤオモモちゃん、隈消えたね。よかった……」

 

「は、はい……! ヤイバさんも、すっかり元気になられて……安心しました」

 

 俺と八百万が話している最中に、瀬呂が全員を見渡して安堵の息を吐いていた。

 

「つか……みんな入寮の許可、下りたんだな……!」

 

「ハァ……私は苦戦したよ……」

 

「普通そうだよね……」

 

「2人はガスで直接被害あったもんね」

 

 制服だけがガクンと傾いてため息を漏らす葉隠に、耳朗と続いて尾白が話をしていると、そこに蛙吹も会話に続いた。

 

「無事に集まれたのは相澤先生もよ。会見を見た時は、いなくなってしまうのかと思って悲しかったの」

 

「うん……」

 

 彼女の台詞に麗日がうなずくと、目の前の寮のドアが開いて相澤先生が出てきた。もちろん格好は家庭訪問で見た、スーツに髪も纏めて髭も剃ったフォーマルな姿ではなく、いつものくたびれたヒーローコスチュームの姿だ。髭は、まだ短かったが。

 

「俺もびっくりさ…………まあ、色々あったんだろうよ」

 

 

 

「「「「「「「「「「相澤先生っ!」」」」」」」」」」

 

 

 

 話題の真っ只中だった担任の登場に、クラスメイト達が飯田の号令に合わせて挨拶をする。そんなひとコマをついてから、相澤先生は俺達に話を始めた。

 

「とりあえず1年A組、全員無事に集まれてなによりだ。今から寮について軽く説明するが…………その前にひとつ、当面ヒーロー科1年は合宿で取る予定だった仮免取得に向けて動いていく」

 

 手を叩いて先生がそう言った瞬間、クラスメイト達の前の方に立っていた切島が、先生よりも更に手を強く叩いた。

 

「その話待ってましたぜっ、先生っ!!!」

 

「切裂がいないのにっ、オイラ達ばっか前に進められないもんなっ!!」

 

「私達もう準備万端なんだからっ!」

 

 切島に続いて、峰田もジャンプを繰り返しながら叫び、芦戸も両手を握りしめている。

 

「落ち着け。大事な話だ、いいか? これから仮免を取れば、お前らはプロとして、現場で働くヒーロー達と同等に世間から見られる事となる。だからこそ、君たちには正規の手続きを踏み、正規の活躍をしてほしい。わかったな切島?」

 

「ウっ!? ウッスッ!!」

 

 いきなり名前を言われて視線を向けられた切島が、声を上擦らせながら返事をする。たぶん、プッシーキャッツの誰かから本人の暴走を聞いているのだろう。それでも実行に移さなかった分、相澤先生はそれ以上何も言わなかった。

 

「以上。さあ、中に入るぞ。元気に行こう」

 

 

 

「「「「「「「「「「はいっ!!!!!」」」」」」」」」」

 

 

 

 全員で元気良く返事をして、俺達は相澤先生の背中を追って寮の中へと入った。

 

「おお〜!」

 

「中庭もあんじゃんっ!」

 

「広っ! キレイっ! ソファ〜っ!!」

 

「豪邸やないかい……!」

 

「麗日君!?」

 

 クラスメイト達が思い思いに騒ぎ始めようとしている中、相澤先生は無視して説明を続けた。

 

 学生寮は1棟1クラスで、右の側が女子、左側が男子と建物の構造が分かれている。1階はもちろん共同スペース。食事、風呂、洗濯はここで行える。瀬呂の関心する通り、中庭までついていた。

 俺達の自室は2階から。1フロアに男女各4部屋ずつの5階建て。だから32部屋ある計算になる。

 自室は1人1部屋。エアコン、トイレ、冷蔵庫、クローゼットにベランダも付いてる贅沢仕立て。

 

 唯一、シャワー室が無いのが不満事項だが、校舎にあるトレーニングルームのヤツで我慢しよう。

 

 部屋割りも決まっているので確認してみると、2階の緑谷と常闇の間の部屋だ。反対側の女子部屋には、誰も入っていなかった。

 荷物がもう部屋に届いているらしいので、今日は部屋作れとの指示を最後に、相澤先生の説明は終わった。

 

 早速クラスメイト達がそれぞれの部屋に向かって、自分達の部屋を展開しようとする動きに混ざろうとすると、その前に相澤先生が俺を呼び止めた。

 

「切裂、ちょっとこっち来い」

 

「はい」

 

 呼ばれる気はしていたので、俺は素直に従って誰の部屋でもない空き部屋へと案内され、2人きりとなった。

 

「体調はどうだ」

 

「疲れが取れました…………がっつり眠っちゃってたみたいで……体がナマった気がしますけど……」

 

 肩を軽く動かしながら返事をする俺に、相澤先生は鼻で静かに息を吐いた。

 

「アイツらにタップリ揉んでもらうといい、と言っても、入院して急ぐ気持ちはわかるが……今日はまだ訓練の事は忘れて、クラスメイト達とよく話をしとけ。皆、心配していたんだからな」

 

「先生もですか?」

 

「ああ」

 

 相澤先生は無表情のままだったが、迷いのない返事だった。

 

「目ぇ覚めて、みんながお見舞いに来た時、みんなボロボロでした……」

 

「お前が気を失っている間……休校中もあいつら訓練施設を借りに来てな…………正直、俺よりもオーバーワーク気味だった。B組含めてな」

 

「そう……ですよね……」

 

 ネットニュースに流れていたが、雄英の門の前で屯っていたマスゴミが、ガンギマりながら登校している切島達を撮影した写真があったのだ。

 もちろん本人達はマスゴミにフルシカト。1日遅れで合流した緑谷も、救出されたばかりの爆豪も訓練に参加したそうだ。

 

「特に緑谷、爆豪、峰田、切島、麗日、芦戸は酷い状態だったから、俺や他の教師が止めたぐらいだ。八百万は、親御さんから体調を崩していると聞いて…………次に会えたのは面談の時だったが…………目に隈がついていた」

 

「……轟くんは?」

 

「最初は訓練所に来ていたのを見たが……神野事件の翌日から来なくなっていた。俺も気に掛かって最初に面談に行った時、父親のエンデヴァーがいてな……なぜか2人ともボロボロだった」

 

「そうですか……」

 

 深く考えなくても、何があったのかはわかった。自分よりも炎を使いこなせる父親に、盗めるだけの技術を盗もうとしたのだろう。No.1ヒーローになった彼に時間的な余裕があるのかどうかはともかく、自分に向き合ってくる今の轟を見て何を思うのだろうか。気になったのはソッチだ。

 

「特訓してたって事は……みんな両親の事、説得させてたんですよね……きっと」

 

「だろうな。おかげで面談は想像以上に早く終わったよ」

 

 だとしたら、手こずったのは自分の家だけだっただろう。先生は、それを言おうとはしなかった。

 

「良い親御さんを持ったな。緑谷の家にはオールマイトだけが行ったから細部は知らんが……あそこまで全寮制……いや、雄英に反対してきたのは……お前の家だけだった」

 

 『抹消』を発動せず、母親の刃を体で受け止めようとした先生の言葉に、俺は少しだけ答えに迷った。

 

「親父が頑張ってくれました。あとは……俺がソレに応えるだけです」

 

「体育祭で、表彰台に立った時に自分がなんて言ったか、覚えているな?」

 

「っ!? はい!」

 

 まさか、相澤先生に覚えられているとは思っておらず、俺は少しだけ緊張して返事をする。

 

「たった1人のNo.1に、犯罪抑止の重荷を全て背負わせる『平和の象徴』を主軸としない…………未だに『個性』による混乱が起きる世間を、正しく差し照らす事でヴィランを根本的に減らそうとする…………お前の目指す『明るくて優しい世界』の方が、余程合理的だ。オールマイトも引退して『平和の象徴』も消えた今、俺にはソレが現実的な最善に思えてならん」

 

「せ、先生……」

 

 具体例が定まらないのが問題だがな、と言い足して先生は俺に軽く頭を下げてきた。

 

「お前が守ったラグドールがいなければ、爆豪の救出は実現できなかっただろう。あの時の俺の指示はお前達に自衛させるためだったが、お前はその状況下で出来る最善を尽くした。身を挺して彼女を守り抜いた事、プッシーキャッツ達に代わって感謝する。それと、その場にいてやれなくて……申し訳ない」

 

 たぶん、ラグドールから伝言を預かってしまったのだろう。じゃなきゃ、相澤先生が俺に頭を下げるとは思わなかった。

 

「いいんです。それより、先生大丈夫でしたか? テレビ見てて、マスゴミにだいぶ詰め寄られてましたけど」

 

 俺が言っているのは事件直後の記者会見。もちろん、見たのはネットニュースに上がってた動画だ。

 

「あんなヤツらに言い負けるほど、ヤワな教師になった覚えはない」

 

「……それもそうですね。面談でも思ったんですけど、相澤先生の髪纏めたスーツ姿、新鮮でした。逆に、アレで人気出るかもしれませんね♪」

 

「そんなモンは求めてない」

 

 普段は絶対に身だしなみなんか気にしない相澤先生が、無精髭を剃って整髪料で髪をまとめた姿に、あらためて見てギャップ萌え起こしそうになった。普段からあの姿だったら、相当女の子に言い寄られそうだ。

 

「でも……クビにならなくて、安心しました」

 

「世間は俺の免職を叫んでいる者もいるが……今は雄英も忙しい。追い出す訳にはいかないんだろうよ」

 

 嘘だ。

 

 劇中でプレゼントマイク先生が言っていた『内通者』が誰なのか、俺にもわかっていない。

 相澤先生がクビにならなかったのは俺達の寮制度と同じ、雄英にいる人間を外に逃がすより、泳がせて尻尾を出させる意味合いがあるのだろう。

 

 

 

 先生の個性は唯一無二と言っていいほど強力だ。この先の史実でも必要になってくる。

 

 

 

 この人がもし『内通者』じゃないとして、いなくなったら完全に詰む可能性がある。

 

 

 

 いや、可能性じゃなくて、間違いなく詰む。

 

 

 

 A組のみんなの心が、壊れてしまうかもしれない。

 

 

 

 

 

 この人は絶対に必要な存在だ。

 

 

 

 

 

 それは個性がどうとか、そんな話じゃなかった。

 

 

 

 1年A組、みんなこの人の事が好きだ。

 

 

 

 だから、彼を信用するしかなかった。

 

 

 

 

 

「俺、相澤先生以外が担任とか、嫌なんで」

 

「……だったら、あまり俺達に迷惑をかけるなよ」

 

 

 

 

 

「そうですね。すみません」

 

 まあ、仮免取れれば、この人の肩の荷も少しは軽くなるハズだ。

 

「話は終わりだ。部屋に行け」

 

「あ、先生あとひとつ……」

 

「?」

 

「ラグど……プッシーキャッツの人達に……ありがとうございましたって伝えて欲しいです……」

 

 この人なら、彼女達の連絡先を知っていてもおかしくはない。気を失ってから1度も会えなかったせめて、言葉だけでも伝えておきたかった。

 

「……わかった」

 

 そんな会話をして、俺もクラスメイト達と同じように、自分の新たな自室へと向かった。

 

 

 

 

 

 ・・・♡・・・♡・・・

 

 

 

 

 

 サクッと荷解きも終わったので、ダンボールを片付けた俺はロビー兼居間である共同スペースへ戻ってくると、そこには障子がソファーに座っていた。

 

「障子くん、もう終わったの?」

 

「あぁ、そんな大した物はなかったからな」

 

 彼の部屋がどんな感じなのかも俺は知っているが、話題にはせず俺は別のソファーへと座る。

 

「さっきは、相澤先生に何を言われていたんだ?」

 

 見られていたのか、障子の質問に俺は曖昧にして答える。

 

「先生も、責任感じてた……」

 

「そうか……八百万から聞いたが、お前の方も大変……なんて言葉では済まなかったみたいだしな……」

 

 それだけで障子は俺の意図を読んでくれたのか、深くは聞こうとしてこなかった。

 

「障子くんも、腕切り落とされてなかったっけ?」

 

「アレは複製腕から更に伸ばした部分だ。俺の本体じゃない。ホラ……」

 

 そう言って障子は切り落とされただろう、複製腕の切られた部分を見せてきた。もちろん、そこには普通に腕が生えている。

 俺はソレを見ながら、片腕を刃に変化させた。ツギハギの傷痕が波紋に見えるのも、まだ真新しく感じる。

 

「俺の刃もある程度は再生が利くんだけど……そこまではできないからな……」

 

「異形型というのもあるだろう。なんにせよ、お互い無事で良かったな」

 

 そんな話を続けながら、俺は新しく買った携帯電話を使って、障子にA組のメッセージグループと、A組B組のメッセージグループへと再招待してもらった。

 写真は別サーバーで復旧に成功したが、メッセージは戻せない。それでも、荒れているだろうなとは予想がついた。

 試しにグループへ復活した事のコメントをしたら、B組合わせて一気に返信が返ってきた。すぐにでも会いたかったそうだが、向こうも絶賛荷解き中らしいので、もう少し落ち着いてから会う事にした。

 

「ん?」

 

「どうした?」

 

 そんな携帯画面に目を向けていると、女子側の共同スペースで八百万がオロオロしている様子が見えた。

 

「ヤオモモちゃん、もう終わったの?」

 

「あっ、切裂さんと障子さん……実は……相澤先生に、荷物を家に送り返せと指示されてしまいまして……」

 

「送り返せ? なぜだ?」

 

 なんでそんな事を言われたのか理解できなかった障子の疑問に、八百万は中庭を跨いだ女子側の窓ガラスと内壁の影でよく見えない方向を指差した。

 ワケがわからず、障子と一緒に俺は彼女が指差した方向を見るべく、ソファーから立ち上がって共同スペースの女子側のエレベーター前を覗いた。

 

「っ!?」

 

「うわぁ……」

 

「……っ」

 

 冷静な障子も驚くぐらい、エレベーター前には人が入れてしまいそうなサイズのダンボール箱が、見えるだけで6箱。更にダンボールに収まらない、巨大な家具が並んでいた。

 

「あれは八百万の荷物か?」

 

「はい……」

 

「荷物は部屋にあるって、先生言ってたけど……」

 

「いいえ……部屋にはもうあるんです……」

 

 つまり、アレは部屋に収まりきらなかった荷物達だ。最初は寮の日用品や何かかと思ったが、アレだけでも部屋の総面積を超えるだろうに、送る段階で彼女を止めるヤツはいなかったのか。

 

「あの本棚は部屋の天井を突き抜けるぞ」

 

「あの天蓋付きのベッドもドアで詰まるね」

 

「そ、その時は私の創造で……」

 

 どうしてもあのベッドがお気に入りなのか、個性を振りかざして無理矢理部屋の中へと入れようとする彼女を、さすがに俺は止めた。

 

「ヤオモモちゃん、自分の部屋アレだけだから、あのベッド置いたら窮屈にも程があると思うよ?」

 

「八百万。お前は生活用品も多い方だろう。アレを入れたら、収まらないんじゃないか?」

 

「うぅ……確かにそうですわね……でも……」

 

 天蓋にどうしてもこだわりがあるのか、俺はベッドを見ながら頭を捻って答えた。

 

「備え付けのベッドに天蓋だけ創造して被せるとか……ってできない?」

 

「それか、アレの半分のサイズのベッドを創造するかだな」

 

「っ! 実家の来賓用のベッドなら…………お2人ともありがとうございますっ!」

 

 障子も出してきた大胆な提案に乗った八百万は、元気良くお礼を言ったかと思えば、ボソボソと呟きながら荷解きを再開しようとしていたが、嫌な予感がした俺は更に彼女を止めた。

 

「ヤオモモちゃん。エレベーターに運ぶのだけ手伝うから、部屋に入れる荷物を分別して。このままだとマジで日が暮れるよ」

 

「八百万。業者に連絡は入れてるのか? 場合によっては俺達が外まで運び出すぞ」

 

「そ、そんな! おふたりのお手を煩わせるワケには……!」

 

「いいって、暇だし」

 

「ああ、この量の荷物。入れるにしても何にしても、1人では大変だろう」

 

 本当の事言えば、見ていられないと言うのが理由だが、俺も障子も口に出すほど野暮じゃない。

 

 俺がいなくても、障子が気づいて手を貸しただろう。ベッドは止められなかったのかもしれないが。

 

 八百万曰く、荷物の返納はその日の内に連絡したそうなので、俺は障子と協力して彼女の荷物と家具を寮の外へと運び出した。

 天蓋付きベッド以外にも、図書館かってぐらい背の高い本棚や、ダブってたクローゼットなども外の庭へと出し、八百万の選抜を終えたエレベーター前のダンボールも運び出していく。麗日の無重力があれば楽なのだが、今は彼女も忙しいだろう。

 部屋の内装は彼女に任せた。俺も障子も、女子部屋まで行こうとするほど気は触れてない。後は八百万本人を信じるだけだ。

 

 

 

 

 

 ・・・♡・・・♡・・・

 

 

 

 

 

 八百万の荷解きも一件落着し、それから何人かクラスメイトがちらほらと戻ってきて、共同スペースで雑談しながら気がつけば夜になった頃、最後に男子側の共同スペースに戻ってきた切島がソファーに体を預けた。

 

「切島、荷解き終わったのか?」

 

「ようやくな!」

 

 瀬呂の呼びかけに、彼は体を伸ばしながらグッドサインだけを送る。

 

「経緯はアレだが、共同生活ってワクワクすんなぁ」

 

「うん!」

 

 上鳴の言う通り、合宿の施設でもあれだけ盛り上がるほど新鮮だったのに、これからみんなで暮らす事になるなんて、想像してもいなかっただろう。隣の緑谷も大きく頷いている。

 

「共同生活……これも協調性や規律を育むための訓練!」

 

「気張るなあ、飯田!」

 

「男子っ、部屋できたぁ〜!?」

 

 飯田と切島が話していると、そこへ芦戸を先頭に女子6名が共同スペースへと戻ってきた。

 

「おぉ……!」

 

「っ!」

 

「うっ」

 

 学校では見た事のなかった、ジャージのズボンに部屋着のTシャツという合宿の時よりも少しラフな格好が目につく。

 広い共同スペースを駆け寄ってくる彼女達の衣服がなびいて、腰やヘソがチラチラと見える生々しい様子が、峰田を筆頭に一部の生徒の生唾を飲み込ませた。

 

「ああ! くつろぎ中!」

 

「あのね、今女子で話してて……」

 

「提案なんだけど……!」

 

 芦戸へ返事をした上鳴の所まで近寄ってきた彼女達は、どこか楽しそうな様子で俺達男子の前で提案を始めた。

 

「フフっ! 『お部屋披露大会』してみない!?」

 

「「「ッ!!?」」」

 

 その台詞に、緑谷を筆頭にして何人かが体をビシリと凍りつかせた。

 

「わああああぁぁぁぁぁっっ!!? ダメダメダメっ! ちょちょちょちょちょっ!? まっ、まっ、待って───っ!!?!?」

 

 女子達全員が乗り気な提案に、半数以上の男子が乗ってしまった結果、緑谷の叫び声も虚しく開催されたお部屋お披露目大会の最初の晒し者が、彼となった。

 

 

 

 

 

 トップバッター、緑谷の部屋。

 

 

 

 壁から何まで、フィギュアからポスターまでオールマイトグッズだらけの、赤青黄色のトリコロールカラーが目立つ部屋だ。カーテンまで星のマークが付いた模様のヤツに新調している。

 

「「「「「おお〜!」」」」」

 

 その部屋を見渡して、芦戸達女子の声が響き渡る。

 

「オールマイトだらけだ!! オタク部屋だ!」

 

「憧れなんで……恥ずかしい……」

 

 麗日の率直な感想にグサリと心を刺され、緑谷は机に手をついて顔を真っ赤にしている。そんな机の上もオールマイトのミニチュアや、ノートやらシャーペンなどの文房具だらけ。マメな男だが、片付けるのは得意じゃなさそうだ。

 

「まあ……想像はしてたけど……」

 

 耳朗もジト目でオールマイトグッズを見ているが、その反応は薄い。まあ、万人受けする部屋ではないだろう。

 オールマイトが好きなのはわかったから、彼の将来……主に麗日のためにもう少し男らしいインテリアか、女ウケする物でもプレゼントしようかと思った。

 

 

 

 

 

 次、エントリーナンバー2、常闇の部屋。

 

 

 

「フン、下らん……」

 

 そう呟きながらドアを背に預けていた常闇を、芦戸と葉隠がグイグイと押しのける。クラスの男子の中でも背が低い方の彼は、女2人の力で簡単に押し負けてしまった。

 

「「黒っ、怖っ!?」」

 

「貴様ら……!」

 

 そんな彼の部屋の中は、メインの明かりが電球ごと外されて、代わりに水晶玉やらガイコツ型やキャンドル型のライトから紫色という暗色系の光だけが光源となっている部屋だ。今から黒魔術でも始めるのだろうか。ダークシャドウが好きどころか、勢い余って暴走しそうだ。

 

「このキーホルダー、俺中学ん時買ってたわ!」

 

「いいな〜、コレ揃えてる人、初めて見たよ」

 

 俺も買った事のある、修学旅行とかで売っている剣と盾の形したシルバーのキーホルダーを手に取って、切島と小さくチャンバラごっこし始める。

 

「男子って、こういうの好きなんね!」

 

「出ていけ……!!!」

 

 芦戸の率直な感想を受け、声を絞り出して恥辱に耐えようとする常闇に、部屋の隅にあるものを発見した緑谷と峰田が追撃を刺す。

 

「あっ!? 剣だ、カッコいい……!」

 

「盾もあるぜっ!」

 

「出ていけェッ!!!」

 

 本人が本気で叫び出したから出る事にしたが、せっかくのヒーローなんだから、俺は彼の感性を大切にしたいと思っていた。

 

 

 

 

 

 次、俺の部屋。

 

 

 

「さっきの2人にインパクトは負けるけど……」

 

「いいっていいって!」

 

「見せて見せてっ!」

 

 見苦しい抵抗をしたクソナード2名と違って、俺は堂々と部屋のドアを開け、芦戸と葉隠に続くクラスメイト達を招待した。

 

「「「「「おお……っ!」」」」」

 

 ベッドの周りにはアウトドア用品が入った収納ボックスが積まれ、壁一面に掛けられたガンラックにはモデルガンやらダミーのナイフやらが、ありったけ陳列されている。

 一応、生活感も出そうと努力しており、机を窓側の角に寄せ、1人用の冷蔵庫を手前に持ってきた。更にその隣にはガラスのグラスが綺麗に並べられた両開きの黒い棚。更にその隣の金属ラックで作った本棚には、ミリタリー系の雑誌と峰田の好きそうな雑誌が整列されている。

 ちなみに、クローゼットの中は着替えと多種多様な迷彩服と装具でほぼ埋まっていた。

 

「うわぁ……」

 

「緑谷とは違うタイプのオタク部屋だー!」

 

 物騒な室内に葉隠は少し声を落としていたが、芦戸には想像の範囲だったのか、彼女が元気良く声を上げた。

 

「武器庫かココは……」

 

「イイな……」

 

 部屋全体を見渡して呟く障子の隣で、常闇はガンラックに陳列された銃とナイフを興味津々に眺めていた。キーホルダーや剣なんて持っている彼には、刺さるモノがあるに決まっているだろう。

 

「コレ、折りたたみテントかぁ?」

 

「そういやあ、キャンプするんだったよなお前!」

 

 収納ボックスの上に置かれていた、1〜2人用テントの袋を重そうに持ち上げながら質問してくる上鳴と、寝袋やランプやらに目を輝かせる切島へ俺は返事をする。

 

「まあね。バイクも持ってるから、駐車場借りれないか先生に相談中だよ」

 

「えっ!?」

 

「イヤイヤッ、いつ免許取ったんだよ!?」

 

 緑谷の驚く声と、峰田の叫びに俺は元気良く答えた。

 

「雄英の入試終わった後。俺、誕生日早いからさ」

 

 雄英のヒーロー科の入試時期が早かったからこそ実現した事だ。合否が判明すれば、あとはもうフリーな中学校だったのも都合が良い。

 合格が決まってから俺はすぐ母親と親父に出世払いの約束でお願いし、教習所にフルスケジュールで入校してから入学前日の休日で免許取ったのだ。

 

「私も原付は運転できますが……免許を持ってますとは……!」

 

「いいなー! バイクっ!」

 

 八百万は個性把握テストで創造して乗っていたが、やっぱり免許は持っていないのだろう。そして耳朗が見た目通りと言うか、興味を示してきた。彼女は絶対にバイク似合うだろう。

 

「ねえっ、持って来れたら乗せてっ!」

 

「私乗りたい! 雄英は治外法権でしょ!?」

 

「敷地内だからよ、透ちゃん」

 

 それに続いて目をキラキラさせる女子2名。たぶん、俺の背中に乗りたいんじゃなくて、バイク自体を運転したいのだろう。

 

「誕生日早えヤツはいいなぁ〜……!」

 

「ココにいる限り、取る暇ないもんね……」

 

 瀬呂も欲しい身なのか、頭を押さえながら羨ましそうにしてるし、尾白も少し遠い目をしている。彼の言う通り、アソコで取る機会逃すと絶対に取る暇なくなると踏んでいたので、コレばかりは親にワガママ言わせてもらった。

 

 バイクだけは……同じ物とはいかなかった……

 

 とりあえず、許可が下りないと持って来る事も叶わないので、夢物語はひとまず置いといて次の部屋へと俺達は向かった。

 

 

 

 

 

 次、2階最後、峰田の部屋。

 

 

 

「まぁ、入れよ……スゲぇの見せてやんよ……」

 

 ドアを堂々と全開にした峰田がクラスメイト達を誘うが、八百万や麗日を筆頭に女子達は男子を連れて次の階へと上がろうとしている。

 俺は何度か峰田の実家にお邪魔した事があるので、ほかのクラスメイト達が無視しようと構わず彼の部屋へと入った。

 

「おおい!? 入るのかよ!」

 

「俺は峰田くんを信じる…………あっ、俺の思った通りだ! みんな来てっ! 面白いっ!!」

 

 切島が驚いているが、俺は部屋から手だけ出してクラスメイト達を招いた。

 

「だったら私も入るっ!」

 

「えぇ〜、マジで……?」

 

 芦戸の決意に促されて、耳朗を筆頭にクラスメイト何人かが嫌々ながらも戻って入ってきたが、彼らは峰田を無視しようとした判断を間違いだと知る。

 

「うわっ!」

 

「ええっ!?」

 

 室内は確かに峰田らしく、壁にはマウントレディやミッドナイトのポスターが貼られているし、机のすぐそばのメタルラックには、多種多様な女ヒーローのフィギュアが飾られている。そこまではクラスメイト達の想像の範囲内だろう。

 

「まぁ、男だったら普通はこんなモンなのかな……?」

 

「ちょっと多い気もするけど……」

 

 耳朗と葉隠が部屋の周りをジト目で見ながら、呆れたような声を漏らしていたが、そこに芦戸の声が響き渡る。

 

「てかっ、全部ちっちゃい!」

 

 彼女の言う通り、女ヒーローグッズよりも衝撃的なのは、学校の机椅子と違って周りの身長に峰田を持ち上げるのではなく、完全に峰田の身長に合わせた家具が設置されている事だ。

 勉強机も椅子も、タンスも本棚も彼の身長で完結するサイズに抑えられている。備え付けの冷蔵庫は1人用が幸いして、彼でも手を伸ばせば問題なく上まで届いた。それでもクローゼットだけは不便なのか、そばにはマジックアームと脚立が置いてあった。

 

「お前の身長だと、色々と難儀がありそうだからな」

 

「もう慣れたけどな。でも、コレからココで生活するなら、自分に合わせた方が良いと思ってよ!」

 

「個人の空間とは言え、余りにも風紀が乱れていては指導が必要と思ったが……この程度であれば、問題はないな……!」

 

 障子や飯田まで関心している声に、峰田は後方でドヤ顔しながら腕を組んで話をしていた。

 改めて部屋を見ると、ベッド以外の家具全てが峰田サイズに抑えられた、まるで子供部屋に入ってしまった大人の光景みたいで、尾白が困惑している。

 

「なんか、天井が高く感じる……」

 

「ケロっ、カワイイお部屋だわ」

 

 蛙吹にまで高評価もらっていたよ。よかったな。

 中学校の頃、勉強教えてもらいに彼の家にお邪魔した時は、女の子はまず呼べない部屋の内装だったのだが、「このままじゃ彼女できても、1人暮らし始めても、部屋に連れ込めないだろ」と俺の話を言い聞かせて、オンオフの切り替えができる部屋にさせたのだ。

 実はポスターはよく見ると二重になっており、1枚目を剥がすとR-18な2枚目がお披露目される。フィギュアも全てキャストオフできるし、本棚にはゴシップ雑誌や普通の漫画は手前で、いかがわしい雑誌や漫画は奥に並べられている。確認はしていないが、タンスの着替えの下とベッドの裏側には、たぶんAVが敷き詰められているのだ。

 

「次行こ、次ー!」

 

 その事に全く気付いていない芦戸達クラスメイト達を見て、俺と峰田はコッソリとグッドサインを送り合うのであった。

 

 

 

 

 

 次、3階に上がって、尾白の部屋。

 

 

 

 カーペットや絨毯がない上、2階の住人みたいに家具をほとんど持ち込まなかったからなのか、普通としか言いようのない部屋だった。

 でも、物が少ない分、床のスペースが広くて居心地良さそうだ。

 

「わあ〜、普通だ!」

 

「普通だァ! すごーい!」

 

「これが普通という事なんだね!」

 

「言う事ないならいいんだよ……?」

 

 女子達の反応に尾白も困惑していたが、俺は部屋の真ん中にある脚の短いテーブルの上に置かれた、普通の櫛を指差す。

 

「この櫛は?」

 

「ああ、尻尾用」

 

「えー! やらせて〜!」

 

「……よし、次の部屋へGO!」

 

 葉隠が櫛に飛びついて、彼の尻尾を解かそうとしてくるのを見ながら、芦戸の先導で俺達クラスメイトは次の部屋へと移動を始めた。

 

「アイツら、もう置いてっていいよな?」

 

「峰田くん、どうどうどう」

 

 

 

 

 

 次、飯田の部屋。

 

 

 

 部屋に入って出迎えたのは壁をほぼ埋め尽くす本棚と、その中にズラリと並ぶ分厚い参考書や百科事典だ。ベッドの位置も少しずらして本棚を設置しているが、それでもスペースが足りずに剥き出しの本が積まれている。地震起こったらエラい事になりそうだ。

 

「難しそうな本がズラ〜ッと……さすが委員長!」

 

「おかしな物などないぞ」

 

 芦戸の感想に、飯田は自信満々で手を広げて話す。

 

「この百科事典、初めて見ますわ……今度お借りしても?」

 

「もちろんさ八百万君!」

 

 個性に知識が必要不可欠な八百万が本に目をつけ、飯田と話をしている。ほかの生徒は勉強なんて考えたくないのか、反応はまちまちだ。

 本棚以外にもカーテンやベッドの模様まで、飯田のカクカクした動きを象徴しているみたいに、縦線と横線が多い部屋だった。

 

「ブフフフッwww! メガネクソあるっw!!」

 

「何が可笑しい! 激しい訓練での破損を想定して、準備してあるんだ!」

 

 唯一、おかしかったのは机側。壁に棚を作ってあり、そこに眼鏡屋の如く眼鏡が何段にも分けて陳列されていた。しかも全部同じメガネなのが更に笑いを引き立てたのか、麗日がツボってウケてた。

 

 

 

 

 

 次、上鳴の部屋。

 

 

 

「「「「「チャラい!」」」」」

 

 女子達が声を合わせた通り、ひと言で伝えるならドンキ部屋だ。とにかく遊ぶための物が何でもある。バスケットボールにスケボー、小物類にスポーツシューズ、ダーツボード。全部ドンキに売っている物でまとめた感が伝わる。

 

「手あたり次第って感じだな……」

 

「え〜っ、よくねっ!?」

 

 耳朗の投げやりな感想に、上鳴は少しショックを受けているみたいだ。

 カーテンは灰色のゼブラ模様で、ベッドは豹柄が混じった黒なのがチャラさを増している原因だろう。

 でも家具の所々に稲妻の模様があるのは彼らしいし、靴と帽子が多いのも気になった。見た目通りのオシャレさんだ。

 

「あ、パソコン。ゲームすんの?」

 

「ああっ、少しだけどな!」

 

 俺と彼の会話の通り、部屋にはパソコンもあった。俺の部屋にもノートPCが置いてあったが、彼のはデスクトップ型だ。コントローラーも見つけたから、今度何やるのか聞いてみよう。

 

 

 

 

 

 次、口田の部屋。

 

 

 

「「「ウサギいるー! 可愛いぃぃぃ!!」」」

 

 部屋自体はごく普通なのだが、ベッドの動物のぬいぐるみに混じって、本物の白いウサギが部屋を駆け回っていた。

 

「ペットはズリィよ、口田あざといわぁ〜!」

 

 女子達が「カワイイ」を連呼しながらウサギに集まっている後ろで、上鳴が口田の肩を叩く。

 そんな様子を俺は眺めながら、彼に聞いた。

 

「名前はなんて言うの?」

 

「『結(ゆわい)』って言うんだ。ちなみに、オスだよ」

 

 『結』か、今確かに1羽のウサギに俺達の心は集まっている。ヒーロー名と言い、口田って名前つけるセンスあるわ。

 ペットって言ったら犬か猫で、俺は犬の方が好きなんだけど。ウサギも可愛いな。

 

 寮の資料にペットNGなんてひと言も書いてなかった。匂いや掃除は大変そうだが、口田の性格を考えてもその辺は問題ないだろう。

 ただ、これから俺達そこそこ長期不在になるの増えてくる気がしたが、それは大丈夫だろうか? まあ、その時はみんなで持ち回りで世話をしよう。林間合宿みたいに全員がいなくなるとまた問題なんだが、今は考えなくていいだろう。

 

 

 

 

 

 次は4階まで上がって来たのだが、ここで男子陣から意見という名の不満が出た。

 

「て言うかよ、釈然としねぇ」

 

「ああ、奇遇だね。俺もしないんだ、釈然……」

 

「そうだな」

 

 上鳴、尾白、常闇の呟きに、峰田がズカズカと歩きながら女子達の前に出て指を差した。

 

「男子だけが言われっぱなしってのは変だよなァ? 『お部屋披露大会』っつったよな? なら当然ッ、女子の部屋も見て決めるべきじゃねぇのか!? 誰がクラス1のインテリアセンスの持ち主か、全員で決めるべきなんじゃねぇのかぁっ!?!?」

 

 どうやらこれまで女子側から雑に評価を受けていた事が、男子達の競争心に火を着けたようだ。

 

 だが峰田の目の前にいた芦戸は、あっけらかんと答えてみせた。

 

「いや、男子終わったら私達の部屋も見せるつもりだよ?」

 

「えっ……!?」

 

 耳朗が目を丸めて彼女の方を見た。もしかしなくても、聞いてなかったのだろう。それか、今芦戸が思いついたか。

 

「男子だけってのもアレだからねー!」

 

「先に言えよぉ!?」

 

 葉隠の楽しそうな声と一緒に、峰田の歓喜と周りの一部の野郎共が騒ぎ始めた。

 

 こうして、全く興味のない者も巻き込んで、誰がクラス1のインテリアセンスの持ち主かを決める大会へと発展した『部屋王』決定戦は、まずは男子部屋を終わらせるべく、俺達は4階へと移動した。

 

 

 

 

 

 まずは爆豪の部屋、なのだが……

 

 

 

「爆豪くんは?」

 

「ずっと前に『くだらねえ、先に寝る』って部屋行った。俺も眠みい……」

 

 飯田の問いかけに、切島はあくびをしながら答える。

 アイツとっとと先に寝やがった。ただ、俺も眠い。

 

「じゃあ切島部屋!」

 

「ガンガン行こうぜー!!」

 

「女子部屋見るまでハわぁぁ……っ、オイラもガマン……!」

 

 峰田も『部屋王』を提案したのはいいものの、もう電池が切れ始めている。元気なのは女子達だけだ。

 

 そんなワケで、爆豪部屋は未公開で終わった。きっとソコまで変な部屋ではない気がするが、いつか見てみたいものだ。

 

 

 

 

 

 なので次、切島の部屋。

 

 

 

「どうでもいいけど、たぶん女子にはわかんねえぞ…………この男らしさはっ!!!」

 

 そう言って彼は勢いよくドアを開いた。

 

 真っ赤なカーテンと『必勝』と筆で書かれた巨大な色紙だけでも充分なぐらい暑苦しいのに、壁には大漁旗とアクション映画のポスターまで貼られている。

 そして、ひと際目立つ部屋の中央に設置されたサンドバッグのせいで、ゴチャついている印象が抜けない。まだ展開しきれていないダンボールもあるし。

 

 ココまでテンションの高かった芦戸の反応が、一気におとなしくなった。

 

「……うん」

 

「ゴメン切島くん、俺もこの男らしさはわからない……」

 

「そんな、マジかよっ!?」

 

 俺の発言に切島はショックを受けていたが、どうしても俺にはちょっと理解できなかった。ごめんな切島。

 

「サンドバッグで部屋のスペースがだいぶ削れてるな」

 

 障子の言う通り、サンドバッグは俺も憧れるけど……この部屋の広さでやるモンじゃない。なんなら、校舎のトレーニングルームにあるし。

 

「エロ本の無い部屋に、男らしさもクソもないぜ? オイラや切裂の部屋は、あったもんな?」

 

「よく見てるね峰田くん」

 

「えっ!?」

 

「ウソッ!?」

 

「気が付かなかった……!」

 

 峰田の本棚を見ながらの呟きに、ほかの女子数人が驚いていた。付け加えるなら、上鳴の部屋にもあったんだ。今度、切島にも布教用のAVと一緒に、数冊渡しとこうか。あと、意外と漫画買い集めてるのには気付いたから、それだけ今度で読ませてもらおう。

 

「彼氏にやってほしくない部屋ランキング、2位くらいにありそう」

 

 葉隠の言った感想が、彼の部屋の全てを物語っている。コレは矯正させるの大変そうだわ。

 

「アツいね、アツ苦しい!」

 

「ほらな!?」

 

 ただ、麗日はわかってくれたのか。切島は半泣きになるぐらい嬉しそうにしていた。

 女子からの評価をもらえた事で、後ろの上鳴、常闇が納得いかない顔してるのが面白かった。

 

「でも……最後に終わったにしては……まだけっこう散らかってるよね?」

 

 尾白が興味あるのか、サンドバッグを触りながら切島に問い尋ねる。

 

「ああっ! 爆豪の部屋も少し手伝ってたからな!」

 

「えっ、かっちゃんの!?」

 

「いや、まず自分の部屋終わらせなよ……!」

 

 緑谷が驚いていたが、耳朗の発言がごもっともだ。気になった俺は、彼へ更に問いかけてみる。

 

「ちなみに、爆豪くんのお部屋どんなだった?」

 

「あー、緑谷の部屋をスッキリさせて……あと切裂みたいにキャンプ用品があったな! 登山用のストックとかも!」

 

「へー!」

 

 今まで部屋を見てきたから、なんとなく想像がついただろう。

 いつか爆豪と登山して、そのままキャンプするってゆーのも、アリっちゃアリかもしれない。

 そんな事を考えてしまった。

 

 

 

 

 

 次、障子の部屋。

 

 

 

「何も面白いものはないぞ」

 

「……って、面白いものどころか!!?」

 

 部屋入った瞬間、芦戸が叫ぶのも納得だ。

 

 

 

 

 

 無い。

 

 

 

 

 

 家具らしい物が何も無い。

 

 あるのは、脚の短い机、座布団、布団、クーラー、カーテン、掛け時計、以上。

 

「アレ、冷蔵庫は!?」

 

「クローゼットの中だ。コンセントも見つけた」

 

「うっそ!? 気がつかなかった!」

 

 俺の質問に障子はすぐ答えた。着替えとか生活用品も全てクローゼットに納めているのだろう。

 更に質問は葉隠からも続く。

 

「待って、ベッドは!?」

 

「空き部屋に運んだ。俺だと腕が収まりきらないからな」

 

 確かに複製腕のある障子だと、少しベッドが小さいとは思っていた。意外にも大胆な行動していた事に、少し笑ってしまった。

 

「ミニマリストだったのか、障子」

 

「まあ、幼い頃からあまり物欲がなかったからな」

 

 眠たそうな轟が、そんな話を彼としていた。

 

「こういうのに限ってドスケベなんだぜ」

 

「俺、障子くんは一途だと思うけどなー」

 

 布団を物色しようとする峰田を止めて、俺達は次の部屋へと移動した。

 

 

 

 

 

 次、5階に上って、瀬呂の部屋。

 

 

 

「マジで全員やんのか?」

 

 口ではノリ気じゃない癖に、部屋のドアを開けた彼は笑っていた。

 

「「「「「おお〜!」」」」」

 

「エイジアーン!!」

 

「ステキー!」

 

 アジアン風の模様がついた家具で揃えた部屋だ。インテリアも全て統一されている。目立つのはハンモック型の椅子と、編み込みで作られたパーテンション。でも物は多すぎないし、落ち着いて過ごしやすそうだ。

 

「瀬呂こういうのこだわるヤツだったんだ」

 

「ヘッヘッヘッ、ギャップの男……瀬呂くんだよ!」

 

 耳朗の評価に瀬呂も自慢げに鼻を鳴らした。

 

 まあ……逆に言えば、ようやくまともに部屋のセンスで勝負できるヤツが現れたという事実に、俺は周りの野郎共と一緒になってため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 次、轟の部屋。

 

 

 

「さっさと済ましてくれ……眠い」

 

 そう言って轟がドアを開けた瞬間、芦戸の驚く声と、センスに自信があった瀬呂の声が、重なった。

 

「「うわっ!? 和室だ!!」」

 

「造りが違くね!?」

 

 部屋のドアと中を見比べながら、上鳴の叫び声が響いた。

 

 まず、フローリングのハズだった床が畳だ。備え付けのカーテンを取っ払って、代わりに障子まで取り付けている。

 

「実家が日本家屋だからよ。フローリングは落ち着かねえ」

 

 座椅子や戸棚、果ては花瓶や盆栽などのインテリアまで和で揃えられている。轟がこういう物を選ぶのは少し違和感を感じたが、たぶん冬美さんが入れたのだろう。

 ちょっとだけ気になったので、俺は彼に聞いてみる。

 

「轟くん、畳と障子も家から剥がしてきたの?」

 

「いや、リカバリーガールから貰った」

 

「え?」

 

 曰く、荷物展開している途中に、持ってきていた写真を風で飛ばされてしまい、寮の近くの森へと追ったがソコでサポートアイテムをテストしていた発目と、たまたま散歩で通りかかったリカバリーガールと出会い、紆余曲折を得て粗大ゴミにされかけていた畳と障子を手に入れたらしい。

 イヤ、紆余曲折ありすぎるだろ。

 

「あのサポート科の人……夏休み中も来てるんだ……!」

 

 俺が体育祭の騎馬戦に組み込んだから、あんまり接点ない緑谷も記憶には残っていたのか、轟の話を聞いて驚いていた。

 

 てか、また冷蔵庫がない。コイツもクローゼットの中だろう。

 そしてベッドもない。隣の部屋だろう。

 

「理由はいいわぁ!」

 

「当日即リフォームって、どうやったんだお前!?」

 

「……頑張った」

 

 上鳴と峰田の問いかけに、彼は少し黙ってから答えた。

 

「なんだよコイツ!?」

 

「大物になりそう!」

 

「イケメンのやる事は違えなあ〜」

 

 上鳴と葉隠の感想に、最後に砂藤が関心しながら部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 次、男子ラスト、その砂藤の部屋。

 

 

 

「まあ、つまんねえ部屋だよ……」

 

「轟の後は誰でも同じだぜ」

 

 中に案内しながら愚痴を漏らす彼を、切島が慰めていた。

 

 確かに瀬呂と轟の部屋を見たら負けてしまうが、業務用の電子レンジや秤に食器など、お菓子作りが趣味な砂藤らしい部屋だ。冷蔵庫も、ひと回り大きな物に変えている。

 ていうか、お菓子の元が封を切られてるし、牛乳と卵のパックそのままだし、お菓子作っている真っ最中だ。

 

「……て言うか、良い香りするのコレ何?」

 

「あああっ!? いけねえ、忘れてた! だいぶ早く片付いたんでよ……シフォンケーキ焼いてたんだ!」

 

 尾白の質問に砂藤は慌てながら、電子レンジからシフォンケーキの乗ったトレイを引き出した。

 

「みんな食うかと思ってよっ、ホイップがあるともっと美味いんだが……食う?」

 

「「「「食う〜!」」」」

 

「「模範的意外な一面かよ!!」」

 

 飛びつく裏日と葉隠と芦戸と俺に、峰田と上鳴のツッコミが冴え渡った。

 

「甘〜い、フワフワ!」

 

「ボ〜ノ、ボ〜ノ!」

 

「ケロっ♪」

 

「瀬呂のギャップを軽く凌駕した!」

 

「うん、うん」

 

「合宿のバスでも思いましたが……ステキなご趣味をお持ちですのね、砂藤さん! 今度、私の紅茶と合わせてみません?」

 

 女子全員から好意的な反応を持たれて、砂藤は顔を真っ赤にしていた。

 

「おおっ、こんな反応されるとは…………まあ、個性の訓練がてら作ったりすんだよ。甘いもん買うと高えしよ」

 

「お砂糖も高いもんね〜!」

 

 元1人暮らしの麗日が納得するように、ケーキに頬張りながらウンウンとうなずいた。

 

「それに……砂糖をそのまんま舐めんのも味気ねえし、なにより絵面がヤベぇからな……」

 

「確かに……」

 

 俺もケーキをカブりつきながら、白い粉を舐めてパワーアップする彼を想像して止める。合宿の魔獣の森の時は緊急用として角砂糖を持っており、途中から八百万に供給してもらっていた彼だが、第一印象が大切なプロヒーローで粉砂糖サラサラはアウトだろう。ファンの前に警察が集まりそうだ。

 

「『ドーピングヒーロー、ドラッグマン』とか言われそうだな」

 

「コラ峰田君!」

 

 寝ぼけ眼でケーキを手づかみで食べながら身も蓋もない事を言う峰田に、ケーキを刺したフォークを持った飯田がビシリと腕を突きつけて彼を叱った。

 

「合宿でも料理得意だったし、砂藤くんのヒーローの副業はパティシエかな?」

 

「う〜ん……考えた事はあるんだが、ランチラッシュとか見てっと……料理人って結構忙しそうだしよ……」

 

 俺の質問に砂藤は腕を組みながら声を唸らし、そこにケーキをほぼひと口で食べ終えた切島が割り込む。

 

「あー確かに! ヒーロー活動とか、やってるヒマなさそうだもんな!」

 

「まあ、せっかくココまで腕磨いたんだ。なんかに活かせるようにはするさ!」

 

 砂藤との夢を皆で軽く語り合い、19人もいた事でシフォンケーキはあっという間になくなった。

 

 

 

 

 

 次、いよいよ女子棟に俺達男子が入っていく。まだ入居したばかりだから、背徳感はあんまりなかった。

 

 3階に上がって、トップバッターは耳朗。

 

 

 

「嫌だな……マジで全員やるの? 大丈夫?」

 

「大丈夫でしょ、たぶん!」

 

「ハズいんだけど……」

 

 あんまり乗り気じゃない耳郎だが、部屋自体は良い意味で度肝を抜かれた。

 

「思ってた以上にガッキガッキしてんな!?」

 

 上鳴の感想に、耳朗はそっぽ向いたままだ。

 

「耳郎ちゃんはロッキンガールなんだねぇ!」

 

「これ全部弾けるの!?」

 

「まぁ……ひと通りは……」

 

 葉隠と麗日の反応に、耳朗はピンジャックを両手で持って突っつき合わせている。

 楽器だけでなく、大量のCDの入った棚、ベッドホンやスピーカー、チューニング機材も揃っている。ベッド側の壁には、一面覆うサイズの黒板かけて『DEEP DOPE』って書かれてる通り『ドップリハマっている』みたいだ。

 

「天井まで、よく装飾したな……」

 

 俺の言う通り、床はチェス盤みたいに白黒タイルみたいなカーペットが敷かれているが、同じ模様で天井一面に壁紙が貼られている。1人でやったのなら、大変だったろうに。

 

「女っ気のねえ部屋だ!」

 

「色気のある趣味じゃないな〜」

 

「ッ!」

 

 女子の部屋を見てここぞとばかりに酷評した上鳴と峰田は、耳郎のイヤホン爆音が叩き込まれていた。おバカ。

 

 部屋は完全防音らしいから、どれだけ彼女が爆音流しても大丈夫なのだろう。彼女の演奏が披露されるのは、もっと先の話である。

 

 ……頑張らなければ。

 

 

 

 

 

 次、葉隠の部屋。

 

 

 

「どおだ!」

 

「おっ、おお……!」

 

 自信満々に部屋を見せつける彼女を前に、尾白が中を眺めながら声を漏らしていた。

 

「フツーに女子っぽい……ドキドキすんなぁ……!」

 

 耳にダメージを受けた上鳴が少しだけ声を落として、周りの男子に囁く。それに何人もの野郎共が同意した。

 カーペットからカーテン、ベッドまで全体的にピンク色で統制されている。カーテンにはチェリー、机にはハートとリボンマーク、ベッドは薔薇模様。

 

 男の子が妄想する女の子の部屋が、そのまま現実になった感じだ。

 

「少女漫画の世界みたい……!」

 

「えっ!? 読むの切裂くん!?」

 

 俺の呟きに、葉隠が驚いた様子でこちらを見ていた。

 

「母親が好きだったから……少しぐらい……」

 

「へ〜、意外〜っ!」

 

「ココにあるんだよっ、知ってるのある!?」

 

 葉隠はクローゼットを開けて、ハンガーで引っかけた制服や私服の下に並べられた、少女漫画の背表紙を見せてくる。その中には、俺が読んだ事のある作品も入っていた。

 

「母親も俺も、『超常現象』が起こる前のヤツの方が好きなんだよな…………個性とか余計な事、考える必要ないし」

 

「そうだよねっ! 個性がないから、すっごく等身大の気持ちが感じられてキュンキュンしちゃうの!」

 

「私は個性あるのも好きだよ? 個性が恋愛成就のカギになったりして、すっごくロマンチックっで!」

 

「ウチはあんま読まなかったなー……少女漫画でロックなヤツって、見なかったし……」

 

「だから女っ気がな───あばばばばッ!!?」

 

「懲りない男だ」

 

 話に入ろうとした上鳴が余計な事言って、また耳朗にイヤホンブッ刺されてダウンし、常闇がため息をついていた。

 ソコからは漫画の話になりそうだったので、芦戸が話を止めて次の部屋へと俺達を向かわせた。

 

 たぶん、男の何人かは少女漫画に興味を持っただろう。

 

 

 

 

 

 次、4階に上がって、芦戸の部屋。

 

 

 

「じゃ〜ん! カワイイでしょ〜がぁ!!」

 

「「「「「おぉ……」」」」」

 

 葉隠と同じピンクメインなんだが、葉隠の柔らかいピンクと違って彼女のピンク色は毒々しくて重たいショッキングピンク色だ。コレは男子からの評価は分かれそうだ。

 副色として黒を使っているのも、毒々しさに磨きがかかっている。彼女の性格も相まって、彼女らしい部屋だった。外出用の私服も飾ってあるが、柄物が多い。元々派手なのが好きなのだろう。

 

「ヤイバどう!? 私の部屋っ!」

 

 でも、色や柄を省いて見ると、インテリアや家具は女の子らしいデザインをしている。クッションやぬいぐるみ、そして化粧品と鏡など、女子高生らしい物も置いてある。

 

「カァイイと、思う……コレは、口紅?」

 

「っ!? それマスカラだよっ! 気になるのっ!?」

 

 俺が視線を落としていた化粧品を、芦戸は手に取って見せる。化粧は全く知らんが彼女の肌がピンク色だから、たぶん普通の人より少し変わりそうだなとは思った。

 

「普段は訓練とかあるからできないけど……おでかけの時はしてるよっ!」

 

「合宿前のお買い物でも、ちゃんとしてたもんね!」

 

「っ!?(えっ、全然わかんなかった……!)」

 

 芦戸に付け足してきた葉隠の言葉を聞いて、切島を筆頭に何人かの男子が静かに動揺していた気がした。

 

「化粧はイイよなぁ! 女の魅力を2倍にも3倍にも引き立てる!」

 

「峰田ちゃん、あなたも気づいてなかったじゃない」

 

 後ろでウンウンうなずいていた峰田に、蛙吹の気の抜けた声が聞こえる。その間にも、芦戸は自分の化粧について話を続ける。

 

「一緒に来れば見れたのに……ヤイバ来ないんだものっ!」

 

「……ごめん」

 

「ダメー、ゆるさない!」

 

 べっと舌を出して子供っぽく怒ってみせた芦戸は、化粧品を持ったまま俺に指を突きつけて笑っていた。

 

「今度の買い物には付き合ってよね? そしたら見せてあげんだから……!」

 

 そう言って彼女はウインクすると、ほかの化粧品についても長々と説明し始めた。

 

「よーし、アイツらも放っといて次行くぞー」

 

「ごゆっくり〜」

 

「待ってよ峰田くん」

 

 峰田の指示で、ゾロゾロと部屋から出て行き始めるクラスメイト。最後尾の葉隠を追おうする俺の肩へ、芦戸が寄り添ってきた。

 

「いつでも、遊びに来ていいからね……♪」

 

 俺が女子棟に出没したら、ほかの女子に悲鳴上げられるわ。残念ながら、ソレが実現する事はないと俺は思っていた。

 

 

 

 

 

 次、麗日の部屋。

 

 

 

「味気のない部屋でございます……」

 

「「「「「おお……!」」」」」

 

 少し恥ずかしそうに照れながら部屋を見せる彼女に対し、部屋を見た男子達から声が漏れた。特に緑谷。

 

 

 

 俺、この部屋結構好きかもしれない。

 

 

 

 女の子らしさはないのだが、初日なのに生活感に溢れてる部屋だ。少しの清潔感と程々に整った雰囲気が更に良い。

 

 メタルラックの上にテレビ。ちゃぶ台の上に煎餅と急須。カーテンのレールに引っかけたハンガーラック。雑に伸びた延長ケーブル。全てがわかっている。

 

「エアコンあるのに扇風機?」

 

 自分の身長と同じぐらいの扇風機を見て、峰田が首をかしげる。この都会っ子め。

 

「風がほしいんだよね」

 

「そう! どうしてもエアコンだけだと落ち着かなくて……!」

 

 俺のひと言に全力で同意を始める麗日に、何人かのクラスメイトも共感してくれた。

 扇風機の風が良いの、わかる。エアコンだとどうしても気温を調整するのに、方向性が散ってしまうからな。

 

 緑谷とラフな格好で、一緒にダラ〜っとしててほしい。そして、それを俺が見ていたい。

 

 絶対に実現させてやる。

 

 そう決意が固まる部屋だった。

 

 

 

 

 

 次、5階に上がって、蛙吹の部屋……って……

 

 

 

「あれっ?」

 

「え?」

 

「切裂ちゃん? どうかしたの?」

 

 唐突に声を漏らした事で、蛙吹は俺の方を見て首をかしげていた。

 

「あぁ……ゴメン、なんでもない」

 

 

 

 そっか……そりゃそうだ。

 

 

 

 原作では切島達の暴走を止める事ができなかった不甲斐なさで、酷い自己嫌悪状態になっていた彼女だが、ココでは暴走が実行に移る事がなかったので、彼女の精神も比較的安定はしているのだろう。

 

 まあ、蛙吹にもあんまり精神的に良い経験ではないから、無いなら無いでいいと俺は思った。

 

 そんなワケで少し楽しみになってきた彼女の部屋に、俺も芦戸と並んで蛙吹の部屋の前へと並んだ。

 

「ケロっ、みんなにはちょっと合わないかもしれないわね」

 

 そう言って扉を開けると、中からいきなり熱気が広がった。

 

「「「「「暑い!!?」」」」」

 

 まだ夏真っ只中だから、夜だってそこそこの気温だし寮内はクーラーが効いているのだが、外に出たんじゃないかってぐらいに蛙吹の部屋は暑かった。立っているだけで肌がジットリとしてきたので、湿気も相当だ。

 

「そうか、梅雨ちゃん君的にはコレぐらいが適温なのか……!」

 

「あっ、カワイイっ!」

 

 少しメガネが曇っている飯田の関心する声と、麗日が加湿器を見て指を差す声が重なった。

 部屋の中は暑いが、内装は俺が少し想像してみた通り全体的に黄緑色の配色だ。絨毯もカーテンもベッドも、カエルマークやハスの葉のデザインをしている。そして部屋には、3個もカエルの形をした加湿器が置かれていた。

 

「まあ……カビらせないように気をつけてね?」

 

「大丈夫よ。適度に窓開けて乾燥させるわ」

 

 本人もカビるのは嫌なのか、そこら辺はしっかり気を遣うそうだ。原作で見た覚えのなかった珍しい物が見れて、ラッキーな気分だった。

 

 

 

 

 

 次、女子ラスト。八百万の部屋。

 

 

 

「いかがでしょうか……?」

 

「「「「お姫様ベッドだ〜っ!」」」」

 

 少し遠慮がちに開けられたドアに女子から入った瞬間、芦戸、葉隠、麗日、耳朗の4人から同時に声が上がった。言葉に出さなかった蛙吹も、目を輝かせて喉を鳴らしている。

 エレベーター前にあったクソデカ特大ベッドよりも、もう少し半分まで抑えられた天蓋付きのベッドが印象的な、高級感のある部屋となった。

 

「本当はもう少し大きいベッドを使う予定でしたが……まさか、お部屋の広さがこれだけだとは思っておらず……」

 

「「お嬢様なんだね」」

 

 ナチュラルに育ちの違いを見せつけられた緑谷と麗日が、遠い目をしながら声を揃えていた。

 

 ベッドは完全にオリジナルって事は、元のベッドは隣の部屋だろう。ベッド部屋から動かしているヤツ多すぎないか?

 

 他にも絵画だったり紅茶用の食器が入った戸棚だったり、部屋は程々の大きさの家具で抑えられている。周りの評価も中々だ。

 

「声かけてよかった……!」

 

「ああ」

 

 俺も障子もご満悦だよ。もしかしたら彼女が『部屋王』勝ちそうな雰囲気まで出てきた。

 

 天蓋付きベッドは男の俺でも少し憧れるかも。まあ、1日で飽きると思うが。

 

 

 

 

 

 こうして、爆豪を除く全てのクラスメイトのお披露目が終わり、1番センスのある部屋を決める投票の時間となった。

 1階の共同スペースに集合し、司会の芦戸による厳正な投票が行われたが、結果はシフォンケーキを振る舞った砂藤が女子票を全て集めて優勝するという、部屋のセンス皆無の決着を迎えた。

 ヒーローのクセに贈賄するなと、上鳴と峰田にシバかれていた砂藤の嬉しそうな悲鳴を最後に、『部屋王』なるインテリアセンス1番を決める大会は終わりを告げた。

 

 結構長くなった平和なイベントを終え、飯田に歯を磨くようにと指示されながら、さあようやく寝ようと俺が洗面所へと向かおうとした所で、麗日が俺の事を止めた。

 

「き、切裂くん……ちょっといい?」

 

「え?」

 

 クラスメイト達が一斉に洗面所や自室へと向かったので、共同スペースが空いていた俺は立ち止まったまま、彼女と顔を合わせる。

 

「今日のお部屋お披露目大会ね……三奈ちゃんが『始めよう』って言ってくれたの」

 

「まあ……言い出したの芦戸ちゃんだもんね」

 

 俺は考える。耳朗はあの反応だから当然として、麗日もあんまり自分の部屋見られたいとは思っていなかっただろう。ましてや、緑谷には。

 

「三奈ちゃん……切裂くんが入院してる時、ずっとね、泣いてたんだ……」

 

「うん……」

 

 俺が目覚めた時も、彼女は切島と一緒にワンワン泣いていた。意識のなかった時の、彼女の不安がどれだけのものだったのかは、俺には想像もできない。

 

「八百万さんも、ずっと切裂くんの所で勉強するぐらい……自分の事思い詰めてた……もっと君の力になれる事があったんじゃないかって……」

 

「そんな事ない。ヤオモモちゃんがいなかったら、俺はココにはいないよ……」

 

 彼女はヒーローだ。ヴィランから逃げるのを良しとしないのはわかるが、誰も彼女に武器持って脳無と戦えなんて思っちゃいない。

 

「でもね……きっと不安で不安で仕方なかったと思うんよ……」

 

「………………」

 

「2人だけじゃない。私達もみんな……すんごい不安で……だけども、立ち止まってるだけじゃ前に進めないって思って、切島くんや峰田くんがみんなを引っ張って、頑張ってくれた……!」

 

 不安にさせたのは、俺が原因。目覚めるかもわからなくて、こうして全員が集まれるまでは爆豪が言っていた通り、暴走気味だっただろう。

 そこまで自分の存在を、クラスに浸透させてしまった事実を感じて、俺は何を返したらいいのかわからなくなってしまった。

 

「ホラッ、メッセージで連絡も取れなかったからさ! 目が覚めた後も……もしかしたら、雄英にも通えなくなるんじゃないかって……不安だったの!」

 

 実際、母親のせいでそうなりかけたのだ。俺の母親は授業参観で知られている以上、俺が今日雄英に来るまで、不安は解消されなかっただろう。

 

「それでも、切裂くんは戻ってきてくれて……せっかくみんなで集まれたんだからっ、不安だったのを拭い去りたくって、だから……」

 

 誰かを責めるんじゃなくて、こうして面白可笑しな大会を開いて、自分達を日常に戻そうと頑張ったんだ。

 

「お部屋お披露目大会とかやったのもきっと、みんなで合宿前みたいに、楽しい時に戻りたかったんよ……!」

 

 肝試しが始まる前の、A組B組で騒いだあの時が思い起こされる。彼らにとってはもう、隣のクラスの者達も掛け替えのない存在になっているのかもしれない。

 

 俺が、そうさせたから。

 

 青山がいないから、自分にできる最善を尽くしたから。

 

 俺も強くなるし、みんなが強くなればいいと思ったから。

 

 そしたら峰田も切島も、俺についてくるようになった。

 

 俺はもう、彼らにとって掛け替えのない存在なのだろうか。

 

「だから……A組みんなで笑って……これから頑張ってこ!」

 

「うん……話してくれて、ありがとう……!」

 

 グッと拳を突き出してみせる麗日に、俺も拳を出して答えみせた。

 

 

 

 いつの間にか、俺が切島達みたいな立ち位置になっていた。

 

 

 

 でも、そんな事はどうでもよくて……

 

 

 

 君がこの物語のヒロインである事が、心で理解できた気がした。

 

 

 

 彼女の言う通り、しばらくは雄英に日常が戻ってくる。

 

 

 

 その間に、少しでも彼らと楽しい思い出を積んでいきたい。

 

 

 

 仮免取得は命奪われる規模ではないが、それでも過酷である事には変わりない。

 

 

 

 そしてその先、再び試練は迫ってくる。

 

 

 

 今度は緑谷も麗日もいる。

 

 

 

 もちろん、負けるつもりはない。

 

 

 

 だから、笑える時は笑っていたいし……

 

 

 

 君も全力で、彼を好きでいてほしい。

 

 

 

 トガちゃんには代えられないけども……

 

 

 

 俺は、彼女と緑谷の幸せも、絶対に実現させてみせる。

 

 

 

 押せるだけ2人の背中を、押してやるさ。

 

 

 

 

 

 次回『仮免試験準備』




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