そんなことはさておき、今回は呪術要素ほとんどないですが、楽しんでいってください。
朝日が差し込み始めた、
「壬氏様って、思ったよりも戦えるよな。」
「俺も、初めて見たときは驚いた。」
「壬氏様は、戦などで、指揮を受け賜われるお方、日々鍛えていらっしゃるのですよ。」
「そうなんですか。」
「ええ。」
そんなことを話しているうちに、勝負はついた。壬氏が1本取ったようだ。
「…参りました。」
「腕を上げたな、馬閃。」
「いえ、私の力任せの剣術では、壬氏様には、まだまだかないません。」
「その力がすごいんだ。さすがは、
「
「この国には、帝より名を授けられた一族が、いくつか存在します。馬もその1つ、さらに、馬の一族の特徴として筋力が異常に強い者たちが多いです。」
「そうなのですか…」
「
「どうか致しましたか?」
「たまには、お前も一戦、馬閃と交えたらどうだ。」
「ええ、じっ、壬氏様。私は何も…」
(すっごい嫌そうだな…分からんでもない、馬閃からしたら、よく分からないよな。俺、」
「では、私の代わりに、彼と一戦。どうでしょうか?」
「俺?」
「…確かに、
「ええ、ですので、剣ではなく、拳でやらせたほうが良いかと。」
「分かった。それでいいか?2人とも。」
「まあ、俺は…別に。」
「……はあ、分かりました。」
馬閃と麟扁は向かい合い、拳を構える。
「行くぞッ!」
少しの間見合った後、麟扁が動き出す。
「オラッ!」
馬閃の腹あたりを狙った拳は、左手で止められる。その直後、馬閃の右拳が飛んでくる。
「フッ!………ハッ!」
その右拳を麟扁も受け止め、コンマ数秒静止するが、麟扁は足払いを決め。距離を取る。
(ん?麟扁のやつ、なんで呪力を使わない?)
「なかなかやるな、お前。」
(だが、あいつほどじゃない。あいつは異常だ。そこまで振りかぶっていない拳にも関わらず、ありない力が飛んでくる。)
「俺の面子もある。手加減は……しないッ!」
馬閃の容赦のない連続の拳が、麟扁を襲う。必死に腕を使って防御するが、反撃の暇がない。馬閃は猛攻ののち、最後のダメ押しと言わんばかりの蹴りを放つ。
ドオォン!
麟扁は後退し、動かなくなる。馬閃が構えを解き、息を整え出した次の瞬間!
「ふぅー、ゥオラァァア!」
「なにっ、!」
ドカアァンッ!
呪力を集中させた拳は、勝ちを確信し、体の踏ん張りを弱めた馬閃の胸部に刺さる。馬閃は数歩後退りした後、尻餅をついて倒れる。
「何だよ………お前もかよ。」
その言葉を残し、馬閃は完全に仰向けに倒れる。幸い、気絶や骨折などはしていなかった。
「はあ…はあ…もう、無理だ。」
その数秒後、麟扁は気絶した。
「麟扁ー、大丈夫かー?…大丈夫かー分かったー」
「どこをどう見たら大丈夫なんだ!」
「え…、まあ、息はありますし。」
「……はあ、普段どんな鍛え方をしてるんだ?」
「主に呪力……力を最大限発揮するための
(まあ、その傍で術式ブッパナして殺しかけたりしてるけど…追い込めば追い込むほど結果出せるコイツが悪いよ…うん。)
「そうか…起きるまでの間、面倒を見てやってくれ。」
「承知致しました。」
数時間後
「………ッハ!…ここは…」
「起きたか、お前の部屋だよ。」
「そうか、ありがとな、運んでくれて。」
「気にすんな。俺も、前運んでもらったしな。」
「気づいてたのか。」
「まあな。というか、お前…無茶したな。」
「あの男は、前、お前と戦ったことがあるんだろ。」
「……だからあんな
「その通りだ。最初から呪力で攻めたら、あの男は俺の拳を警戒して、隙を作らないことに意識を向ける。その場合はジリ貧だし、呪力使いすぎてたら、俺の方が先に疲弊する。あの男は、素の力が強いんだろ。それが前提としてある限り、俺が呪力を使えないと思うや否や絶対攻めてくる。それを耐え切れば、隙が生まれんじゃないかと思ってな。」
「その戦法、呪霊相手に絶対とるなよ。」
「分かってるって、」
「何より、馬閃はあの攻撃耐えてたぞ。」
「……鍛えるわ。」
「言われなくても、しっかり鍛えさせるよ………」
「……後一週間もしたら園遊会か。」
「ナニソレ?」
「お前……壬氏様から聞いてないのか⁉︎」
「おう。」
「壬氏様にしっかり聞いとけ。」
「分かった。」
園遊会前日、壬氏と高順はとある件で話し合っていた。
「腕に火傷を負った者の調査ですが、まだ見つかっていません。」
「そうか………」
「申し訳ございません。」
(園遊会、何も起こらないといいが………)
その後、呪霊による軽い騒動が起こったため、雅彦が園遊会の実態を知ったのは、結局当日のことであった。
「つまり、年2回行われる、帝などの有力者が集まり、出し物や食事が振る舞われる祭式と。」
「ああ、帝は現在、婚約者…つまり皇后がいない。その場合は、正一本の妃をお連れすることになっている。」
「正一本の妃…上級妃四夫人のことですか。」
「その通りだ。まあ、そこまで分かっているならそれでいい。」
「分かりました。それにしても…」
「なんだ?」
「前回は、
「その時、重傷を負って出るに出れなかった奴がいたからな。」
「………なるほど。」
「雅彦。」
「はい?」
「怪しい動きをする者がいたら、高順に報告しろ。」
「承知いたしました……?」
「お前と麟扁は、高順の部下として出るからな。」
「分かっています。」
そこへ、高順と麟扁が合流する。
「壬氏様。」
「分かった。向かうぞ。」
「どちらへ?」
「1度、上級妃に挨拶をしに行く。お前たち2人、特に麟扁は、失礼のないようにしろ。」
「承知しました。」
「分かってます。」
(壬氏様が3人の上級妃と話すとなると、実際どうなるのだろうと思ったが、
「なあ、雅彦。」
「どうした?」
「里樹妃って、何であんなに幼いんだ?」
「上級妃になった経緯が関係してるかな。」
「どういうこと?」
「あの方、元々は先帝の妃だったんだ。」
「………ますますよく分からん。」
「勉強しろ。…要は、政略結婚だよ。それで先帝の妃になられたんだが、その直後に、先帝が崩御。入ったばかりで、お手つきも何もされなかった里樹妃は、そこに留まるわけにもいかず、確か…どこかの武官が引き取ろうとした矢先、今の帝が引き取って、上級妃に立てたって感じだったからな。」
「待て、“お手つき”?政略結婚じゃなくて?」
「アホか、政略結婚の利点があるのは里樹妃の家の方だ。それに、『富が欲しいので、政略結婚させてください』なんて、表向き言うわけねえだろ。先帝も、里樹妃を妃に迎い入れることに、意味があったんだよ。」
「え…、おま、ちょっ……えっ?性的な目で見てたってこと?………10歳そこらの少女を⁉︎」
「里樹妃はそん時、齢9つだぞ…そんなんだから“愚帝”とか、“女帝の傀儡”とか言われてんだよ。」
「も、もしかして……皇太后が、もの凄い若いのって……」
「皇太后様が、今の帝を産んだのは、齢12の時だ……」
「……嘘だろ……それ………」
「ああ、国の長として、あるまじき行「クソ
「麟扁。……いい加減にしろ!」
麟扁の頭に、壬氏の拳骨がヒットする。
(言わんこっちゃない……にしても、ちょっと痛そうだったな。)
「………ずっ、ずびまぜん。」
「はあ、これから、玉葉妃のところへ向かう。玉葉妃は、聡明で洞察力に長けたお方だ。もう1度言うが、くれぐれも失礼のないように。そして、あまり、自分のことを喋らないように。」
「承知しています。」
「……はい。」
「ごきげんよう。玉葉妃」
「あら、ごきげんよう。」
(…俺らは黙っていよう。)
「玉葉妃は、本当に紅がお似合いになる。華やかでありながら、どこか神秘的なのは、翡翠の瞳を持つ玉葉妃だからでしょうね。」
「フッ、どうもありがとう。」
(確か玉葉妃は、西方の貿易商の生まれだったか。それにしても、翡翠の瞳というのも珍しい。)
「ん?………フッ、さて、
壬氏は、
そこには、緑がかった髪、青色の瞳、桃色の衣装と耳や首にちりばめられた金色の装飾品が絶妙なコントラストを作り出す。普段あるソバカスなどが落とされた、美しい侍女がいた。
「…………」
「…………?」
壬氏は、猫猫の予想外の風貌に
(えっ、すっっごい美人。化粧とか装飾品でこんなにも変わるもんなん?)
雅彦は、猫猫自身の素材の良さを理解していなかった…
「ごきげんよう、壬氏様」
「あ、…………あっ、ああ、薬屋か。化粧をしているのか。」
(まあそこまで変わるとは、誰も思わんよな。」
「いいえ、していません。」
(………ん?)
「ソバカスが消えているぞ」
「はい、消しましたから。」
(だよね?……)
「化粧をして消したんだろ。」
「化粧を落としたから消えたんです。」
(ん?…分かるか?意味。…分かっ…た………いや分かんないな、これ。)
「ん?お前の言っていることはおかしいぞ、矛盾している。」
「…………」
(滅茶苦茶めんどくさいって顔するじゃないですかあなた…)
「毎日、乾いた粘土でソバカスの化粧をしていました。今まで壬氏様が見ていたのが、化粧をした顔です。」
(あー、なるほど。)
「化粧はきれいにするだけのものではありません。」
「何でそんなことをする?」
その質問に、猫猫は低めの口調で聞き返す。
「…知りたいですか?……裏路地に連れ込まれないようにするためです。」
「あっ……」
(…噓でしょ?………)
「花街とはいえ、女に飢えたやつもいます。金も持たず暴力的で、性病持ちも多い。チビで痩せぎすの醜女なら、そうそう狙われることはないですから。」
「連れ込まれたのか?」
「未遂ですよ…代わりに、人攫いにかどわかされましたけどね。化粧が落ちかけてたんです。ぎりぎり売り物になると判断されたようです。」
(良かった………)
「そうだったのか……悪いな、管理が行き届いてなくて。」
「別に、どうでもいいです。違法のかどわかしか、合法の口減らしか、買う方には区別もつかないですよ。」
「…腹正しくないのか?」
「それは言うまでもなく。でも、壬氏様のせいではありません。」
「申し訳なかった。」
そう言うと、壬氏は自分の簪を猫猫の髪に挿す。が、手こずってしまう。
「……痛いです。」
「そうか……やる。」
壬氏は、1度手を放したが、再び猫猫の頭に手を添える。手を離すと、そそくさと去っていく。
「あとは会場で…」
「………」
「では、失礼致します。」
「これで…」
高順は無言で礼をし、雅彦と麟扁は各々の言葉を添えて、退却する。
玉葉妃のもとから去った、少し後、始まりを告げる太鼓の音が響いてきた。
「これからか…」
「ああ、嫌な予感もするけどな…」
園遊会が始まる。
(園遊会の会場は、真ん中に舞台があり、そこを武漢や上級妃、帝が囲んでいる。
現在、雅彦と麟扁は、階級が低いため、適当にぶらついている。
「雅彦…なんか面白い話してくれ。」
「フリが雑すぎるだろ。…でも実際、俺たちが呼ばれんのは食事の時だしなあ。」
(やばい、ガチで暇かもしれん。一応、壬氏様から簪はもらったけど、使い道もないしな………)
「もう、この際玉葉妃の侍女たちのところへ行こうぜ。」
「…それが1番か。」
雅彦たちが猫猫たちのもとへ向かうと、ちょっとした口論が起きていた。
「止めた方がいいか?あれ。」
「いや、俺たちが首を突っ込むべき案件ではない。」
その口論は、猫猫がなかなかに怖い表情を披露したことで収まった。
「ついさっきぶりですね。皆様。」
「あなた方は、壬氏様の近くにいた。」
「こうしてお話をするのは初めてですね、お初にお目にかかります。我々は、高順様の部下をしている、私雅彦と相方の麟扁という者です。以後、お見知りおきを。」
「俺の分までやるなよ…」
「猫猫です。よろしくお願いします。」
「初めまして、
「こんにちは、
「私は、
「はい、よろしくお願いします。」
「一応…雅彦の言った通り、高順様の部下をしている麟扁だ。よろしく」
「にしても、あなた…」
「桜花さん?どうかしましたか?」
「玉葉様が、あなたは壬氏様の部下と言っていたはずなんだけど…」
「ギクッ!」
「なんでバレてんだよ!」
「初めて玉葉妃にお会いした時…その、口を滑らしてしまいまして…」
「バカ野郎!」
「えっと…『壬氏様部下でもある』というだけであって、基本的には高順様の部下をさせていただいているんですよ。…ほら、高順様が上司ということは、実質的に壬氏様も上司ということになるでしょう。」
「あー、なるほどね。分かったわ。」
「理解していただけたなら幸いです。」
「お前…意外と綱渡りだよな。」
「…宦官偽ってる時点でもう、どうしようもない。」
「それは…俺もだから。」
「あれは…なんでしょうか?」
猫猫の視線の先には、武官が侍女に簪を渡している姿があった。
「簪…何だ…あれ?」
「私も知りません。」
「ああやって、花の園に隠れた優秀な人材を勧誘するのよ。」
「「「へえ。」」」
「まあ、違う意味もあるんだけどね。」
「「そうですか」」「そうか」
「違う意味もあるんですってば!」
「意味…ねえ。」
「私たちにはそれほど関係のないことですね。」
「だな。」
猫猫はその場を離れる。
「何かあったのかなあ?」
貴園は心配そうにつぶやく。
「ん?これ何だ?」
麟扁が火鉢で温めている石を指さす。
「カイロよ。寒さ対策にね…猫猫が考えてくれたの。」
「なるほど。やはり、工夫がうまい。」
「これ、1個もらっていいか?」
「ええ、大丈夫よ。雅彦もいる?」
「じゃあ、貰ってくわ。」
「では、頂きます。」
「「暖かい。」」
「猫猫、誰かから簪を貰っているのかしら?」
「えっ、本当に!どこ!?」
桜花が食い気味に問いただす。
「ほら、あそこ。」
愛藍が指さす先に、猫猫と、青色の衣を身に纏う武官がいた。
「…試しに、行ってみるか?」
「「「そうしましょう!」」」
「わっ、分かった。」
「自分から提案しておいて、萎縮してんじゃないよ。」
「こんな、肯定されると思ってなかったんだよ!」
「ついてかねえと、遅れるぞー」
「わっ、分かったから、そんな無理矢理引っ張んなって!」
5人は、猫猫のところに小走りで向かう。
「それ貰ったの?見せて見せて。」
「参加賞ですが…」
「参加賞って何だよ。」
「それだけじゃ寂しいでしょう。」
「この声は…何故?」
一同が声の下方向を見ると、そこには梨花妃をはじめとした、水晶宮の面々がこちらに来ていた。
「お久しぶりね。」
「お久しゅう御座います。」
「えっ?何?知り合いなの?」
「梨花妃の体調がすぐれない時に、猫猫は帝の命を受けて看病してたんだよ。」
「ソンナコト…俺、聞いてない……」
「素が出てんぞ、素が。」
2人がそんなことを話しているうちに、梨花妃は、懐から水晶の玉が施された簪を取り出し、猫猫の髪に挿す。
「用事はこれだけ。」
「「梨花様!?」」
「…行きますよ。…ごきげんよう。」
梨花妃の侍女から困惑の声が聞こえたが、梨花妃はそれを無視して去っていく。
「これは、玉葉様…」
「拗ねるどころじゃないかもね…」
「じゃあ、私も一応。」「バカ野郎ッ!」
麟扁の拳が、雅彦にクリティカルヒットする。
「麟扁。」
「あ、桜花…さん。これは…その…」
「グッジョブ」
「えっ、まあ、はい。グッジョブ」
「謎の連帯感魅せなくていいから…あー、イテェ…」
「何をやっているのですか……」
「「「ご最も。」」」
「そろそろ、食事が振る舞われるんじゃないかしら…」
「そうね…行きましょうか。」
「私たちも行きますか。」
「だな…というか、わざわざ敬称変える意味あるのか?」
「これで始めちゃったからには、これで貫かねばならんのだ。」
「…そうかい。」
改めて、園遊会の会場に並びなおす。雅彦と麟扁は高順様とは違い、末席なので、あまり目立つ場所ではない。
上級妃に食事が振る舞われ始めた。最初に、猫猫をはじめとした毒見役たちが、先陣を切って試食をし、安全が確認されてから、上級妃の机に並ぶ。
「やっぱみんな大変そうだよなあ、あいつを除いて。」
「そりゃあ、命懸けだからなあ、あいつを除いて。」
あいつこと、猫猫はスープを飲みだした。すると、ありえんぐらい呆けたような、煌びやかな顔をして、舌なめずりをする。
「滅茶苦茶うまそうに食べるな…」
「ああ、でも、あの感じ…」
「だよなあ…」
煌びやかな顔から一転、とても凛々しい顔になると…一言。
「これ…毒です。」
「「……やっぱり。」」
そう言った直後、猫猫は口元を隠しながら席を外す。
予想通りと言わんばかりの顔をする2人と違い。周りは大騒ぎになっていた。
「貴妃のスープに毒?」
(あー、大騒ぎになった。中止か、こりゃあ。)
「毒なんて本当なのか!毒見役は飲んでいただろう。」
(大臣さん?何をされるおつもりですか……)
大臣は、猫猫の飲んだスープを飲む。数秒もたたないうちに悶え苦しみ、倒れる。
「バカ野郎オオオォォッ!」
(あっ、ええい、もうどうにでもなれ!)
「麟扁!」
「……あっ、分かった!」
雅彦と麟扁は、倒れた大臣のもとに駆け寄る。
「雅彦、私は。」
「高順様は、猫猫の様子を見に行ってください。こちらは、私たちで対処します。」
「承知しました。」
「麟扁、吐き戻すための皿と、後は…水も用意してくれ。」
「分かった。」
雅彦は大臣を抱え、口の中に指を入れ、逆流を促す。
「持ってきた!」
「皿はくれ。水はそこに。」
「了解。」
「うっ、ゥオエェ~~~~ゴッホゴホ!」
雅彦は背中を揺すり、一旦全部吐かせる。
「これで、終わりか?」
「いや、もう1回、水を飲ませて吐かせる。水なら毒も薄められるし、喉に異物が残ることもない。」
雅彦は、大臣に水を飲ませた後、もう1度口の中に指を入れる。
「ゥオエェェ~~~~~~~~」
「よし、これで、応急処置はできた。」
「はっ、早く医局に連れていくぞ!」
数名の武官が、大臣を抱え、医局に急いで向かった。
「ありがとう、雅彦。」
「いえ、玉葉妃。すべきことをしただけです。」
「それでも、助かったわ。」
「申し訳ございませんが…1度、手を洗いに行って大丈夫でしょうか?」
「ええ、行ってらっしゃい。」
「では、」
雅彦は、水汲み場へ向かう。
(玉葉妃の毒殺未遂…あってもおかしくないのは事実だ。実際、今最も帝の寵愛を受けている妃なのだから。それに、西方の産まれ。妊娠時代にあった毒殺未遂をした者の残党がいても、何ら不思議ではない。)
そこに、麟扁がやってきた。
「雅彦ー。」
「どうした?」
「高順様が、1度集まってほしいんだと。」
「……分かった。」
本当に呪術要素がない。仕方がない。
雅彦と麟扁の関係は、ラキアンとハンティーに近いかもしれない。分かんない人ごめんね。
次回もお楽しみに。