「星は綺麗だねぇ…。」
空を覆う無数の星は、ひとつひとつが誰かの願いのように、儚くも確かな輝きを放っていた。
そんな無数の星々を眺めながら、青年はそっとそう呟いてみた。
ささやかな風たちがサァ…と流れる中、俺はその金髪の青年をジッと見つめていた。
青年は優しくとも真剣な眼差しで見つめ続け、何処か寂しそうな顔をしてはボソッ…と呟いていた。
「星を…この夜を見ていると、僕が考えていることなんてちっぽけに思えてくるや…。」
青年は原っぱに寝転がって、また見つめてみる。
「僕が存在している理由…僕が出来ること…。理由は実は簡単で、出来ることは実は自由で…。」
大の字で寝ているその青年は、ふと感じたことをただ口にしてみる。
「万物において、生きることに正解はあるのかな…。その正解って誰かが決めたことなんじゃないの? けれどみんなその決められた正解を必死になって追いかけてる。そうじゃないと生きられないから?」
青年のその問いかけに応えるかのように、俺は青年に語り掛ける。
「きっと、生きるってことが正解だからじゃないかな…。」
青年は、星を見つめたまま暫しの間黙りこくる。
綺麗な頬に、星の輝きのように儚く綺麗な涙がスゥ…と流れた。
「じゃぁ、きっと僕は“間違い”なんだね…。」
青年のその言葉に俺は思わずハッとした。
か細く揺れるその声、それでいて確かに聞きとれたその声には希望なんて詰まっていなかったからだ。
俺は急いで語り掛ける。
「そんなことないよ…! 今のは生きるにあたっての正解っていうか…なんていえばいいんだろう…。」
「けど、分かってる…きっと今存在している正解って、その時々の最も適した解、不正解はその逆…。だから、最も適していない僕にはこの世界はきっと相応しい…。」
青年はそう言うと優しい笑みを浮かべてスッと立ち上がる。
「僕は、今何を望んでいるんだろう…。 もし、何でも叶えてくれる存在が僕の前に現れたら…僕が欲しい物、何だろう。」
青年はまたこちらを覗く。
「ねぇ、お星さま…。もしこの声があなたに届いているのであれば、僕の我儘で傲慢な願いを一つ叶えてください…。」
青年はそう言うと優しい、されど弱弱しい…そんな声で願い事を言ってみた。
「おや、また一人この世界に来たようだね。」
だだっ広い草原の中、群青に染まったあの空から一筋の光が真っ直ぐにゆっくりと降り立った。
その光はやがて男の人の形を創り出した。青年はマラカイトグリーン色のマントを身に纏うとその男に尋ねてみる。
「やぁ、君は誰?」
風ひとつない夜、澄みきった空に静かに、儚く瞬く星を見て尋ねてみる。