私は世界を創造する想像をしている。ここからは説明臭くなるが、例えば今私が遙か先まで続く壮大な大海原の上にいる想像をした時、その想像が創造される。
そよそよと吹く気持ちのいい風に吹かれながら、私は大海原の上に浮くように立っていた。
「私はこの世界の創造主。寧ろ私の脳内と言うのが正しいのかもしれない。あくまでも創造した想像の世界なのだから。故にこれからこの世界に起こる事は私が勝手に想像した事となる。例えば…」
そう説明していた男の頭は、突然として海から現れた蛇のような龍に一瞬にして食いちぎられた。龍はそのまま空へと昇ると、空を心地よさそうに泳ぎ始めた。
龍は暫くの間空を駆けると、突然として話し始めた。
「起こり得ないと思っている事、恰も受け入れられない事もこの世界では起こり得る。想像の創造というのは極めて自由に近いのだから。」
私は龍から人に徐々に姿を変えていく。
紅い陽の光に照らされながら。 窓側、教室の椅子に座り外を眺める。
「ただ、【ただただ単に自由】というのは何でも出来る訳でもない。と言うよりは何でも出来るが故に何も出来ないというべきか。勿論これは自論だし条件次第と言う事も重々承知。その上で、この世界で伝えたい事も特段なければ、何を表現したいという事もない。ただ思うがままに脳内のこの想像を創造したかっただけ。」
蝉の鳴く森に囲まれて、私は田んぼのあぜ道をゆっくりと歩く。
「この世界における正解は、私自身。そしてそれは不正解であるという事も証明しているのかもしれない。」
私の後ろの山で突然爆音と共に大量の砂埃が巻き上がる。山の地中から手が生え、幾何学的な身体を有した怪物が現れる。後光が如く背中に振り子時計が現れ、ゴーン…ゴーン…と時を知らせる。
「私はアレを真実と呼ぶ。」
その反対、突如として空からゆっくりと怪物が舞い降りる。凡そ顔と呼べる部分にはカメラが、身体は止まれの標識。何かを嘲笑うかのような笑い声が周囲を包む。
「私はアレを虚偽と呼ぶ。」
対峙し合ったその2体は暫く動く事なく、お互いにプレッシャーを掛け合う。
「そしてこの世界には祝福が溢れ出す。」
その言葉を皮切りに描かれたかのような背景がゆっくりと後ろに倒れる。
「ハリボテだ。」
ただ白に包まれたその世界には私以外の存在はいない。
「この世界は私が創造した想像なのか、それとも想像された創造なのか。」
私は何処を目指すという訳でもなくゆっくりと歩き出す。
「正解はある。つまり、正解が存在しないのさ。全てハリボテだ。」