女子学生が「AHO」なことをしています【完結済】   作:ナツコソビオレ

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裸にされて大切なものを奪われた本田さん(n回目)

「お、戻ってきた本田さん!」

「てかどうしたの、いつものユニフォームしてんじゃない」

「誰が裸がユニフォームじゃい!毎度裸が好きでやってんじゃないわよ!」

 

 みんなだ。

 うれしいのと気が重いのと。

 しかし、この会話がこれをやってるという気持ちにさせてくれる。

 正直、内心それどころじゃあないんだが。

 そのまま消えました、だと、何かあったと告知するようなもんだ。

 

 あとできれば癒して。

 

「あれ、装備どうしたね」

「…あ、ちょっと、落としちゃって」

 

 ぎくり。

 癒されなかった。

 痛いところを間髪入れずに言うのは反則すれすれなんですが。

 しかも、直接ミカさんから言われるのはきつい。

 

「ああスナッチする敵にとられたね? 取返しにひとっ走りする?」

「あ、いや、そうじゃないから…大丈夫大丈夫」

 

 嘘を言うにしてもうまく返せない。

 どうしよう。

 

「あのボス、みんなで殴ってたのの話をしてたんだよ、いいの出たかねえ本田さんねえ」

「特にまったく…」

 

 空白ができたのを、ちょっと不自然と思う話題の替え方。

 マジさんの気の利かせ方だろうか。

 ……助かる。

 

「マジくんがレア衣装の型紙出てお金持ちって、ちょっと盛り上がってたんだよ、本田さん早く来ればいいのにって」

「……あ、ごめんね」

 

 そっかそっか、じゃあ寿司でも…と、いつもなら言う気がした。

 元気な本田さんが横にいて、私はそれに反している気が、少しだけした。

 おかしなもんである。

 

「なんかちょっとしゅんってしてますわね?」

「まぁ、買い取ってくれる商人さんがここにいるし、ちょっとハク食ってもらって豪遊しようぜえ」

「値段調べるから、ちょっと待ってねえ」

 

 この没落貴族に気を使われるくらいだ。

 よっぽど、今の私の雰囲気は変なんだろうな。

 

『どうしたね、PKで取られたりしたかねえ?』

『……現場見ていってたり…します?』

 

 ミカさんの耳打ち。

 詰められる…。

 怖いくらいにとは思わないが、後ろめたいので怖い。

 値段調べるというのはしばらくこっちの耳打ち会話する方便のようだ。

 

 直接の詰問は、心臓が痛い。

 

『ウチとしてははっきり言ってもらうのがいいんだけどねぇ、誰にやられたか言ってもらっていいかい』

『…それは…初期に組んでた…仲間なので洗いざらいは…できれば』

『そういう見境のない義理立ては、やりすぎると相手に不審がられるから正直がいいねえ、そう思うけどまぁ…』

『ごめんなさい』

『いつか自分の首絞めるよって…こういうのはウチが言うことではないねえ』

『いえ……』

 

 心配するように言ってくれるのは、正直うれしくはあるのだ。

 が。

 

『今ギルドが騒がしくてね、取引掲示板に知らないミカの銘入り服が出て超高額だって』

 

 ぎゃあ!!!

 やりやがったよ…すぐにかよ。

 でもね、pvp設定で物臭してたこっちも落ち度なんで、過剰に相手だけ悪いと言えない。

 

『ウチはルシテアがあれだけ肩入れしてるんだ、信用してるけどねえ…ギルドには君が組んで流したと思う人も、しっかり言わないと疑うのが確実にいる』

『そんな!だってそれは…』

『大丈夫なんだねえ、キミが死体で放置されてるのを見たって話もこっちに別口で入ってるから、私は絶対疑わないよ、見損なわないでほしいねえ』

『こんな短時間でよくそんな…』

『42の生産ギルド組合を統括してお得意さんのうわさも仕入れてるウチの情報網、甘く見たらおわりだよねえ』

『…ごめんなさい、おみそれしました』

 

 そこまで、この人は存在でかいのか…。

 それに対してやらかした、それが今さらにもっと重く来る。

 

『でも話がこれでつながったよ、オルアラから線がつながってるなら何でもありだねえ、あの服に関しては取引違反で停止要請投げたから、噂もすぐ消えるしねえ』

『私はその…いいだせなくって、それでも…』

 

 しどろもどろだ。

 ゲームじゃ捨てとけと思うくらいに思っていた責任感や重みを味わっていて、本当にきつい。

 でも、嫌われたくない一心で、何かしたいと思えど。

 やりたいこともわからず、心ぐっさくさである。

 

『見損なうなって言ったねえ? あいつらと切れてるのは信じてる、安心していつものキミに戻ればいいよ、服も返さないとと無茶なんてしてほしくないね』

 

 あったかい。

 ちょっとまた泣きたくなった。

 

『かわりに、責任として代金分、なんでもしますよ! 気持ち的に気が済まないんで』

『へえ……なんでもって言っちゃったからには、こっちも大胆に行くけどいいんだねえ?』

『…あ、辞めて責任取るかどっちにするか一日考えさせてもらっていいですか』

『やめるなら関係性がずっと修復されないからこっちで却下だよねえ』

『…そんな…ご無体な……』

 

「ちょっと色付けようかねえ、400万マニマニと完成した製品一つは納品してもいいよ」

「「おおー!!!」」

 

 切り替え早っ!

 

「じゃ、みんなで装備新しいの見に商店街出ようか!」

「スキル拡張のオーブでいいものあるといいなぁ」

「アテクシは、ガーデニングのオプション系がちょっと見たのですわ」

「どうせなら言ってくれれば、うちのギルドで値段見せてやってもいいんだよ、言いな」

「わーい!!」

 

 希望と嬉しさに満ちた周囲が、今日だけすこし遠くに見える。

 …この辛いのから逃げてすべて閉じるか、金稼ぎに奔走してみるか、本当にどっちがいいものか。

 心の中でわかっちゃいるが、この空気の中、ちょっと考えていた。




全頁pvで1000を超えたらしく、読んでくれている方には本当にありがとうございました。
いい区切りになったと気が抜けた気分です。
区切りが主人公ガチ泣き回だったり不穏なものはありましたが。
UA対比からするとほとんど1話切りとは思いますが、心から感謝したいと思います。
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