女子学生が「AHO」なことをしています【完結済】   作:ナツコソビオレ

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さようなら、たのしい場所(ギルド)

「おとなしく一週間くらい休んでたら、ほとんど収まると思うんだがねえ…」

「ミカさんは立場使って何かしそうだからダメでーす」

 

 数日見て、本当に誰も通らない山岳の空き家があったので、座標で人を呼び出した。

 ミカさんには直接お世話になったのと、やらかしの穴埋めできてなさそうなのと色々あったので、とにかく呼んだ。

 借りものも、直接返したい。

 

 自分のトレードマークになってたら嫌な、頭サングラスにスク水のうかれ装備。

 数年前のイベント装備の復刻が最近あったけど、こっちはクラフトできないらしいので実は貴重なアイテムたちだ。

 

「重ねて念押しますけど、私に関してギルドの会合とかで名前出しちゃダメですからね」

「信用がないねえ」

 

 私が知る中で、大きい事できそうな人はこれくらいだもの。

 ここを止めれば、あとは個人の会話で不満を言う程度のレベルで収まると思っている。

 ギルド面々は、私の発言等など無理に聞かないほうが後腐れないだろう。

 所属することに正式になってなくて、ある意味…よかった。

 

「…こんなところで…ずっと潜んでたりするなんて、何してますの!」

「……ミカさん連れてきたね……」

「いや、座標を横で盗み聞きしてるのが居たくらいしか知らないねえ」

「耳打ちを横から観察して聞くことなんてできるかよ!」

「やれたんだからしょうがないですわよねえ?」

「だねえ」

 

 まったく。

 君らほとんど繋がりなんかないだろうが。

 

「貧乏貴族はこんな辺境で不満いう暇あったら働いときなぁ?」

「贅沢三昧じゃないですけど人のこと言えた義理ですの!?」

「あたしはレア集めで稼いだからある程度もうあるもんよお、ほら」

「あ、けっこう換金アイテム持ってますわね」

「やるよ」

「………え」

 

 見せるために取引窓を出して見せびらかしたアイテムたち。

 それをなんでもなく手放すということは…。

 さすがに、お気楽な没落貴族も、察するものがあるようだ。

 

「…いいです、もう一回窓出して、ブローチだけほしいです」

「…どこまでも貧乏根性だけはあるな」

「しょうがないでしょ、かわいいんだから!」

「ミカさん…あの三人組だけは呼ばないでくださいね」

「ああ、わかってるけどねぇ」

 

 遠くを見るエモート。

 

 おい。

 

「いやすごいもの持ってるって聞いて呼ばれちゃったら、来るしかないよねぇ」

「ごめんなさいね、来ちゃって」

 

 シャウベル、飛空さんもさらりと侵入。

 なんでだよ。

 

「怖いときにねーさん連れだして、危ない噂が出てないか心配だから、二人に合わせる顔、無いのよなぁ」

「話聞いて私たちがそんなことで悪い噂のほうに飲まれると思ってんのかい? 当事者の現場すぐそばで見てた証言付きだぜ?」

「ねーさんも疑ってないし困ってもないよ…時間合わなくてこれないけど」

「…それ聞いたらまぁ、安心感はあるかな、ありがと二人さん」

「「いいえいいえ」」

 

 こっちはもう、何も言わずとも理解してんだな。

 

「本田さん、それだけ言えて、どうして私たちを呼んでくれないのさ……」

「ほら、やっぱりいる」

 

 一番会わないほうがいいと言ってた人たち、いるじゃん。

 

「もし連絡が来たら絶対こちらにご一報くださいと、割と方々回ってましたから、ミカさんだけのせいではないんですよ」

「オージンさん、そういうの…やめようぜぇ」

「人に係るっていうのはですね、立場と責任をしっかり持つことに繋がる話ですよ」

「拾った責任という意味でもね」

 

 …この二人はいつも同じ時間に入る義務でもあんのかな。

 

「ま、逃げられないからお二人の方にはぶっちゃけますけど、今の空気ヤバイっす…」

「我々としても、ゼロテーブルがあったという方向でみんなに納得してもらえないか、広く納得できる情勢を探っているんですが…申し訳ない」

「そういう意味で言ってるんじゃないっす」

「わかってますよ」

 

 この二人は常々大人だから、ふんわりした言葉ではぐらかすことはできまい。

 

「とりあえず病気で寝込むときくらい、人間だからありますよね」

「…そうだね」

 

 こういう話をするとき、戻ってくるかどうかは口調でわかるというが。

 私は、どうなんですかね、お二人。

 

「にしても、仕事だって言ってセイさんだけいないのがタイミング悪いっていうか、なんていったらいいのか」

「いや、本当に幸運だったと思うよマジ君」

 

 こんなの配信で見られてたまるか。

 それがなくても、かなり暴れた気がするよ。

 だがマジ君のほうはいてくれてよかった。

 

『マジ君さ、絶対動揺しないで聞いてくれ』

『なんですか』

『内緒にしてってずっと言われてたけど、小石ちゃん中身女だぞ』

『いやいやいやいや!?』

『もーちょっとやさしくしてやんなー、私ってライバルもいないときにさ』

『本当に何言ってんですか!』

 

 言っちゃった。

 二人の関係を接近させる核爆弾置いちゃった。

 もう後は知らね。

 いない間に結婚でもしろ貴様ら。

 さて、言いたいことはだいたい済んだ。

 

「…さて、別のお客も呼んだ時間にちょうど来たな」

「本田さん、ちょっと外見えるけど、何するのさ?」

「べつに、大それたことしないって、ほんじゃまた」

「本田さん…戻って…くるんだよね」

「小石ちゃん空気読んでぇ~」

 

 後ろ向いて、さらりと手を振る。

 もう、誰とも会話しないぞ。

 泣くからな。

 

 

 

 そうして。

 

 外で待っているのは、私が呼んだ自警団だ。

 中にいる人たちはあいさつしに来てくれた人だから何も怪しまないようにとは、一応言っているが…。

 この数だと、あとで何か言われないか心配だ。

 

「ギトスジくん、あんがとね」

「ユメージさん、この間といい、わからないことばかりですよ…あなたは、本当は…?」

「腹割って言うとさ、自警団と話したいことなんてないけど、呼んだんだ」

「なんだと」「立場わかってるのか」「貴様!」

 

 いろんな言葉が一斉に来る。

 自警団で事件に興味あるの、片っ端から声かけていいよと言ったら…。

 ほとんど全員きてんじゃないの?

 すげえいるよ。

 

「はじめてお目にかかる、私が自警団リーダーだ」

「…初めて…じゃないかもしれないけど、まぁいいか」

 

 お前見たよ?

 バニーなカフェですごい見た、覚えてるよ。

 体力あるからって、3分くらいずっと殴り続けさせられた。

 最後と思ってぶちまけてやろうか。

 

「今回の騒ぎ、私は一応変なツールだの内部侵入だのしてないと誓って言うけど、扱いとしてはどう考えてるの?」

「運営通報をしたうえで、真偽は調べさせてもらう」

「…そんな権限ねーだろ」

「そもそも、この世界でこれだけ混乱を生んだ騒乱罪としても、我々は鎮火に全力を挙げたいし、見過ごせない」

「ま、騒がしたのは間違いないけどさ…その方法で私使って何かできる?」

 

 嫌われているにせよ発言力…というより、発言の注目度はあるほうのはず。

 状況を理解したうえでそっちができると思ってるのは何なのだ。

 これを聞くのが、実質最終的な本文だ。

 これで世の中丸く収まる方策が出るなら、私だって本望である。

 

「ない」

「…ふざけるな?」

 

 外野から私の発言にヤジが止まないが、言うほうが当たり前だろうが。

 

「君の行動を発信し、制限を付けて罰に当たるものを受けたと認識させることで、早く収まりはするだろう」

「私が悪いに終始させて、そのまま風化させたらいいって…日和見策に近いよなぁ、どうなんだそれ」

「大損害が起きた界隈や被害者がいる事件とは違うのだ! 未然に不正ツールか何か、異様な手段が防がれたことでしか安心などかなろう!」

「やってねーつってんだろ!」

「世の受け止められ方はそれ一本だ! 事件そのものがなく世の中は平常運行、こうでしか今回の件は正しく解決しない!」

「……ずるいけど、まぁ…事件がなかったら平和ってのは、苦しいけど一理あるか」

 

 被害者も実害も他の奴らにいないだろ。

 それは、言われて確かに思いのほか刺された思いだ。

 それでも、変なことをしたから許されないべきだ。

 そういう叩き棒で殴られてるわけか。

 人間、暴力はいけないと言いつつ叩いていいよと言うやつにやたら狂暴になったりするからなぁ、特にネットは。

 そういう意味では、私が本当に悪意でアイテム不正入手したかどうかって、あまり関係ないのかもしれんなあ。

 

 しかし、そう聞いてみると、どの立場からも言えるのは…。

 やっぱり、今うろうろしてるのは完全に悪いことにしかならん、ということだ。

 人のうわさも…と申しますが、これに関してはさらにその側面強そうね。

 

 そこがわかれば、十分だ。

 最初から決めたことを、あとはするだけ。

 

「まぁ、この状況には飽きたからいいや」

「飽きたとはどういうことだ!罪の意識はどうした?」

「ないし、なくなるよ」

 

 気楽に言うが、相手は絶対焚いてるよなぁ。

 挑発ってとられてるのかな、どうしよ。

 

「ギトくんや、キミにはちょっとお世話になったよね」

「…は、はぁ」

 

 取引窓をだしてやる。

 

「やるよ」

「……え!?」

 

 さすがに、ついていけなくても動揺してくれるのはかわいい。

 やるよ。

 件の、ゲイズ・オブ・ロードス。

 

「君を信頼して、世話になったしここの場所用意してくれたからやるんだよ」

「そんな簡単に、そんなの出せるものでは…」

「ここからそのリーダーに上納してもいいし、自分で使ってもいいと思う」

 

 周囲、さすがに静まり返ってるな。

 

「言っとくけど何本でも出せるからってんじゃないからな? 出たらログでどうなるかわかってるから、わかるよな」

「はい…」

「愉快犯だと思うんならそれでいいし、私の印象も最悪、悪くたっていいんだ…ただまぁ、今回の功労者って人にはなってほしいんだよ、顎で使っちゃったから」

「それだけなら、わざわざこんな…」

「そこに加えてで早く解決できる方法見つけたら、私が今までかかわったみんなにも迷惑かけないし、こだわる理由もなくなる、そういうイイこと尽くめをしたいんだ」

 

 さらに静まり返る。

 何を言うかを、もうちょっと待ってくれてるのか。

 

「ということで、あとは自警団の中でよろしくう! 任せたよコトの収集!」

 

 何か言うかは、聞かなかった。

 別に意味はなかろう。

 

 こうして。

 

 私は画面を閉じた。

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