女子学生が「AHO」なことをしています【完結済】   作:ナツコソビオレ

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休養編
「ぶらげがある 外伝」登校日がある


 ここのところ眠りが浅かったから、肩の抜けた気分は久しぶりだ。

 だいたいヘッドセット付けたまま寝てたしなぁ。

 

 と、思いつつ、睡眠時間をすぐ治せるわけもなく、夜も暗いうちに目が覚めて眠れない朝霞夢。

 今日からは、もう本田さんと呼ばれることもなく、日がなスマホアプリのログインだけを趣味とする朝霞夢である。

 夜中にゆったりと風呂を占領し、思うより時間の空白ってあるなと油断したらガチ寝して6時過ぎに家族に風呂からたたき出されたりもした。

 

 早朝からやりたい放題である。

 そのまま部屋で一時間裸で肌ケアしながら無駄に歩行をつづけ、脳が完全にマヒしたまま朝食をとる。

 学校に通っている期間と似たルーチンを行う。

 

 なぜなら。

 今日は登校日だからだ。

 

 もう巷では連休に入ってるところもあるなか。

 しかも土曜日である中。

 むしろそれはやっていいのかという気持ちに内心イラっとしながら。

 朝霞夢はきっちり支度をしていく。

 都内でうちだけなんじゃないの…。

 思想で振り回されるのはおつらいでございます。

 さすがに土曜だから、皆勤に響かないのは明記されてるが。

 

 つらい。

 

 しかし、気分転換にはちょうどの機会であるのも確か。

 

「おかやん、ついでに買い物でもあるー?」

 

 出るときになって声をかけるが、特に致命的な欠品はないようだ。

 夢は力の入らない様子で家を出る。

 

「うわあ! 知らない間に世界どうなってんだ」

 

 しばらく完全に引きこもりだったのもあり、久々の熱気が危険だ。

 世の中の働いてる生物、みんなすげえよ。

 わたしは生きてるだけで限界超えちゃうんだ。

 さらにふらふらになり、それでも日傘は何とか支えて登校。

 愛用の透明サングラスがなければ本気で倒れていただろうと、交差点で恐怖したりもした。

 

 (これにスク水着たら、私本田さんのコスプレになるのかな…)

 

 意味はない。

 思考が死にすぎて、もはや最近の出来事と今の何かを結び付けるのが脳の限界なだけだ。

 割と頑張っていたゲームの本田さんではあるが、中身のほうは並以下といったところか。

 

「…やっぱ、そうだよな」

 

 命からがらでたどり着いた学校だが、まぁ当然ながら、三分の一もいない。

 暑いから出てこない人、旅行の人、寝てる人。

 生活リズム戻せないで「やーめた」の人がいないことを加味すると、実は意外といるほうだな。

 なら無理してこなくて…よかったよな。

 夢は少し後悔。

 クラスのみんなも、人が少ないからいつもの席は捨てて日陰の席に集っている。

 当然、空調の真下は最大の女子グループに取られていた。

 正直仲はあまりよくないので、夢はもともとの自分の席で日光を机の反射で一部受けながら耐える。

 

「はよ終わらんかなぁ」

 

 思わず愚痴も出る。

 

「はい、お休み中もみんな元気で事故はなかったようで、先生安心しています!」

 

 チャイムとともにHRの時間、元気に入ってくる担任。

 出席は取ることもしない様子だ。

 

 そこで。

 

「おはよぉっす!まだ開いてる?」

「千力ノ口(せんりきはし)、アウトだアウト、早く座んなさい」

 

 先生の後に堂々と、一人入ってくる。

 朝霞夢の悪友、そして今回の発端にもなった張本人、千力ノ口陵(せんりきはしみささぎ)。

 呼びやすさなのか何なのか、千力さんや、みささんではなく、チカちゃんと呼ばれている。

 

「いよ、おはよーゆめっち」

 

 前の席に堂々座り、先生に背を向けて座るチカちゃん。

 敬意というものはないわけか。

 夢からすると、行動を何度も見て、そこまで悪びれないその姿は何なのかと即座に問いただしたいところではあるが…。

 

「今日は頑張ったねぇ」

 

 両方とろけているので、朝ギリギリ遅れるレベルなら起きるの頑張ったねと、むしろ褒める感じになる。

 

 

 

 そこから。

 特に何かするのではなく、思い出話などを交えた先生のお話を聞き、日本しかやらない今日なりの何かをして、校長の放送を聞いて解散。

 私服許可なので制服をだれも着て来るわけもなく、その後は近くのファーストフード店その他にみんなで駆け込むので、涼む席は今存在しない。

 仕方なく行くのは、デパートの通路の休憩席。

 横がゲームコーナーなので和めないが、飲み物を買ってくれば一時的な涼しいカフェに近い何かだ。

 そう思おう。

 

「意外と、変わんないもんだよねぇ」

「夏休みでイメチェン試みるほど活動的に見えました?」

「いや、ゲームからさ」

 

 一応気にしてたのか。

 夢が、探り気味な会話の流れにちょっと不思議さを感じさせる。

 

「先週だったら会ったとたんに問い詰めてたと思うよ」

「ゆめっちはそうだろうさ」

「あれ、終始ヒステリックだと思われてます? 私」

「どちらかというと、賑やかさは欲しいね」

「よこのクレーンの爆音のほうで、我慢してください」

「そうでなくて」

 

 なんとなくだが、今となっては安心感のほうが増す。

 しばらくぶりの友人の顔って、そういうものらしい。

 

「……ありがとね」

 

 夢は、なんとなく…ぼそりと言った。

 

「なんかバレた?」

「牧場みたいにされてる初心者を見たよ……ああいうのにしないで、放り出してくれたのかなって」

「いやまぁ、単純にあのギルドには、ゆめっち合わないのがわかったってのが本文だよ」

 

 他にもいろいろしていたので、何がばれたのかチカ的には探り探りにならざるを得ない。

 ともあれ、初手感謝なのは、何かしら、不思議に感じる。

 

「楽しかったよ、騒がしかったけど」

「やっぱりそうだろ?」

「でも、しばらくはいいかもしれないわ…後の休みは旅行したいなあ」

「ゆめっちだったら、コミケは外さないと思ってたけどね」

「……無理、人込みってだけで倒れるよわたしゃ…行きたいけどさ」

「まぁ、行ったらその胸通りすがりに揉まれるだろうな」

「されねえよ!?」

 

 そんな変な空間でないことだけは決して間違えないように訴えたい。

 

「お金があったら長野とか行って、ロープウェーなるものに乗ってみたいもんだよ…」

「さすがにそこまでのお金は出してあげられんな」

「期待してません!」

 

 段々調子が上がってきている気がする。

 

「…ま、ゲーム内で会ったら可能な限り金ふんだくってやろうと思ってましたけど!」

「あー、それはたぶんあっても駄目だったね…周年イベント詳細でギルド戦があったから、うちだと全額吐き出しちゃうからね」

「ふぅむ」

 

 ゲームだからそうか。

 途切れなくいろいろあるんだね、あの世界じゃ。

 

「しかしもったいないなぁ、ゆめっち、あの世界でバッチリ勇者みたいになれた芽がでてきてたのにさぁ」

「いやぁ、初心者のスローライフに、伝説の武器なんていらないんだよ」

「あれ、持ったままログアウト?」

「自警団にあげた」

「あれにかぁ…」

「欲しかったかい?」

「うちなら、多少悪評が増えても身じろぎ一つしないだろうから、ゆめっち拾えたかもしれないかなって」

「さっき合わないって言ったばかりジャンさ」

 

 苦笑。

 

「にしたって、チカちゃんよく、あんなギルドにそもそもは入れたもんだね」

「それに関しては…まぁ、長いから家ででもまた話そうかね」

「そんな長いか」

「あれの話なら、そりゃ数年分あるんだから長いにきまってるわよ」

「じゃあ、時間はあるからじっくり聞かせてもらおうか」

「いや、あれに知り合ったときの話が意外と面白くてね…あのイベント、名前なんだったかなぁ…」

「ふんふん」

「まぁ、そのころ、パーティに経験値分配バグがあってさ、それで…」

「ほうほう」

 

 世界を知ったから、なるほどと唸る話もある。

 知識があると思ったより楽しい発見もある。

 あの時間、思ったより無駄じゃなかったと思う。

 

 チカちゃんが楽しく話すのを聞き、夢は自分なりのあの世界にも少し思いをはせる。

 みんな元気でいるといいが。

 それとは別に、お盆時期は日帰り千葉くらいはいこうかなぁ。

 今まで入り浸った分、暇を感じる時間がギャップとして襲い掛かってきそうだし。

 

 

 そんなのんびりした時間が、今のお気に入りだった。

 




夢とチカちゃん、他作中に出た二人ほどが、もうないどこかに投稿していた「ぶらげがある」「しかじか」という小説のキャラを蘇生させたものだったので、これだけその雰囲気のお話です。
特に今後や作中に、それに関わるような話は存在しません。
いつもより駄文感が強いと思いますが、読んでくださる方には本当に心から感謝いたしております。
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