女子学生が「AHO」なことをしています【完結済】   作:ナツコソビオレ

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そのころ、ゲームのなか

「やっぱ自警団は…自警団だよ」

「華やかさや責任感ってものはないのですかしらね! あの方たちは!」

 

 そこそこ本田さんが通っていた、ギルドの本拠地のあるおうち。

 そこそこ一緒に遊んだ目撃報告があったり、一緒に攻撃を受けるかという懸念もあったが。

 即死城はそんなに冒険者の寄り付く場所ではないし、本田さんが一件の前はソロボス殴りやレア狩りをしていたり。

 また裸が基本だったり、名前はもともとあまり出さずに衣装をころころ変えていたりしたのがいい効果だったのか…。

 ちょいちょい出入りしていたミカさんのギルドが少し燃えかけて、それと…。

 バニーのお店にいるのが明かされて、そこでチートアイテムを配って汚染しようとしていたという噂がなぜか流れ出した。

 

 普通に意味がわからないが、こういう時の噂とは、何故かなんでも肯定する層がいる。

 悪そうな話であればあるほど。

 

 ここに、自警団の話を加えると、状況がさらに悪くなる。

 彼らは運営に近い場所にいるとか、そういう立場ではない。

 公式掲示板やユーザーのゲーム内発言を広めに伝えるくらいしかできないが、それを精力的にやれば誰かしらの目にはつく。

 それをして「当人からもう不正入手はしないしゲームにも悪さはしないと直接言葉を引き出した」と言われるとどうだ。

 悪くなることはない安心感はともかく、やってると認めたようじゃないか。

 しかも状況の解決も確証もない。

 ただ、本田さんが悪くなるだけだ。

 

 

 あれから数日、こんなのばかりでギルド面々も気落ち気味。

 小石ちゃんも、入って様子見て少し喋ってログアウトのループだ。

 変化としては、没落貴族、ことワグナクトリスがここに来るようになったこと。

 こいつ自身もいろいろあってソロ生活だったのが、ここにきて少し人に近づくようになった。

 

「戻ってこない…のですかしら…やっぱり」

「やっぱりっていうの何なのさ」

「だって…」

 

 行動を見ていたら、戻らない気でいろいろ渡したのは、やはり辞める気だったのかと。

 しかし、ゲームクリアしちゃったとはっきり言うのははばかられる。

 何より、認めたくはない。

 悪いことをしていないと思えるならば。

 今すぐでなくとも、戻ってくると思いたいから、様子を見に来るのだ。

 

「生産ギルドのあの方は、普通の仕事に戻られましたの?」

「私はあまり親しくないけど、周年イベントのギルド戦っていうのが島争奪戦かもしれないって噂があって、忙しいんだってさ」

「今やっても、あのギルドが二つ取るだけですわよね…」

「へ? それは流石にできないようにしてるんじゃないの!?」

「ここの運営さま、負の信頼感はなかなか高くございますので、はっきりとは…」

「そんな凡ミス忘れてたら、あれるぜ…?」

「正式なところには、参加すらできない理由はないですし…そうじゃなくても配下のギルドに取らせるという手は残っているはずですので、嫌だよね…という話はずっとありますわ」

「配下、ねえ」

「偽装の、という手もありますし、そういうのがいくらでも思いつかれるので島イベントが年に一度ではなくなったんだ…なんて話も掲示板であるほどでしたの」

「…聞いてるだけで暗くなりそう」

「ですわねえ」

 

 ユーザーのクリエイティブモードができるマップ。

 報酬でそれが出たのが一度きりなのは、様々に憶測を生む。

 

 だが、その権利を持つという意味でも、好きなモンスターを配置できるというだけでも、皆うらやましいのだ。

 

 欲しいものがたくさん出るマップができたらいいのに。

 それはみんな思うことだからだ。

 

 特に敵ドロップに頼るものが多い生産系は、ここぞと準備はして待つ。

 そういうことなのだろう。

 肩透かしだったとしても。

 

「そういえばあの獣人さん、私一度くらいしか…見ていないですが、あの方も…あれだったりするのです?」

「あの人、来ると来ない極端だから」

 

 小石ちゃんはさらっと流す。

 

「配信はしてるけど、ここにかかりっきりの専属じゃないし、その配信もちょっと止まってるっぽいかな?」

「…見たほうが、よろしいのかしら」

「しらーん」

 

 よく見ている割に、話題を引っ張りたくないようなそぶりにすら見える。

 

「レコーディング忙しいニャ!と言ってた気がするけど、こんな時に全く入ってこないんだもん…本当なんだか、なんなんだか」

「はぁ…」

 

 なるほど、大事な時にいないのにちょっと苦言を言いたいのか。

 ワグナクトリスからすれば未知の人間関係なので、口をはさみようがない。

 

「それより、最近マジ君がちょっとよそよそしくてさ…避けるような感じがなんか…きいてくれるう?」

「はぁ…」

 

 下手に聞く気がありそうなもんで、そこから数時間ワグナクトリスは拘束された。

 最後、ちょっと泣いていたような気がするが、その理由は誰にもわからない…。

 

 

 

 

 一方、自警団である。

 あちこちに自分たちの成果で騒ぎは解決したぞと広める作業に、一団は余念がない。

 イメージ戦略として、より立場が強く浸透しているんだぞと知らしめるために、ここは稼ぎ時といったことろなのだろうか。

 

 ギトスジくんは、あのあと、当然のようにリーダーに神器を渡した。

 功労者であることは間違いないのだが、少し関係者の一部として疑われかけたのと、立場関係でやっかみを受け、特別な功労という報酬は特になかった。

 昇進などというのも、まぁ特に意味のあるものではないのでない。

 中間管理職の役割になっているもののだいたいは、自分に渡さなかったことを根に持っているのまでいて、あまり話にはならないし、上申で彼に特別扱いしないようにリーダーに意見を出すのが、なんと全員。

 自警団という役割を求めて集まるぶん、自己顕示欲が高めなのが集まった結果なのだろうか…。

 

 

 ギトスジくんは、実はそこには特に不満はない。

 かれもそれらの意見にもっともと思っていたし、彼が求めるのは法律のない世界に快適な安定を作り出す正義感だったからである。

 

 そこに。

 今回の件。

 

 自警団自体に不満は出さないが、事件そのものに、心の重みを含まざるを得なかった。

 彼女が無実だと訴えたことは一切、広まっていない。

 あっさりアイテムなどいらないと言ったことも、誰も知らない。

 実際の原因も、はっきりしていない。

 

 ツールというもので出したのなら、それが何か、どこで配布か販売されていたのか、調べて通報しないのか?

 そこをだれが確定したのだ?

 

 ギトスジ君にはそれを見つけられず、過去にそういう話に触れたこともないので、そこがつらかった。

 彼女…本田さんが、自分に、強い立場になれ、思うことをしろという風なことを言ったのも、果たさせない。

 

 何もしていない…。

 

 そこに、ギトスジくんは、すこし悲しさを持ってしまったのだ。

 そこから、行動できることを探す彼なりの旅が始まる。

 

 

 そして。

 ミカ、オージン、ルシテアは多少連絡を取っていた。

 ギルド戦の準備を公式がイベント完全公開前にアイテム集めで対策。

 準備をだれよりも推し進め、アイテム増産と協力者の約束の取り付け。

 それに、多少は出てくる本田さん関係の愚痴。

 そこに、裏から本田さんの悪友、チカちゃんが裏から悪知恵をちょっとひとつまみ。

 

 オルアラからのスパイにも似た内部情報なのだから、これは実はゲームの人間関係には相当大それたものである。

 ギルド間の関係性で言えば、生産ギルド系とオルアラは敵対関係であるというのが常識であるのだから。

 大規模な流出について取引停止にまで悪化したことまである。

 

 そこが動くわけなので…。

 

 そうそう。

 あの三人組は、今日も何も変わりありませんでした。

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