女子学生が「AHO」なことをしています【完結済】   作:ナツコソビオレ

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スローライフ編
女子学生が「AHO」なことをしています!


 

「なにあれ…」

 

 耳の痛い声がする。

 

 きっと、私を見て言っている。

 市場のようなにぎやかな大通り。

 左右に露店が立ち並び、商品たちに夢中な、無数のお金の飛び交う大通り。

 そんな中、私を見つけて、見ている。

 

 心が痛い。

 

 気のせいかと思いたいが、心当たりがあるのもある。

 

「罰ゲームかねえ」

「BANされるようなライン越えの罰ゲームはないっしょ」

「度胸試し?」

「セーフライン探しで捨て垢やってんのかもよ」

「どっちにしろないわー」

 

 ひそひそと、ひそひと。

 聞こえる声が増えている。

 

 気のせいとはとても思えない。

 

 お前らも、せめてオープンチャットでやるなや! 身内のこそこそ話にしろよお!

 

 そうキレてもみたかったが、この場でやれる勇気はない。

 辱めですよ、ほんとに、あんたら。

 

 

 だが言われる気持ちはわかる。

 言う気持ちもわかる。

 自分で言うのもなんだが、本当になんだが。

 

 これはない。

 

 システム上でこれ以上脱げないという、つまり装備全解除で、世界一賑わっているだろう通りにデビューするのは『覚悟』してるやつだけだろう、普通。

 

 つまり現実を当てはめるならば、裸で大通りをうろついているのである。

 

 ア〇バで全裸の変態が出現して撮影するガヤたちも大量発生した等のネットニュースになる、あれに近いやつだ。

 ゲームの中とはいえ、あれと思うならば…。

 

 そりゃ言われるわ。

 

 ていうか、格好のスクショタイミングとしてネットで晒上げ食らってそうなこの状況。

 さらに普通に通報されて、この中の神様に連行されたって誰も不思議には思うまいというこの状況。

 

 そりゃ、ないですわ。

 

 初心者だって、もれなく装備がそれなりには支給されて始められるんだから、疑問にも思うよねそら。

 ちなみにステータスはコレ。

 

   ――――――――――――――――――

 

   なまえ  ユメージ・オブ・ジ・ホーンドトール

 

   レベル    44

 

   しょくぎょう  ガードナイト

 

   ちから    10

   ちえ      23

   きよう    13

   すばやさ   9

   たいりょく  50

   うん     3

 

   ――――――――――――――――――

 

 でも仕方ないんだよ。

 私は何も悪事だの悪目立ちだのしたいんじゃないんだよ。

 背一杯生きてこれなんだよ。

 大声でそんな話をしたいけど、言ってどうなることじゃないし。

 

 泣ける。

 

 むしろ泣いてんだよ私はさ!

 ということで。

 

 どうしてこうなった。

 その「どうして」を、これから説明します。

 被害者の兄に成り代わってすべてを話します。

 本当にどうしてこうなったのか。

 涙を交えて細かくやりやがります。

 

 長いよ。ちなみに。

 

 あと今のうちに、いまこの状況と舞台の説明だけはしときましょうか。

 

 ここはVRMMORPG「アルシュメタリエル・ヒーローズ・オンライン」。

 通称、AHO。

 

 そこそこは有名で、そこそこはアクティブがいる、中堅よりはちょっと上の今月5周年を迎えるオンラインゲーム。

 リアル知人に誘われるまま、避暑地に消えていく友人たちを見送りながら。

 この、クソ熱くて憂鬱な夏休みをゲームで潰しまくって雑に消費して満喫しようという計画だったのだが…。

 

『きみ、それは、自発的に楽しくてやってる?』

 

 えっ!?

 

『初心者だったりトラブルなら、ちょっと離れたほうがいい、お節介だけど』

 

 耳打ちだ。

 不意に小窓が出て驚いた。

 耳打ちとは、個人一人だけを対象に、ショートメッセージを送る機能の俗称である。

 距離は関係なく、個人名の登録や入力で「その人だけ」にアクションを見られず話せるのがミソ。

 個通や限定チャットなどいろいろ呼び方はあるが、ここでは耳打ちとして通させてもらおうと思う。

 だが困る。

 急で親切心出されるのもドキドキして困るが、こちとら初心者。

 

 ……返し方がわかりません。

 そんな操作とっさにできません!

 

『もし余計なお世話でなかったら、大聖堂の隣の橋を渡ってすぐ左の青い屋根の家の裏に言ってほしい、これ以上はご迷惑だろうから終わります』

 

 徹底してる。

 お節介して、相手が返さないのは踏まえたうえで、おそらく人の少ないとこに誘導する。

 細かいことはすべてそこで、出来るだけ人を避けて話せるようなセッティング。

 ……まぁ、呼び出して詐欺という最悪も当然考えておくべきなのだが。

 

 いこう。

 

 とりあえずは行ってから考えよう。

 この晒し者状態からは何とかしたい。

 てなわけで、ちょっと説明はタイミングが悪いのでこちらを処理してから。

 慌てているので、それでお願いします。

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